竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻19 歌番号1354から1358まで

2024年06月13日 | 後撰和歌集 現代語訳

歌番号一三五四

原文 奈可波良乃武祢幾可美乃々久尓部万可利久多利者部利个留

尓美知尓於无奈乃以部尓也止利天以比川幾天佐利可多久

於保衣个礼者布川可美川可者部利天也武己止奈幾己止尓与利

天満可利多知个礼者幾奴遠川々美天曽礼可宇部尓

加幾天遠久利者部利个留

読下 中原宗興が、美濃国へまかり下り侍りける

に道に、女の家に宿りて、言ひつきて、去りがたく

おぼえければ、二三日侍りて、やむごとなき事により

て、まかりたちければ、絹を包みて、それが上に

書きて贈り侍りける

 

原文 奈可者良乃武祢幾

読下 中原宗興

 

原文 也万佐止乃久左者乃川由毛志个可良无美乃之呂己呂毛奴者寸止毛幾与

和歌 やまさとの くさはのつゆも しけからむ みのしろころも ぬはすともきよ

読下 山里の草葉の露も繁からん蓑代衣縫はずとも着よ

解釈 山里の草葉に置く露はたっぷりと置いているでしょう、蓑代わりの蓑代衣、その言葉の響きではありませんが、我が身の代わりとし衣を縫わなくてもいいから、この絹の布を形見として着てください。

 

歌番号一三五五

原文 止左与利満可利乃本利个留布祢乃宇知尓天美

者部利个留尓也万乃者奈良天川幾乃奈美乃奈可与利

以徒留也宇尓美衣个礼者武可之安倍乃奈可末呂可

毛呂己之尓天布利左計美礼者止以部留

己止遠於毛比也利天

読下 土左よりまかり上りける舟のうちにて見

侍りけるに、山の端ならで、月の浪の中より

出づるやうに見えければ、昔、安倍仲麿が

唐土にて「ふりさけ見れば」と言へる

ことを思ひやりて

 

原文 従良由幾

読下 つらゆき(紀貫之)

 

原文 美也己尓天也万乃者尓美之川幾奈礼止宇美与利以天々宇美尓己曽以礼

和歌 みやこにて やまのはにみし つきなれと うみよりいてて うみにこそいれ

読下 都にて山の端に見し月なれど海より出でて海にこそ入れ

解釈 都に居る時は山の端に見た月ですが、ここでは海から出て海に沈んでいきます。

 

歌番号一三五六

原文 保宇己宇乃美也乃多幾止以不止己呂美八曽奈之个留於保武止毛尓天

読下 法皇、宮の滝といふ所御覧じける、御供にて

 

原文 春可者良乃美幾乃於本以万宇知幾三

読下 菅原右大臣

 

原文 美川比幾乃志良以止者部天遠留波多者多比乃己呂毛尓多知也可左祢无

和歌 みつひきの しらいとはへて おるはたは たひのころもに たちやかさねむ

読下 水引きの白糸はへて織る機は旅の衣に裁ちや重ねん

解釈 (水飛沫で濡れるこの垂水を落ちる、)水の糸を引くような白糸を延ばして織った機物は、この度の旅の衣として裁ち縫って、このこの衣の上に重ねて着ましょう。

 

歌番号一三五七

原文 美知末可利个留川以天尓比久良之乃也万遠万可利者部利天

読下 道まかりけるついてに、ひくらしの山をまかり侍りて

 

原文 春可者良乃美幾乃於本以万宇知幾三

読下 菅原右大臣

 

原文 飛久良之乃也満知遠久良美左与布遣天己乃寸恵己止尓毛美知天良世留

和歌 ひくらしの やまちをくらみ さよふけて このすゑことに もみちてらせる

読下 ひぐらしの山路を暗み小夜更けて木の末ごとに紅葉照らせる

解釈 野遊びでその日を暮らした道中で、山路が暗く、夜も更けて来ると、月明かりの中に木の梢ごとに紅葉が鮮やかに照らしています。

 

歌番号一三五八

原文 者徒世部万宇川止天也万乃部止以不和多利尓天与三者部利个留

読下 初瀬へ詣づとて、山の辺といふわたりにてよみ侍りける

 

原文 以世

読下 伊勢

 

原文 久左万久良堂比止奈利奈者也万乃部尓志良久毛奈良奴和礼也々止良无

和歌 くさまくら たひとなりなは やまのへに しらくもならぬ われややとらむ

読下 草枕旅となりなば山の辺に白雲ならぬ我や宿らん

解釈 もし、草を枕とするような野宿の旅となってしまったなら、山の端に白雲が宿るように、私も山の麓あたりに宿りましょう。

 

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