タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

センケイを漢字で書くと?

2015-11-30 20:52:04 | 婦人科


上の写真は篠山市福住の萌愛(もあ)ちゃん、10月26日生まれ。
「みんなから愛されますように。元気で優しい子に育ってね。
快適すぎて満足でした。
毎日わくわくしながら料理を待ってました。どれもこれもおいしかったです。」

4人目なのです。
小さなお姉ちゃんといつも健診に来られていましたね。

さて、今日の話題はセンケイコンジローマです。
漢字で書くと、尖圭コンジローマで、性感染症の1つです。
子宮頸がんの原因になるのは、ヒトパピローマウィルスの16型とか18型が多いのですが、
同じくヒトパピローマウィルスの6型や11型などに、性行為で感染するとなるのです。
ですから子宮頸がんと同じような原因でなるのですが、たまたま運が良いとこちらの病気になるのです。

症状としては、外陰部にイボがたくさんできます。それだけです。
男性の場合もイボがたくさんできます。
お産の時に産道を通ることによって、赤ちゃんのノドに感染することが有ります。
たとえ病気が有っても、感染する確率は低いのですが、
もし感染すると、赤ちゃんのノドにイボがたくさんできて、気道を閉塞して、亡くなってしまうことが有るのですよ。
だから妊婦さんは気をつけないといけません。

同じく性感染症で、性器ヘルペスというという性感染症が有るのですが、
こちらはヒトヘルペスウィルスというウィルスの感染で起こります。
ヘルペスの方は妊娠中に発症していると、お産の時に高率に赤ちゃんにうつるので、
帝王切開をして、産道を通らないようにするのですよ。
尖圭コンジローマの場合は、一応経膣分娩は可能ですが、帝王切開でも良いことになっています。

外国では、子宮頸がん予防ワクチンが施行されていますから、この尖圭コンジローマも一緒に予防されるので、
減少している病気です。
ですが日本では副作用がはっきりしないということで、予防接種が勧奨されておらず、
尖圭コンジローマも増加しているというわけです。

治療は、数年前から塗り薬の抗ウィルス薬が保険適応になりましたから、
これを週に3回、塗ります。
よく皮膚がむけてしまうので、朝にはシャワーを浴びて薬を洗い流すようにするのですよ。
これを8週間ほど、根気よく続けます。

先日、来院された方には、炭酸ガスレーザーで、蒸散させてあげました。
たくさんでなければ、患者さんには煩わしくない治療ですよ。
皮膚科ではよく液体窒素で壊死させてしまうという治療もされるようです。
タマル産にも以前は液体窒素を体外受精用に置いていたのですが、管理がたいへんなのでやめてしまいました。

この病気を持つ人は10万人に対して30人くらい、
若い女性なら10万人に対して100人以上と言われます。
篠山市と丹波市を合わせれば10万人以上ですから、30人以上は居る計算になりますね。
よく有る病気ということですね。



不妊治療離職っていう言葉はまだ有りません

2015-11-27 21:17:48 | 不妊症
姫路市の秋希(しゅうき)くん、10月22日生まれ。
「元気で明るく、優しい子に育ってください。
2人目で、とってもスムーズなお産でした。
みなさんとても優しく、何でも相談できたので良かったです。」

赤ちゃんの名前に季語を入れることは多いですよね。
うちなんかも、5人ともに季語と、それから色を入れて、ついでに韻を踏みました。
よく性別を聞かれるご両親で、早く名前を決めたいから、と言われますが、
生まれてから、赤ちゃんの顔を見て付けてあげるのが良いように思います。

わが師、新島ジョー先生の幼名は「しめた」というのですよ。
女の子ばかり続いて、男の子が生まれたからです。
でも家督を継がずに、外国に密航したりなんかしてしまったというハプニングは有りましたけれど。

さて、「介護離職解消」、関連のお話でもしましょうか。
私も当初、介護離職というのは、さぞ介護業務がたいへんで、しかも低賃金と聞きますから、
就職してもすぐにやめられるのだろうな、と思っていたのですよ。
実際、私の周りでも腰痛などが理由で退職されている方を何人も知っているものですから。

