竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

後撰和歌集 巻7 歌番号441から442まで

2023年09月29日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻7
歌番号四四一
原文 那加川幾川己毛利尓
読下 九月つこもりに

原文 川良由幾
読下 つらゆき(紀貫之)

原文 那加川幾乃安利安个乃川幾者安利奈可良者可奈久安幾八寸幾奴部良也
和歌 なかつきの ありあけのつきは ありなから はかなくあきは すきぬへらなり
読下 長月の有明の月はありながらはかなく秋は過ぎぬべらなり
解釈 長月(九月)の有明の月は、明日もまだ昇ってきますが、今日に暦での秋は過ぎてしまうようです。

歌番号四四二
原文 於奈之川己毛利尓
読下 同じつごもりに

原文 美川祢
読下 みつね(凡河内躬恒)

原文 以徒可多尓与者奈利奴良无於本川可那安遣奴加幾利八安幾曽止於毛者无
定家 以徒方尓夜者奈利奴良无於本川可那安遣奴加幾利八秋曽止於毛者无
和歌 いつかたに よはなりぬらむ おほつかな あけぬかきりは あきそとおもはむ
読下 いづ方に夜はなりぬらんおぼつかな明けぬ限りは秋ぞと思はん
解釈 秋九月なのか、冬十月なのか、どちらの方に夜はなったのだろうか、はっきりしない、やはり、明けない限りは、秋九月だと思っていよう。
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後撰和歌集 巻7 歌番号436から440まで

2023年09月28日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻7
歌番号四三六
原文 於止己乃者奈可川良由者无止天幾久安利止幾久止己呂尓
己比尓徒可者之多利遣礼者者奈尓久波部天
徒可者之遣流
読下 男の「花鬘結はん」とて、菊ありと聞く所に
乞ひにつかはしたりければ、花に加へて
つかはしける

原文 与美比止毛
読下 詠み人も

原文 美奈飛止尓於良礼尓个利止幾久乃者奈幾美可多女尓曽川由者遠幾个留
和歌 みなひとに をられにけりと きくのはな きみかためにそ つゆはおきける
読下 みな人に折られにけりと菊の花君がためにぞ露は置きける
解釈 皆、人にすっかり手折られてしまったと聞く、その菊の花、ただ、貴方ために残して置いた、この菊の花、その菊の花に貴方の長寿を祝う露は置いていますよ。

歌番号四三七
原文 堂以之良春
読下 題知らす

原文 与美比止毛
読下 詠み人も

原文 布久可世尓満可寸留不祢也安幾乃与乃川幾乃宇部与利遣不者己久良无
和歌 ふくかせに まかするふねや あきのよの つきのうへより けふはこくらむ
読下 吹く風にまかする舟や秋の夜の月の上より今日は漕ぐらん
解釈 吹く風に任せて進む天の河の三日月の舟よ、雲が流れて、秋の夜の月の付近から今日は雲海を漕ぎ出すようです。

歌番号四三八
原文 毛美知乃知利川毛礼留幾乃毛止尓天
読下 紅葉の散り積もれる木のもとにて

原文 与美比止毛
読下 詠み人も

原文 毛美知者々知留己乃毛止尓止満利个利寸幾由久安幾也以川知奈留良武
和歌 もみちはは ちるこのもとに とまりけり すきゆくあきや いつちなるらむ
読下 もみぢ葉は散る木のもとにとまりけり過ぎ行く秋やいづちなるらむ
解釈 紅葉の葉は枯れ葉となり散る木の根元に留まっている、でも、過ぎ行く秋は、どこへ行ったのでしょうか。

歌番号四三九
原文 和寸礼尓个留於止己乃毛美知遠々利天遠久利天者部利个礼八
読下 忘れにける男の紅葉を折りて贈りて侍りければ

原文 与美比止毛
読下 詠み人も

原文 遠毛比以天々止布尓八安良之安幾者川留以呂乃加幾利遠三寸留奈留良无
和歌 おもひいてて とふにはあらし あきはつる いろのかきりを みするなるらむ
読下 思ひ出でて問ふにはあらじ秋果つる色の限りを見するなるらん
解釈 思い出して、私の消息を尋ねたのではないでしょう、秋が果てて行く、その言葉のような、貴方の私への飽き果てた、その感情の様を見せているのでしょうか。

