タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

新型コロナに対して不安な妊婦さんへ

2020-10-30 21:03:33 | 産科
「新型コロナウイルス感染症に対して不安を抱えている妊婦の皆さんへの対策」という事業が始まるようです。
兵庫県のホームページにはまだ載っていなかったのですが、近日中には発表されるでしょう。
写真は他の県のものなので、少し内容が違いますが、おおむねよく似たものですからご説明致しましょう。

風邪の症状が有る場合は、発熱外来を持つ内科に電話してから受診してください。
ご主人の会社などで流行している場合は、保健所に相談するのですよ。

今回の対象は、症状が何も無い妊娠後期の妊婦さんです。
症状は無いけれど、お産に向けて不安なので、新型コロナの検査を受けておきたいという妊婦さんです。
今はまだなのですが、もうすぐ無料で検査できるようになります。
方法は医師が綿棒でこするのではなくて、唾液を自分で容器に取るというものですから、医療者の手を煩わせないのです。

検査の注意点としては、PCRという方法ですから、本来は確定診断に使う方法で、
スクリーニング検査には適さない方法なのですが、2段階の検査になっては時間がかかるので、仕方なく選択されたのです。
ですからまれに誤診断されるのですよ。
陽性なのに陰性とされたり、陰性なのに陽性と判断されることも有るのです。
それを理解して受けてください。
ですが全員が受けるものではなくて、あくまで不安な妊婦さんが安心するために受けるのです。

ところが人間というものは不思議なもので、検査を受けるとよけいに心配する人も居るので、
そうですね、都会からの里帰りの妊婦さんなどが、良い適応になるのではないでしょうか。
周囲から疑いの目を向けられないためとか。

それでたいていは陰性と出るのでしょうけれど、たまには陽性と出る妊婦さんが居られるかもしれません。
そんな時は、指定された病院に転院となって、計画分娩や帝王切開になることも有ります。
ですがちゃんと結果が陰性になるまで観察すれば、元のクリニックに帰ってこれることも有るのですよ。
ただしお産の直前だと、母子が分離されたり、授乳できなくなることも有るかもしれません。
おおよそそんなところです。
また発表されたら案内しますよ。

ところで今週は、昨年タマル産でお産されたお母さんが訪問されて、お手紙を置いていかれました。
お産の思い出やご主人との会話が載っていました。
「出産は夫婦でするものです」という私の言葉が心に残っているそうです。
ただ残念ながら今は、新型コロナのせいで、家族や親戚で赤ちゃんを迎えるという雰囲気が無くなってしまいましたね。

そこで今回、「オンライン産前産後ケア」というイベントに関わられたそうです。
みなさんにも知ってもらいたいということですので、リンクを貼りますね。
ママの働き方応援隊 北播磨校
女性はワイワイガヤガヤしないと、うつ病になってしまうのではないですか?
たとえネットでも他のお母さんたちとお話できれば、気も晴れるのではないでしょうか。


11月から予約優先制になります

2020-10-23 20:49:42 | つれづれ
先週の金曜日の外来は、物凄くたくさんの患者さんで溢れましたが、今週はガラガラでしたよ。
黒豆のシーズンと関係が有るのでしょうか。
近くでもコロナ感染者が出始めているし、混雑は回避しないといけませんね。

そこで11月より、混雑を回避するために外来は予約制とすることにしました。
今でも美容皮膚科では完全予約制にしているのですが、
これからは初診の方や、婦人科で薬をもらいに来る再診の方、毎週来院されるような不妊治療の方などが対象です。
妊婦健診は、初診の方は婦人科の枠で来院ください。
再診からは健診予定表をお渡ししますので、その枠内で予約をお取りください。
急なことなので、11月は予約の方と予約をしていない方が混在すると思われますが、
12月からはなるべく予約優先で診察させていただきます。
これも分散によって待ち時間を減らすためですので、ご理解とご協力をお願いします。