でも、違うのだそうですね。
親を自宅で介護するのがたいへんで、
お嫁さんが仕事をやめなくてはならない、という意味だったのですね。
そう言えば数年前に、就業規則を改定するように労働基準監督署から通達が有りました。
それでタマル産でも改定したのを覚えています。

1つは、職員さんが介護のために長期間休んでも構わないような規定にすること、
もう1つは、育児休暇を本人が希望すれば1年でなく、2年に延長するように、というものだったと記憶しています。
そうなんですね、介護や育児で仕事を休みやすくするように、職員さんに配慮しないといけないということなのです。

私も、まさか自分の親の介護をするとは思っていなかったのですが、
最近経験したものですから、少し興味が出てきましたよ。
当初は3度の食事も介助していたのですが、今は施設にお願いしています。
お見舞いに行くとよく他のベッドでは、床頭台(しょうとうだい)に家族写真なんかが置かれていますよ。
ここで関係無い話ですが、床頭台って、医学用語のようですね。
私たちは当たり前に使うのですが、普通の人は知らないようです。
ベッドの横のロッカーのような台のことですよ。

私は、母親の若い頃の写真を何枚か加工して、置いてきています。
その方が家族写真よりも、介護してくださる方に興味を持ってもらえるかな、という思いも有ります。
それに母に、若い頃の記憶が蘇ってくるのではないか、と期待しているのです。
母と、幼くして亡くなった私の兄の生まれたばかりの写真も有ります。
また日赤病院で働いていた頃の、セピア色の集合写真も有ります。
それに結婚した頃かな、と思われる両親の写真。

それで思い出しました。
介護離職ならぬ、「不妊治療離職」が、実に4割も有るそうですよ。
不妊治療はたいへんで、仕事をやめる女性がすごく多いという意味です。
タマル産では、数ヶ月前から日曜日も開けていますし、
夜の診察もけっこう遅くまでしていますから、
仕事を休まなくても続けられるようにしていますね。

それでも、通院すること自体にストレスを感じる女性も多いですから、
それだけで続けられるとも限りませんが。
それでも、少しでもお役に立ちたい、という思いが有るのですよ。

新千年

2015-11-25 21:23:47 | つれづれ


上の写真は丹波市春日町の衣那(えな)ちゃん、10月13日生まれ。

「家族を大切にする、愛のある懐の深い人になりますように。
朝から流れる院内ミュージックに、やけに癒されました。
お料理は毎日楽しみで、シェフに料理を教えていただいたほどです。」

3人目なので、段取りが分かっていたので、落ち着いて過ごせましたね。

1日中かけている曲は、流行歌ではなくて、賛美歌なんです。
だから癒されるのですね。
賛美歌って言うのは、いろんな音楽家の曲の一部を取ってきて、歌詞をつけたものが多いのですよ。
もちろん宗派によってはオリジナルのものも有りますが。
うちの教会のものは勇ましい曲が多いので、タマル産ではこの末日聖徒さんの曲をかけているのです。

ちなみに末日(まつじつ)というのは、まさに今のことなのです。
2千年前に、お釈迦さんや、イエスキリストなど、世界を救うような人たちた来られました。
ですが、この2千年で世の中が完全に幸せな世界になったかと言うと、そうではなさそうでしょ?
それはイエスはユダヤ教に、新しい真理をもたらそうとしたのですが、
反対して十字架に磔(はりつけ)にしたのは、他宗教の人ではなくて、
自分たち、ユダヤ教の人たちだったのです。

それから2千年の時が過ぎて、ようやくまた世界を救うチャンスがやってきているのですね。
今は世の終末と言われます。
終末とは、それは世界が終わってしまうのではなくて、
新しい世界、これから待ちに待った新千年が始まるという意味なのですよ。
ただし、今生きている私たちが、その新しいメシアを受け入れていければ、のことですが。
また新しく来られたメシアを磔(はりつけ)にするようでは、エデンの園は永遠に近づかないかもしれませんよ。