歌番号四四〇
原文 奈可川幾乃徒己毛利乃比毛美知尓比於遠川个天
遠己世天者部利个礼者
読下 長月のつごもりの日、紅葉に氷魚をつけて
おこせて侍りけれは

原文 知可奴可武寸女
読下 ちかぬかむすめ(藤原千兼女)

原文 宇知也満乃毛美知遠三寸八奈可川幾乃寸幾由久比遠毛志良寸曽安良末之
和歌 うちやまの もみちをみすは なかつきの すきゆくひをも しらすそあらまし
読下 宇治山の紅葉を見ずは長月の過ぎ行く日をも知らずぞあらまし
解釈 贈ってくれた、この宇治山の紅葉を見なかったなら、長月(九月)の過ぎ行く日をも、また、その言葉の響きのような氷魚(秋の小鮎)をも、気が付かないままでした。

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後撰和歌集 巻7 歌番号431から435まで

2023年09月27日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻7
歌番号四三一
原文 幾毛乃者奈於礼利止天日止乃以比者部礼个礼者
読下 菊の花折れりとて人の言ひ侍りければ

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 以多川良尓川由尓遠可留々者奈可止天己々呂毛志良奴飛止也於利个无
和歌 いたつらに つゆにおかるる はなかとて こころもしらぬ ひとやをりけむ
読下 いたづらに露に置かるる花かとて心も知らぬ人や折りけん
解釈 どうせ、虚しく露に置かれるだけの花だと思って、その花の主の気持ちも判らない人が手折ったのでしょうか。

歌番号四三二
原文 三乃奈利以天奴己止奈止奈个幾者部利个留己呂
幾乃止毛乃利加毛止与利以可尓曽止々比遠己世者部利遣礼者
可部之己止尓幾久乃者奈遠々利天川可八之个留
読下 身の成り出でぬことなど嘆き侍りけるころ、
紀友則がもとより、「いかにぞ」と問ひおこせて侍りければ、
返事に菊の花を折りてつかはしける

原文 布知八良乃多々由幾
読下 藤原忠行

原文 衣多毛者毛宇川呂不安幾乃者奈三礼者々天者加計奈久奈利奴部良也
和歌 えたもはも うつろふあきの はなみれは はてはかけなく なりぬへらなり
読下 枝も葉も移ろふ秋の花見れば果ては蔭なくなりぬべらなり
解釈 枝も葉も色が変わって行く秋の花を見れば、最後にはその花を照らす光さえも無くなってしまうに違いないと思われることです。(私には身を立ててくれる御蔭となる人もいないようです。)

歌番号四三三
原文 可部之
読下 返し

原文 止毛乃利
読下 とものり(紀友則)

原文 志川久毛天与者比乃不天不者奈々礼者知与乃安幾尓曽可个者之个良无
和歌 しつくもて よはひのふてふ はななれは ちよのあきにそ かけはしけらむ
読下 雫もて齢延ぶてふ花なれば千代の秋にぞ影は繁らん
解釈 菊の花に置く露の滴により寿命が延びると言う、その菊の花ですから、千代を経た秋にこそ、花に日の光はたくさん注ぐでしょう。(きっと、あなたにも御蔭となる光がたくさん降るでしょう。)

歌番号四三四
原文 衣无幾乃於本无止幾安幾乃宇多女之安利个礼者多天万川利个留
読下 延喜御時、秋歌召しありければたてまつりける

原文 川良由幾
読下 つらゆき(紀貫之)

原文 安幾乃川幾比加利左也計美毛三知者乃於川留可个左部三衣和多留可奈
和歌 あきのつき ひかりさやけみ もみちはの おつるかけさへ みえわたるかな
読下 秋の月光さやけみもみぢ葉の落つる影さへ見えわたるかな
解釈 秋の月の光が清らかで明るいから、紅葉の葉の落ちる、その葉の影までも眺めることが出来そうだ。

