タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

赤ちゃんを卵アレルギーにさせない方法

2017-01-30 21:17:51 | 産科
篠山市住吉台の頼瑚(らいご)くん、12月26日生まれ。
「心身ともに、たくましい子に育ってください。
お産はすごく痛かったですが、もう痛みを忘れました。
個室で、家族と気兼ねなく過ごせて良かったです。」

3人目にして、タマル産で初めてのお産だったのですよね。
セレブな気分を味わえたそうですよ。
至れり尽くせりでしたか?
結婚式ほど、うかれてばかりはいられませんが、10ヶ月妊娠期間を頑張り、
お産も乗り越えたのですから、多少のご褒美は必要でしょう。

食べ物と言えば、最近は食物アレルギーや、アトピー性皮膚炎のお母さんも多いでしょう?
新生児に発疹が出ると、アトピーではないかとすぐに心配されますね。
ただの乳児湿疹に対しても、です。

生後1ヶ月健診頃に、赤ちゃんの乳児湿疹はピークを迎えます。
次の健診は4ヶ月健診なのですが、この頃には治っていることが多いのですよ。
だから心配しなくていいと、お話するのです。
ですが、4ヶ月健診は市の健診なので、さて、どのくらいの割合で治っているのかは正直分かりません。

4ヶ月健診で治っていないようなブツブツは、アトピー性皮膚炎に移行することが有ると言われます。
それで、生後4ヶ月健診でアトピーと診断された赤ちゃんに、
生後6ヶ月から離乳食として卵を与え、少しずつ増やしていくと、
1歳の時点で卵アレルギーを発症したのは、わずか8%だったそうです。
それに対して、卵を与えていない赤ちゃんは、
1歳の時点で卵アレルギーを発症する率が38%と、高かったそうです。

これは国立成育医療センターからの報告なのですが、
よくお母さんって、アレルギーにならないように、赤ちゃんの食事を制限したりされますよね。
やはり根拠の有るものしか信じないようにしないといけないでしょうね。

1つ、勉強になりましたか?


子宮のポリープの種類

2017-01-27 21:01:06 | 婦人科
三田市学園の徳海(なるみ)くん、12月21日生まれ。
「徳が有る人になって、周りの人を幸せにする人に成長してください。
5人目の出産となるので、しっかり産めて安心しています。
今回も大きなベッドで、ゆっくりくつろげました。」

4人目ちゃんと5人目ちゃんをタマル産で産んでもらったのですよね。
三田市からわざわざ里帰りでもなく、お友達の紹介で来院していただきました。
日本の母は、その子だけの幸せでなく、他人の幸せまで考えるところが偉いですね。

さて今日は、子宮にできるポリープのお話にしましょうか。
子宮頸がん検診に行くと、よくポリープができていますね、と言われることが有ります。
検診車や人間ドックでは、ポリープだけ指摘されて、
婦人科を受診して切除してもらうように言われるだけです。

よく大腸検査や胃がん検診でもポリープを指摘されてカメラで切除するでしょう?
それと似たようなものを想像されるのでしょうね。
確かに腸や胃のポリープは、悪性であることがよく有ります。
だから必ず取りますね?

それに比べて子宮にできるポリープは、まず良性です。
ただし出血の原因となることも有るので、見つけたら取ります。
でも取っても取っても、また再発することが多いのです。
原因はウィルス説が有力ですが、不明とも言えますね。

むかし大学病院に居る時に、主治医ではなかったのですが、
妊娠中に子宮頸管ポリープを持つ女性が、産後に取ってもらったところ、
悪性だったということが有りました。
妊娠中にポリープを取るとたくさん出血することが有るので、産後にしたのでしょう。
この症例は学会発表ものだったのですが、逆に言うと、それほど悪性はまれだという話ですよ。
まあ、がん検診で見つかれば、取っておくにこしたことは有りません。

これとは別に、子宮の奥、子宮体部にできるポリープというのも有ります。
1個だけのこともありますし、子宮の全面がポリープだらけのことも有ります。
ただし全面の場合は、むしろ子宮内膜増殖症と呼んだ方が良いでしょう。
この場合も、悪性と区別がつかないようなものも確かに有るのですが、
ほとんどは良性です。

不妊症の原因になるので、取った方が良いと書いてある本も有るようです。
ですが最近経験したのですが、子宮体部にできるポリープは、
外からは目で見えないので、子宮の奥を全面ひっかいてくるという手術をするのです。
いわゆる流産の時にするような手術ですが、さらに強力にされるのです。

今回、他院で不妊症の治療後に妊娠され、タマル産でたまたま産まれた方が居られます。
3箇所の不妊治療施設で子宮のそうは手術を5回も受けられ、
妊娠はされて、お産もされたのですが、胎盤が出てこないのですよ。
そう、癒着胎盤というものです。
何回も子宮の中を手術したものだから、子宮の中が荒れてしまって、
胎盤がスルッと出ないのです。