まあ、そんな思いも持ちながら、この連休はタマル産でも、大きなクリスマスツリーを飾っていただきました。
当初は私も手伝っていましたが、餅は餅屋ですからね。


最後に、今日、退院されたお母さんからお手紙をいただいたので、少し紹介させていただきましょう。

「スタッフの皆様、3週間お世話になりました。
破水からの早産で、思っていたバースプランとはまったく違った出産でしたが、
無事、娘に会えたことに感謝しています。
みなさんのおかげで、産後2週間しっかり体を休めることができました。
帰宅後は、上の子との2人育児を楽しみたいと思います。
小さく産んでしまったけれど、これからしっかり、心も身体も大きく育てていきます。
本当にありがとうございました。」

手紙には、こう感謝と抱負の気持ちが述べられていました。
何事にも感謝できれば、その人の人生はすばらしいものとなることでしょう。

お姉ちゃんが時々、泊まりにきていたのですよ。
もうそこは、暖かいお家を再現しているかのようでした。
子育ても、頑張るものではなくて、楽しむものなのですね。
終わってみれば分かるものですが、最中はなかなかそうはいかないものです。

ここでは1つ、示唆が有ります。
産後のマタニティーケアハウスとして、タマル産を活用できないかなということも有ります。
先日も市の職員さんが来年度のプランを練るために来院されましたからね。
今も切迫早産で入院されている方が居られるのですが、
医学的にはそれほど入院の必要も無いのですが、
ケアハウスとして使われている要素も有りますよ。
もちろん早く家に帰りたい、という女性の方が多数派なのでしょうけれど。

もっと、楽しまれてもいいのかもしれませんよ。






腸カゼが流行っています

2015-11-20 21:21:53 | 婦人科
名古屋市の義禮(よしのり)くん、10月20日生まれ。
「兄弟仲良く、たくましく育ってください。
お産は楽で、気持ち良かったです。
赤ちゃんと二人、ゆっくり過ごせて良かったです。」

里帰りでしたから、ご主人が居られなくて残念でしたね。
禮という字が難しかったので調べてみましたが、礼節の礼の旧字体だそうです。
示は祭壇という意味で、豊は供物です。
ネットで調べたところ、春夏秋冬、各々の節目で畏敬の念をおこして神を祀り、天に祈り、大地を踏みしめ、大自然に感謝し、
“それまで”と“これから”を繋ぐ、それが禮である、と書いてありました。

ごめんなさい、きっとご夫婦で調べられたのでしょうね。
子達が大きくなったら、自分の名前の意味を知り、
親の愛の深さを知るのかもしれませんね。

さて、今日は先ほどまでお産の介助をしていたので、
外来の患者さんも待たせてしまい、このブログの更新も遅れるところでした。
明日から3連休の方も居られるでしょうが、
タマル産では土曜も日曜も外来をしていますよ。
月曜日の祭日だけはお休みしていますからね。
それととくに妊婦さんのインフルエンザの予防接種は今月いっぱいですからね。
まだの方で希望される方は、12月以降は内科で打ってくださいね。

ところで、そろそろ腸カゼで来院される方がでてきました。
妊婦健診に来られる時は、風邪をひいたり、調子が悪いとついでに診てもらおう、と来院されます。
でもそれは間違っています。
健診は調子の良い時に来ていただかないといけません。
尿検査でも異常が出ますし、血圧だって変化します。
健診は風邪が治ってから来院してくださいね。

妊娠中の腸カゼは内科を受診していただけば良いのですが、
それでも産婦人科に来られた場合は、薬やビタミン剤の処方はしています。
けれどね、せめてマスクはして、それから下痢をしているのに、クリニックのトイレに入ってはいけませんよ。
それは腸カゼは、トイレで感染するからです。
それにしてもエチケットの無い方が多いのです。
他の妊婦さんにうつしに来ているようなものですから。

最近では便器の蓋を消毒する消毒液が備わっていることが多いでしょう?
すぐに蒸発するようにアルコール系の消毒薬が使われることが多いですが、
アルコールでは効果が不十分なのです。
理想を言えば、家のトイレや吐物、子供さんのオムツなどは、ハイターなどの塩素系消毒剤で消毒された方がより効果が高いです。
科学的に言えば次亜塩素酸ナトリウムと呼ばれるものです。

