歌番号五九七
原文 可部之
読下 返し
原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす
原文 寸三与之乃和可三奈利世八止之布止毛末川与利保可乃以呂遠三万之也
和歌 すみよしの わかみなりせは としふとも まつよりほかの いろをみましや
読下 住吉の我が身なりせば年経とも松より外の色を見ましや
解釈 貴方にとって住み吉しのような、都合の良い、住吉の私の身の上でしたなら年を経ても待つ、それ以外の様子をしましょうか。(でも、私は貴方の都合の良い、住吉の女ではありませんよ。)
歌番号五九八
原文 於止己尓川可者之个留
読下 をとこにつかはしける
原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす
原文 宇川々尓毛者可奈幾己止乃安也之幾者祢奈久尓由女乃三由留奈利个利
和歌 うつつにも はかなきことの あやしきは ねなくにゆめの みゆるなりけり
読下 うつつにもはかなきことのあやしきは寝なくに夢の見ゆるなりけり
解釈 確かに、昨夜、貴方にしっかり愛されたのですが、その貴方の愛の行いが不思議なことに、今、寝てもいないのに夢を見ているような実感の無い気持ちです。
歌番号五九九
原文 於无奈乃安者春者部利个留尓
読下 女の逢はず侍りけるに
原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす
原文 之良奈美乃与留/\幾志尓太川与利天祢毛三之毛乃遠寸三与之乃末川
和歌 しらなみの よるよるきしに たちよりて ねもみしものを すみよしのまつ
読下 白浪の寄る寄る岸に立寄りて寝も見し物を住吉の松
解釈 白波が寄る、その言葉の響きのような、夜、夜ごとに、貴女と言う寄る岸に立ち寄って、共に寝て愛し合った仲なのに、住吉、その言葉のような、再び、私が貴女の許での、住み良しとの、貴女の返事を待ちます。
歌番号六〇〇
原文 於止己尓川可者之个留
読下 男につかはしける
原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす
原文 奈可良部天安良奴万天尓毛己止乃者乃布可幾者以可尓安者礼奈利个利
和歌 なからへて あらぬまてにも ことのはの ふかきはいかに あはれなりけり
読下 ながらへてあらぬまでにも言の葉の深きはいかにあはれなりけり
解釈 いついつまでもと、二人の仲が続くと言うことは無いとしても、貴方からの言葉でのいたわり深さは、どれほどにもしみじみとした気持ちになります。
原文 可部之
読下 返し
原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす
原文 寸三与之乃和可三奈利世八止之布止毛末川与利保可乃以呂遠三万之也
和歌 すみよしの わかみなりせは としふとも まつよりほかの いろをみましや
読下 住吉の我が身なりせば年経とも松より外の色を見ましや
解釈 貴方にとって住み吉しのような、都合の良い、住吉の私の身の上でしたなら年を経ても待つ、それ以外の様子をしましょうか。(でも、私は貴方の都合の良い、住吉の女ではありませんよ。)
歌番号五九八
原文 於止己尓川可者之个留
読下 をとこにつかはしける
原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす
原文 宇川々尓毛者可奈幾己止乃安也之幾者祢奈久尓由女乃三由留奈利个利
和歌 うつつにも はかなきことの あやしきは ねなくにゆめの みゆるなりけり
読下 うつつにもはかなきことのあやしきは寝なくに夢の見ゆるなりけり
解釈 確かに、昨夜、貴方にしっかり愛されたのですが、その貴方の愛の行いが不思議なことに、今、寝てもいないのに夢を見ているような実感の無い気持ちです。
歌番号五九九
原文 於无奈乃安者春者部利个留尓
読下 女の逢はず侍りけるに
原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす
原文 之良奈美乃与留/\幾志尓太川与利天祢毛三之毛乃遠寸三与之乃末川
和歌 しらなみの よるよるきしに たちよりて ねもみしものを すみよしのまつ
読下 白浪の寄る寄る岸に立寄りて寝も見し物を住吉の松
解釈 白波が寄る、その言葉の響きのような、夜、夜ごとに、貴女と言う寄る岸に立ち寄って、共に寝て愛し合った仲なのに、住吉、その言葉のような、再び、私が貴女の許での、住み良しとの、貴女の返事を待ちます。
歌番号六〇〇
原文 於止己尓川可者之个留
読下 男につかはしける
原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす
原文 奈可良部天安良奴万天尓毛己止乃者乃布可幾者以可尓安者礼奈利个利
和歌 なからへて あらぬまてにも ことのはの ふかきはいかに あはれなりけり
読下 ながらへてあらぬまでにも言の葉の深きはいかにあはれなりけり
解釈 いついつまでもと、二人の仲が続くと言うことは無いとしても、貴方からの言葉でのいたわり深さは、どれほどにもしみじみとした気持ちになります。