癒着胎盤の原因は、このように子宮の手術をされている女性に多いのです。
流産や中絶、そして今回のようにポリープの手術ですね。
あるいは性感染症の後にも多いです。
子宮外妊娠をされる女性と、原因はよく似ています。

もう1つ付け加えるなら、子宮頸管のポリープなら、再発しやすいとはいえ、
切除すると当分は再発しません。
それに対して、子宮体部のポリープは、放っておいても、月経ごとに、毎月無くなるのですよ。
そして毎月、子宮内膜が分厚くなるのにしたがって、ポリープ状に大きくなってくることを繰り返すのです。
だから先ほどの女性のように、取っても取っても、
違う施設で見てもらう毎に、5回も手術しても、結局無くならないのですよ。
それどころか、癒着胎盤になってしまうほど、子宮の中が荒れてしまうのですね。


結論として、子宮頸管ポリープは見つけたら取る。
ですが、子宮体部のポリープは放っておいた方が良いでしょう。
これが私の経験上の法則です。

不妊外来は幸先のよいスタート

2017-01-25 21:31:35 | 不妊症
加古川市の乙葉(おとは)ちゃん、12月21日生まれ。
「優しく穏やかに育ってください。
初めての出産でわからないことだらけでしたが、無事に生まれてくれて良かったです。
次もLDRで出産したいと思います。」

LDRの意味は何でしたか?
Labour(陣痛室)、Delivery(分娩室)、Recovery(回復室)が、
1つになっている部屋という意味ですよ。
簡単に言えば、陣痛で入院した時から産後の数時間までは、ずっと同じ部屋で過ごせるという意味です。

メリットはと言うと、ご主人と一緒に過ごせることだと思っています。
お産というのは、すごくデリケートなものですから、信頼できる人がそばに居てくれるだけで、
楽に産めるものだからです。

ところで今日は、タマル産の不妊外来では、2人の方に妊娠反応が陽性に出ました。
ただ、これだけではまだ妊娠とは言えないのです。
あと1週間して、子宮の中に胎嚢(たいのう)という袋が見えると、妊娠と定義します。
さらに1週間、つまり妊娠反応が陽性になってから2週間すると、
胎嚢の中に数ミリの胎児が見えるようになって、その胎児の心臓が動くのが見えるようになります。
ここまで来れば、まずだいじょうぶと言えますね。

まれに流産することも有るのですが、多くは胎嚢という袋だけが見えて、
胎児が見えるところまではいかない、浅い週数で起こるのです。
ごくまれには、胎児の心拍が見えてからのことも有りますが、それはむしろ珍しいのですよ。

今日、妊娠反応が陽性になった女性の1人は、
排卵誘発剤の注射を毎日、自分で注射して卵を発育させ、
さらに人工授精を受けていただいたことによります。
今回は2度目の人工授精でしたよ。
そう、人工授精で妊娠される方は、割と早い回で妊娠されることが多いです。

タマル産では、一般不妊治療に特化していますが、
これだけでも妊娠されるカップルは多いのですよ。
もちろんそれで妊娠されない場合には、高度不妊治療を紹介しています。
成功率の高い施設とタイアップしていますから継続した治療が可能です。
初めから高度不妊治療専門のクリニックに通うのは、時間と費用面で難しいものですからね。

昨年の6月に、大阪の扇町ARTレディースクリニックの朝倉先生と一緒に、
お菓子の里さんで不妊セミナーを開きましたが、
これが好評だったので、今年から定期的に開催することにしましたよ。
それで今年は、6月の11日の日曜日になりそうです。
近づきましたら案内しますからね。
楽しみに待っていてくださいよ。

人生における最高のプレゼントとは?

2017-01-23 21:01:05 | つれづれ
丹波市氷上町の兆二(ちょうじ)くん、12月17日生まれ。
「のびのびと育ってください。
お産はやっぱり痛かったです。
みなさん親切で、安心して過ごすことができました。」

名前の由来は、お金に困らない人生を送ってほしいからとも有りました。
ほほえましいですね。
でもね、日本人はこう見えても、とても裕福過ぎるのかもしれませんよ。

昨日は午前中は外来、お昼から尼崎のファミリーフェスティバルという会に出席してきました。
そうですね、2、3百人は来られていたでしょうか。
写真はその時のものです。


人生に贈られるもっともすばらしいプレゼントとは何でしょうね、というお話です。
他にもいろいろと内容は有ったのですが、ここが重要なところですよ。

1つ目は、永遠性です。
家族がずっと仲良く居られるという幸せです。
最近では家族は永遠とは言えないかもしれないでしょう?
死別したとしても別の世界でまた一緒に暮らせるかもしれませんが、
離婚したとしたら、これは永遠性とは言えないので、びくびくした人生になってしまいますね。
だから永遠で居られること自体が、すばらしいことなのですよ。