歌番号四三五
原文 堂以之良春
読下 題知らす

原文 与美比止毛
読下 詠み人も

原文 安幾己止尓徒良遠者奈礼奴加利可年者々留可部留止毛加部良左良奈无
和歌 あきことに つらをはなれぬ かりかねは はるかへるとも かへらさらなむ
読下 秋ごとに列を離れぬ雁が音は春帰るとも帰らざらなん
解釈 秋ごとに列から離れることなく飛ぶ、その雁の鳴き声は、春の季節が終わり、次の年までの待機に春が帰って行っても、北の国に帰らないで欲しいものだ。

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後撰和歌集 巻7 歌番号426から430まで

2023年09月26日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻7
歌番号四二六
原文 加礼尓个留於止己乃安幾止部利个留尓
読下 かれにける男の秋問へりけるに

原文 武可之乃之也宇幾与宇天无乃安己幾
読下 むかしの承香殿のあこき(昔承香殿安己幾)

原文 登不己止乃安幾志毛満礼尓幾己由留者加利尓也和礼遠比止乃多乃女之
和歌 とふことの あきしもまれに きこゆるは かりにやわれを ひとのたのめし
読下 問うことの秋しもまれに聞こゆるはかりにや我を人の頼めし
解釈 鳴き渡って、その朋を問う、秋にも稀に聞くばかりの雁ではありませんが、貴方の私の消息を問うことが、この秋に限っても稀と思われるますのは、貴方がかりそめにも私に心を寄せていたと思っていたからでしょうか。

歌番号四二七
原文 毛美知止以呂己幾左以天止遠遠无奈乃毛止尓川可者之天
読下 紅葉と色濃き裂いでとを女のもとにつかはして

原文 美奈毛止乃止々乃不
読下 みなもとのととのふ(源整)

原文 幾美己不止奈美堂尓奴留々和可曽天止安幾乃毛美知止以川礼万佐礼利
和歌 きみこふと なみたにぬるる わかそてと あきのもみちと いつれまさけり
読下 君恋ふと涙に濡るる我が袖と秋の紅葉といづれまされり
解釈 貴女を恋慕うと泣く血の涙に濡れるこの私の袖(を裂いた布)と秋の紅葉の葉とでは、どちらが紅が増さっているでしょうか。

歌番号四二八
原文 堂以之良寸
読下 題知らす

原文 与美比止毛
読下 詠み人も

原文 帝累川幾乃安幾志毛己止尓佐也个幾者知留毛美知者遠与留毛三与止可
和歌 てるつきの あきしもことに さやけきは ちるもみちはを よるもみよとか
読下 照る月の秋しもことにさやけきは散るもみぢ葉を夜も見よとか
解釈 照る月が秋に殊更に清く明るいのは、散る紅葉の葉を夜も見なさいと言うことなのか。

歌番号四二九
原文 布留美也乃奈為之尓加祢也春乃安曾无志乃飛天加与者之者部利遣流
布美遠止利天加幾川个天奈為之尓川可八之个留
読下 故宮の内侍に兼輔朝臣忍びてかよはし侍りける、
文を取りて書きつけて、内侍につかはしける

原文 与美比止毛
読下 詠み人も

原文 奈止和可三志多波毛美知止奈利尓个无於奈之奈个木乃衣多尓己曽安礼
和歌 なとわか身したはもみちと成りにけんおなしなけきの枝にこそあれ
読下 など我が身下葉紅葉となりにけん同じなげ木の枝にこそあれ
解釈 どうして我が身は、下葉が紅葉するように人が気が付かないままになってしまったと同じになってしまったのだろうか、兼輔と同じく貴女への稔らぬ恋の嘆きの木の枝であったのに。

歌番号四三〇
原文 安幾也美奈留与加礼己礼毛乃可多知之者部留安比多
加利乃奈幾和多利者部礼个礼八
読下 秋闇なる夜、かれこれ物語りし侍る間、
雁の鳴き渡り侍りければ

