竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻18 歌番号1285から1289まで

2024年05月24日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻18

歌番号一二八五

原文 加部之

読下 返し

 

原文 安留保宇之

読下 ある法師

 

原文 加比毛奈幾幾左乃末久良尓遠久川由乃奈尓々幾衣奈天於知止万利个武

和歌 かひもなき くさのまくらに おくつゆの なににきえなて おちとまりけむ

読下 かひもなき草の枕に置く露の何に消えなで落ちとまりけむ

解釈 閨とは違い我が形見だと床に置いておいても甲斐がない、そのような草を枕とするような旅寝の枕に置く露は、どうして、消え失せないで落ちて留まったのでしょうか。

 

歌番号一二八六

原文 堂以之良寸

読下 題知らす

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 於毛比也留可多毛志良礼春久留之幾八己々呂万止日乃川祢尓也安留良武

和歌 おもひやる かたもしられす くるしきは こころまとひの つねにやあるらむ

読下 思ひやる方も知られず苦しきは心まどひの常にやあるらむ

解釈 自分の物思いの気持ちを向ける方法も判らず、思い悩む苦しいと言うものは、心を悩ませている時の常のことなのでしょうか。

 

歌番号一二八七

原文 武可之遠於毛比以天々武良乃己乃奈以之尓川可八之个留

読下 昔を思ひ出でて、むらのこの内侍につかはしける

 

原文 比多利乃於本以万宇知幾三

読下 左大臣

 

原文 寸々无之尓於止良奴祢己曽奈可礼个礼无可之乃安幾遠於毛比也利川々

和歌 すすむしに おとらぬねこそ なかれけれ むかしのあきを おもひやりつつ

読下 鈴虫に劣らぬ音こそ泣かれけれ昔の秋を思ひやりつつ

解釈 鈴虫の長く密やかに鳴く声に劣らず、声を出して泣いてしまいます、昔の秋での出来事を思い出しながら。

 

歌番号一二八八

原文 飛止利者部利个留己呂飛止乃毛止与利以可尓曽止々不良比天

者部利个礼者安左可本乃者奈尓川个天川可

者之个留

読下 一人侍りけるころ、人のもとより、いかにぞ、と訪ぶらひて

侍りければ、朝顔の花につけてつか

はしける

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 遊不久礼乃左比之幾毛乃者安左可本乃者奈遠多乃女留也止尓曽安利个留

和歌 ゆふくれの さひしきものは あさかほの はなをたのめる やとにそありける

読下 夕暮れのさびしき物は朝顔の花を頼める宿にぞありける

解釈 夕暮れ時に寂しいと感じるものは、後朝の別れの君の姿ではなく、翌朝に咲く朝顔の花の様子を想像して暮らす、そのような私の家にあったのです。(朝に、貴方を見送りたいものです。)

 

歌番号一二八九

原文 比多利乃於本以万宇知幾三乃加々世者部利个留佐宇之乃

於久尓加幾川計者部利个留

読下 左大臣の書かせ侍りける冊子の

奥に書きつけ侍りける

 

原文 従良由幾

読下 つらゆき(紀貫之)

 

原文 者々曽也万美祢乃安良之乃加世遠以多美布留己止乃者遠加幾曽安川武留

和歌 ははそやま みねのあらしの かせをいたみ ふることのはを かきそあつむる

読下 ははそ山峯の嵐の風をいたみふる言の葉をかきぞ集むる

解釈 この歌集は、柞、山、峯、嵐、風の速さ、これらの古い言の葉である和歌をかき集めて編んだものです。

注意 古今和歌集「佐保山のははその色はうすけれど秋はふかくもなりにけるかな」の歌があり、季節の風景をテーマに歌集を編んだと推定されますが、どのような歌集だったかは不明です。

 

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