2つ目は、不変性です。
親が子供を無条件に愛する、たとえ子供に反抗されたとしても、
それで愛情を疑うようなことはありませんからね。

3つ目は、唯一性。
もちろん、目移りしていてはいけないでしょう。
結婚するまでは純潔を守って、
結婚してからは浮気をしないということですよ。

そして4つ目は、絶対性です。
これらの事実は守ることができれば、すごく幸せになれるのですが、
逆に背いてしまうと、人生って何なんだ、ということになりかねません。
お金を無くして無一文になったとしても、家族の愛情を受けることができればそれは幸せなのです。
家族が居なくなってしまったら、たとえお金持ちになったとしても、それは幸せとはいえませんね。

ゴールドやダイヤモンドには絶対性が有るでしょうか、無いでしょうか?
傷ついてしまったりすると価値が落ちるのではないですか。
価値が変わらないものが絶対性であって、
それは私たちの周りの、すぐ手の届くところに常に存在していて、
私たちが求めさえすれば、手に入るものなのでしょう。

まあ、そんな意味合いのお話だったと思います。
その後夜には、神戸で違う会議が有って参加したのですが、そのお話はまた次回に。

帝王切開が安全でしょうか?

2017-01-20 21:18:28 | 産科

上の写真は、篠山市野中の知春(ちはる)ちゃん、12月9日生まれ。
「優しい子に育ってください。
助産師さんがたくさん声をかけてくれて、安心して入院できました。
前のお産を覚えてくれている方も居て、すごく心強かったです。」

もちろん、前のお産も覚えていますよ。
ずうっと前のことでも意外と覚えていたりします。
というか、妊婦さんにとっては一生忘れられませんよね。

ですが、お産の痛みはすぐに忘れてしまうのは不思議ですね。
そうでないと次また妊娠する気にはなれませんしね。
逆に、お産が気持ち良かったという産婦さんも居られますよ。

今年に入って、はや何人もの妊婦さんの帝王切開を回避してきました。
前回の帝王切開のお母さん、さかごのお母さん、
胎児の状態が悪くて帝王切開の準備をしながらも、うまく経膣分娩できたお母さんも2人居られました。
いつもお話していますが、タマル産では1ヶ月に1人以下しか帝王切開が無いのですよ。
今年はまだ1件も有りません。

来週は、首にへその緒が2回巻いている胎児を宿すお母さん、
また前回よその病院で帝王切開になられたのですが、ぜひ今回は経膣的に産みたいというお母さんも。
まだまだリスクの有るお産が続きます。
それでこの先も何十年も無事故で、さもないと・・・というのでは気が重くなりますが。
それでも感謝されるだけで、うれしくなりますからね。

今週の他の方のお産では、前期破水で入院されて、
陣痛がついてきたところで、胎児の心音が急激に下がりました。
すぐに帝王切開の準備をしていたのですよ。
しかもその時はまだ子宮の出口が4センチくらいしか開いていませんでした。
普通初めてのお産では、12時間ほどかけて子宮口が10センチ開くのです。

ここからが腕の見せ所で、内診しながら子宮の出口を開けていくことで、
わずか1時間ほどの間に4センチから10センチにまで全開大させることができ、
無事、経膣的に生まれたというわけです。
ですが、こんな手技のことは産科の教科書には有りませんし、
おそらく知っている先生も居られませんよ。
だって医師はお産の時しか観に来ないでしょう?
タマル産が、世界でただ1つの実践している医療施設でしょう。
ウォーターベッドバースだって、世界で1箇所ですからね。

産科の手技という意味では、江戸時代にも産科の教科書みたいなものが有りました。
江戸時代は「〜家秘伝」みたいな教科書で、一般に知れ渡ったものではないのですけれど。
女性の産婆さんではなく、産爺で男性の先生だったのですよ。
一般市民の場合は産婆さんだったかもしれませんが。

日本では帝王切開は江戸時代の終わりに初めて実施されています。
その話を読んだことが有りますが、それは悲惨なものだったのですよ。
麻酔もせずに、抗生剤も無く。
それでも胎児も助かって、お母さんも88歳まで、というと明治41年まで長寿の人生を送られたのです。

余談ですが、麻酔をせずに手術なんてできないだろうと思われるでしょうが、
帝王切開の麻酔は緊急でしますし、脊髄麻酔と言って、背中に1本注射するだけなので、
効きが良いことが多いのですが、悪いことも有って、
そういう場合は局所麻酔だけで切開をして、赤ちゃんが生まれてから追加で静脈麻酔をするのですよ。
むかしなら生まれたら、お酒をうんと飲ませてあげたかもしれませんね。

まあ、もし可能なら帝王切開は避けるに越したことはありません。
世間では何でも帝王切開をした方が安全だとアナウンスされていますが、
帝王切開は赤ちゃんには安全でも、お母さんにとっては母体死亡率が10倍にも跳ね上がりますからね。
そのことはみんな隠したがりますよね。
都合のいいことしか説明してもらえないでしょう?