もう1つ変更点としては、お産する人は減っていますが、不妊外来を訪れる方が増えています。
これまで不妊外来は9時から10時で、妊婦健診は10時から13時としていたのです。
それを11月からは土日の不妊外来を9時から10時半までに延ばし、妊婦健診は10時半から13時までに短縮とします。
不妊外来の時間を延ばして、さらに予約制にすることで、もう少しゆっくり時間を取ってあげられるのではないかと思います。
しばらくはかえって混乱するかもしれませんが、長い目で見れば予約制は良いことです。

予約の取り方を説明するためにホームページを新しく作成しているのですが、
残念ながら今日の時点では間に合いませんでした。
来週には何とか形にして、11月に間に合うようにしますからね。
上の写真のような、聖夜のようなホームページのトップ画面になれば、変更が完了ということですよ。
そのホームページから「ライン」の友だちになってもらって、そこから予約が取れるようになります。
今でも美容皮膚科は予約画面が動いているので、参考にのぞいていただいても構いませんよ。
ただしお友だちにならないと見れないのですが。

いつものラインのアプリから、タマル産婦人科と検索いただくか、
下のリンクをクリックしてください。
https://lin.ee/hydfdlm

そろそろ子宮頸癌ワクチンを受けませんか?

2020-10-16 20:53:33 | 婦人科
ようやく最近になって、子宮頸癌の予防接種が好意的に報道されるようになってきました。
結局、大衆の行動は、報道により左右されるということのようです。

子宮頸癌の原因が、ヒトパピローマウィルスというウィルスの性感染症によるということを知らない人はまだ居られますか?
小学6年から高校1年までの女子に、もうすぐワクチンの案内が来ると思いますよ。
なるべく多くの子たちが受けた方が集団の免疫が得られるので理想的なのですね。

これに関して、いくつか私見を述べさせていただきます。
まず、パンフレットには、ヒトパピローマウィルスにかかっても、自然に治癒して発症しないことが多いと有ります。
だから多くの女の子が感染しているのだ、という理論です。
ですが本当にそうでしょうか、私は少し疑問を感じています。

今週も、子宮頸癌の40歳の女性を発見して、病院に手術のために紹介しました。
月経不順で来られていたのですが、検査をしたところ癌が発見されたのです。
ですが肉眼では確認できず、検診をしないと見つからないレベルです。
初期であれば、90%以上は治る癌なのですよ。
ただ、この方は同じく性感染症のクラミジアにも感染しておられました。
しかも離婚されていて、母子家庭の方です。

別の女性ですが、最近外来に来られていた妊婦さんも、ヒトパピローマウィルスに感染されていて、
子宮頸癌検診で毎回、異形成という前癌状態で経過を追っているのです。
その女性も、違う性感染症の既往が有りました。

このように、たまたまヒトパピローマウィルスにかかったけれど、運悪く自然治癒しなかった、というだけではなさそうです。
他の性感染症を合併していたり、離婚後に複数の異性と付き合っている女性に、子宮頸癌になる確率が高いのです。
これはこのウィルスが知られる前から、疫学的に言われていたことなのです。
何が言いたいかと言えば、処女と童貞で結婚して、その後も離婚せずにいれば、子宮頸癌の心配なんてしなくても良いということです。
ですが相手の有ることなので、そのことに自信が無ければ、小学生から予防接種を打ちましょうということなのですよ。
お母さんも自分の経験から娘に指導してくださいね。

それともう1つ、外国では男子も受けている国が有るのです。
日本でも男子でも無料で接種が勧奨されるという噂が有りましたが、今回は見送られたようですね。
今の風疹の流行と同じで、女性だけでなく、男性も予防接種を受けて集団免疫を付けないと片手落ちなのですが、
どうも厚生省は腰が重いようです。