それで思い出しましたが、赤ちゃんの哺乳瓶の乳首はどうされていますか?
タマル産では商品名で言うと、ミルトンなどを使用しています。
ガラス瓶は高圧蒸気滅菌器、いわゆるオートクレーブで滅菌しますが、
乳首はゴム製なので、次亜塩素酸ナトリウムで消毒するのですね。
どうしても他の赤ちゃんと使いまわさなければならないからです。
マイ乳首を用意されても構わないのですが、入院中は煩雑ですからね。
家に帰ってからでは、煮沸消毒などで構いません。

滅菌と消毒は少し違うのですが、家庭ではそれほど気にしなくてもいいでしょう。
それは、乳首を共有しないからですよ。

私も初めての子が生まれた時は、高齢の助産婦さんに、鍋での煮沸消毒の仕方を教えられましたよ。
もちろん医学部ではそんなことは習いませんからね。
最近のお母さんはどうされているのかな。
電子レンジでチンなんかされている方が居られるかもしれませんね。

例えば白血病の原因となるHTLV-1というウィルスは母乳で感染するのですが、
母乳をいったん凍結すると効果があるのですよ。
でもそれはむしろ例外で、凍らせただけでは菌やウィルスは死なないことが多く、熱処理の方が効果的なことが多いですね。

腸カゼの原因はいくつかのウィルスが原因なのです。
ノロとかロタウィルスですね。
むかし流行したポリオなんかも腸カゼの1つです。
今また腸カゼで、ポリオに似たマヒを起こすウィルスが問題になっていますよ。

何の話でしたか、妊婦さんで腸カゼになった時は、家で1週間おとなしくしていてください、
ということでした。

















フルネームで呼ばないで

2015-11-18 20:35:20 | つれづれ

最近生まれた赤ちゃんたちです。
お姉ちゃんが赤ちゃんを見る目が、何とも可愛らしいですね。

先週、新しく銀行口座を作ったのです。
その銀行からしか引き落とせないものが有って。
初めての銀行では順番を待つのに番号札を渡されました。
これが大きなもので、ホテルのキーホルダーほどの大きさが有るのです。
それでも最後には名前を呼ばれたので、番号札を返すのを忘れてしまったのです。

後で気づいて、次の日にでも返しに行こうと思っていたのですが、
銀行から電話が有って、その日のうちに取りにこられたのです。
なるほど、銀行は1円でも合わないといけないのでしたね。

ローカルな土地柄ですから、別に名前で呼ばれてもいいと思っているのですよ。
それでも最近はプライバシーの保護が言われるあまり、番号でしか呼ばれなかったりしますよね。
もっともその受付さんは、タマル産を受診されたことが有るというのはすぐに分かりましたけれど、
あえて仕事に徹しましたよ。

それで何の話かと言うと、
タマル産では、患者さんをお呼びする時に、フルネームでお呼びします。
クリニックによっては番号札のところも有るでしょう?
ですが産婦人科というところは、
頭隠して尻隠さず、というところですから、人違いをしては困るのです。
ときどきニュースで、妊婦健診の女性が中絶の患者さんと間違われた、という報道を聞きますからね。

うちのカミさんはアメリカで育ったので、あっちは産婦人科といえば、スッポンポンで診察をするらしいですよ。
もちろん内診室にカーテンなんか有りません。
これなら間違えられそうにはないですから安心かもしれませんが、
アジア人としては、ちょっと馴染めない風習でしょうね。

タマル産ではアンケートを取ると、名前で呼ばれるのはイヤだ、という女性も居られます。
ですが、リスクを取るわけにはいきませんからね。
そこが田舎の良き習慣であると同時に、若い人からすると息が詰まるのかもしれません。
まあ、そんなことを思ってしまいますよ。

ちなみに医療事故元年と言われる1999年は、
横浜市立大学での患者取り違え事件が有りました。
肺の病気の患者さんと心臓の病気の患者さんを取り違えて、逆の手術をしてしまったというものです。
手術室の看護師は、初めて合う患者さんだったかもしれませんからね。
それに主治医が執刀する頃には、患者さんは麻酔科の医師によって麻酔が導入されていて、顔を確認することは無かったかもしれない、
そこが事故の原因だったのでしょう。

患者さんをフルネームで認識するということは、こういう教訓を生かしているともいえますね。