原文 美奈毛止乃和多春
読下 源わたす(源済)

原文 安可々良波三留部幾毛乃遠加利可祢乃以川己者可利尓奈幾天由久良无
和歌 あかからは みるへきものを かりかねの いつこはかりに なきてゆくらむ
読下 明からば見るべき物を雁が音のいづこばかりに鳴きて行くらん
解釈 明るいと見ることが出来るでしょう、その雁の鳴き声、その雁はどこを目指して鳴いて飛んでいくのだろうか。

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後撰和歌集 巻7 歌番号421から425まで

2023年09月25日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻7
歌番号四二一
原文 堂以之良寸
読下 題知らす

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 可世乃遠止乃加幾利止安幾也世女川良无布幾久留己止仁己恵乃和日之幾
和歌 かせのおとの かきりとあきや せめつらむ ふきくることに こゑのわひしき
読下 風の音の限りと秋やせめつらん吹き来るごとに声のわびしき
解釈 風の音の限りまでと、秋は責め立てたのでしょうか、吹いて来る風ごとに、その風音がやりきれない寂しさです。

歌番号四二二
原文 堂以之良寸
読下 題知らす

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 毛美知波尓多万礼留加利乃奈美多尓八川幾乃加个己曽宇徒留部良奈礼
和歌 もみちはに たまれるかりの なみたには つきのかけこそ うつるへらなれ
読下 もみぢ葉にたまれる雁の涙には月の影こそ移るべらなれ
解釈 紅葉の葉に溜まる雁の涙で紅葉が進むと言うが、その溜まれる涙の滴に月の光こそ、写っているようだ。

歌番号四二三
原文 安飛之利天者部利个留於止己乃飛佐之宇止者寸者部利个連者
奈可川幾者可利尓川可八之个留
読下 あひ知りて侍りける男の久しう訪はず侍りければ、
長月ばかりにつかはしける

原文 宇己无
読下 右近

原文 於保可多乃安幾乃曽良多尓和比之幾尓毛乃遠毛日曽不留幾美尓毛安留可奈
和歌 おほかたの あきのそらたに わひしきに ものおもひそふる きみにもあるかな
読下 おほかたの秋の空だにわびしきに物思ひ添ふる君にもあるかな
解釈 なにもないような普段の秋の空だけでも寂しく思うのに、その寂しい物思いに、人を待つと言うわびしさを添える、貴方の振る舞いなのですね。

歌番号四二四
原文 堂以之良寸
読下 題知らす

原文 与美比止毛
読下 詠み人も

原文 和可己止久毛乃於毛日遣良之々良川由乃与遠以多川良尓越幾安可之川々
和歌 わかことく ものおもひけらし しらつゆの よをいたつらに おきあかしつつ
読下 わがごとく物思ひけらし白露の夜をいたづらに置き明かしつつ
解釈 きっと、私と同じように物想いをしているのでしょう、白露が夜を虚しく己が身を草に置き明かしています。(私も物思いに夜を起き明かしています。)

歌番号四二五
原文 安飛之利天者部利个留飛止乃知/\万天己寸奈利尓个礼八
於止己乃於也幾々天奈保満可利止部止毛宇之遠之布止
幾々天乃知尓万天幾多利遣礼者
読下 あひ知りて侍りける人、後々まで来ずなりにければ、
男の親聞きて、なほまかり訪へと申し教ふと
聞きて、後にまで来たりければ、

原文 多比良乃己礼毛知乃安曾无乃无寸女
読下 平伊望朝臣女

原文 安幾布可美与曽尓乃美幾久志良川由乃堂可己止乃波尓加々留奈留良无
和歌 あきふかみ よそにのみきく しらつゆの たかことのはに かかるなるらむ
読下 秋深みよそにのみ聞く白露の誰が言の葉にかかるなるらん
解釈 秋が深い、その言葉のように、すっかり貴方の私への飽きが深くなり、他の女との噂ばかりを聞く、菊の白露が置き行く着く葉、その言葉の響きではありませんが、誰の言葉により、このように再び訪れることになったのでしょうか。

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