このヒトパピローマウィルスというウィルスは、1983年にドイツの研究者によって発見され、のちにノーベル生理学・医学賞を受賞されています。
実は私も、その6年後の1989年に、女性の外陰癌もヒトパピローマウィルスによるものだということを発表しているのですよ。
天理よろづ時代に研究していたのですが、天理にはカルテが何十年分もマイクロフィルムに残っていたので、
そのカルテをスパイのように実態顕微鏡で解読して、
外陰癌の症例を探してきては、古い病理標本をさらに探し出し、再度切り出して、ウイルスに対する抗体で染色するのです。
また新しい外陰癌患者さんの標本を電子顕微鏡用に固定して、ウィルスを発見したのです。
電子顕微鏡用の固定は、一般染色用とはまったく違うものなのです。
もう少し大々的に論文で残しておけば、今頃どこかの教授になっていたでしょう。
まあ、今は博士では生きていけない世の中になりましたけれどね。

子宮頸癌が初期の内に発見されないと、末期では尿管を巻き込んで尿が出なくなります。
だから人工膀胱を背中に付けるのです。
それでもだんだんと痛みが強くなってくるので、麻薬を使わないと我慢できなくなってくるのですね。
それで最期は尿毒症や転移で亡くなってしまうのです。
せっかくウィルスが発見されて、予防のためのワクチンも開発されたのに、まだ副作用が怖くて使用しないなんて、
本当にマスコミは罪な存在ですね。





Boys be ambitious for God!

2020-10-09 21:09:23 | つれづれ
先週ヒマになったと言った途端に、今週は連日連夜のお産で、数日徹夜に近い状態が続きました。
それでもあまり心配してもらえる声は聞こえませんけれど。

昨日、お昼に外食したのですが、なんとそこには昭和なものが有りましたよ。
百円を入れると占いのカプセルが出てくる星占いです。
こんなものがまだ有ったのですね。
もちろん夫婦でしてみましたよ。

私も子育てはもうすぐ終わりですが、
私など昭和の世代は、「末は博士か大臣か」と親に言われて育ったのです。
医師でも、研究者になると、博士号が取れるのですよ。
私も研究していた頃は、サイエンスに載るのではないかしら、と本気で思っていましたからね。
最終的にはJCEMという、けっこう権威の有る雑誌に載りました。

子宮内膜の増殖と分化に対するテストステロンの働きについての研究なのです。
これはですね、今の体外受精でも、着床がうまく行かないので、なかなか妊娠率が上がらないのですが、
子宮内膜を整えて着床をうまくいかせられれば、妊娠率が上がるという発想からなのです。
京大での3年間のヒトでのホルモンの研究と、
その前に天理よろづでも毎日、妊娠したマウスの子宮を電子顕微鏡で観察して、着床過程を形態学的に調べていたのです。

だからタマル産が21年前に柏原町で開業した時に、丹波圏では初めての高度不妊治療を開始できたのですよ。
今は一般不妊治療だけなのですけれど。
自分で採卵から培養、受精卵の凍結や解凍から移植まで、すべて1人でしていたのです。
今頃の施設には培養士さんが居られて分業しているので、妊娠しないと、どこが問題なのか分かりにくいですよね。

お産だって同じです。
陣痛が始まった最初から最後まで同じ医師が担当しないと、進み方が分かりませんからね。

現代の問題点を挙げるとするなら、今の医師は博士を目指していないのです。
専門医という資格を目指しているので、基礎研究や臨床研究をしなくなってしまったのですよ。
だからアジア圏でも日本の大学のランクが下がってきているのです。
だいたい医局制度を崩壊させてしまいましたから、大学にも医師は居ないし、
大学自体も独立採算性にしてしまったので、研究費が無くなってしまったのです。
それで自由な医学の発展に寄与するような研究環境にはないのですよ。

今回、クリスパーキャスナインという、遺伝子操作法で女性研究者2人がノーベル化学賞を取られたのをご存知ですか?
私が3年前、このブログで予想を書いておいたのですが、3年遅れで的中しましたよ。
できれば3年前のブログも読んでください。
https://blog.goo.ne.jp/tamarclinic/s/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%91%E3%83%BC
SFの世界が、どんどん実現されてきます。
少年よ、大志を抱け。
Boys be ambitious for God!

明日からインフル予防接種始まります

2020-10-02 21:08:22 | 産科
昨日は娘の所に行った帰りに、海までドライブしてきました。
今週は入院がゼロになったものですから。
産婦人科のベッドは、満員になることもあれば、空っぽになることも有って、回転率が悪いのですよね。
高齢者施設のように、常に満床だと利益も上がるのですが。

私の後ろの木はヤシの木です。
タマルとはヤシ、とくにナツメヤシのことを指すのです。
ヤシは実がたくさん成って、多産を象徴しますし、木から汁が取れるのですが、ハチミツのように甘いのですよ。
お土産に貰ったことが有るのです。
それはイスラエルとパレスチナの紛争地に入って、「嘆きの壁」で、日本からも大勢が参加した平和行進の時のものでしたよ。
ようやく今、トランプ大統領のもので、一気に解決機運が高まっていますね。
ちなみにタマルという女性の話は、またの機会に致しましょう。

今日の話題は、まずインフルエンザの予防接種の予定からです。
明日からタマル産では、妊婦さん用の予防接種を始めます。
毎年割当が有って、防腐剤の水銀が入っていないものが少しだけ出回るのですが、
丹波篠山市ではタマル産にだけ卸してもらえる代物です。
もちろん妊娠中の方は、できることなら水銀の入っていないものが良いのですよ。
ですが本数が限られているので、タマル産でしかできないはずです。

予防接種は予約制ではなくて、毎年、早い者勝ちです。
外来に来られた、タマル産で妊婦健診を受けられている女性で、先着30名だけなのです。
値段は少しだけ高くて、税込み4500円です。
先着に漏れた方は、次に一般用のものも少しだけ入荷予定ですが、それは12月頃になるので、
できれば近くの内科で受けてください。

それでは今日の2つ目の話題です。
菅政権になって、いきなり不妊治療の保険適応と、助成金の増額の話題ですね。
ですがおそらく保険適応は難しいと思いますよ。
だって、例えばお産の費用や、歯科ではインプラントだって保険の適応にはならないでしょう?
もし保険適応になれば、医療を提供する側は、その点数内でしかサービスを提供できないので、
質が落ちてしまうからです。
みなさんはお産に望むことがたくさん有るでしょう?
あれもこれもして欲しいでは、保険適応にはならないのです。
新しい治療を受けたいと思っても、そこは自由診療になってしまうからです。

だったらかかった費用を補填すべく、助成金を増やせば良いのです。
助成を増やせば、さらに治療費が上がるという指摘も有りますが、
そろそろ高度不妊治療を提供する側も、サービス内容を比較しやすく公表すべきでしょうね。

ですが基本的なところの話をすれば、どうも報道機関というのは世間知らずで、
不妊症の大半は、一般不妊治療で妊娠するのです。
一般不妊治療では妊娠しない特殊なカップルだけが、高度不妊治療を受けられるのです。
ところが報道のせいで、すぐに高度不妊治療を受けたがる人が増えてきたのですね。

丹波篠山市では、兵庫県では初めて、一般不妊治療に対しても助成してもらえるようになりました。
タマル産が市に提案したことが認められたからです。
わずか5万円と思われるでしょうけれど、一般不妊治療の検査は、5万円も有ればお釣りが帰ってますからね。
もちろん治療費はもう少しかかりますが、月に数万円以下で、1年もかかりませんしね。
まずは一般不妊治療から始めれば良いのです。

それでも助成には、丹波篠山市では収入制限が有るのですよね。
菅政権では高度不妊治療の収入制限の730万円を撤廃されるようです。
ところがまだ丹波篠山市では一般不妊治療に収入制限をかけられています。
少子化対策でするなら、多産家庭を助成しなければならず、これは改善すべきなのです。
私はみなさんを代表して、数人の市議や市長に手紙を書いて、このことを訴えています。
若い方達も、市に直接意見を出すか、近くの市会議員さんに陳情すべきですね。
だって、高齢者よりも若い人の方が人数が少ないのですから、意見が通らないのですよ。
せめて声を上げるべきなのです。