歌番号二二七
原文 布无末幾乃奈奴可尓由不可多満天己武止以飛天
者部利遣留尓安免布利者部利个礼者万天己天
読下 文月の七日に、夕方、詣で来むと言ひて
はべりけるに、雨降り侍りければ、詣で来で
原文 美奈毛堂乃奈可多々
読下 源中正
原文 安免布利天三末万佐里个利阿女乃可者己与比者与曽尓己比武止也三之
和歌 あめふりて みつまさりけり あまのかは こよひはよそに こひむとやみし
読下 雨降りて水まさりけり天の河今宵はよそに恋ひむとや見し
解釈 雨が降って、水嵩が増さってしまった天の河よ、今宵は牽牛織姫の二人は離れたままで恋慕うでしょうと、家で雨空を見上げました。
歌番号二二八
原文 可部之
読下 返し
原文 与美比止之良須
読下 詠み人知らす
原文 三末万佐利安佐幾世志良寸奈利奴止毛安万乃止王多留布祢毛奈之也八
和歌 みつまさり あさきせしらす なりぬとも あまのとわたる ふねもなしやは
読下 水まさり浅き瀬知らずなりぬとも天の門渡る舟もなしやは
解釈 水嵩が増さって徒歩で渡る浅い瀬を知らなくても、天の湊を渡る舟も全くに無いのでしょうか。
歌番号二二九
原文 奈奴可比尓遠无奈乃毛止尓徒可者之个留
読下 七日、女のもとにつかはしける
原文 布知八良乃可祢美
読下 藤原兼三
原文 多奈者多毛安不与安利个利安万乃可者己乃王多利尓八和多留世毛奈之
和歌 たなはたも あふよありけり あまのかは このわたりには わたるせもなし
読下 織女も逢ふ夜ありけり天の河このわたりには渡る瀬もなし
解釈 織姫も年に1度は牽牛に逢う夜はあります、ですが、(貴女の許へとなる、)天の河のこの渡し場には渡って行けるような浅瀬もありません。
歌番号二三〇
原文 加礼尓个留於止己乃奈奴可比乃与万天幾多利个礼八
遠无奈乃与美天者部利个留
読下 かれにける男の、七日の夜、詣で来たりければ、
女のよみて侍りける
原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知れず
原文 飛己保之乃万礼尓安不与乃止己奈末者宇知者良部止毛徒由个可利遣利
和歌 ひこほしの まれにあふよの とこなつは うちはらへとも つゆけかりけり
読下 彦星のまれに逢ふ夜の常夏はうち払へども露けかりけり
解釈 彦星のように年に一度ほどの稀に逢う夜、その夜の常夏、その言葉ではありませんが、床を為す、その床となる打掛の衣を打ち払っても、私の貴方に逢えない寂しさに涙の露が掛かっていました。
歌番号二三一
原文 奈奴可乃与比止乃毛止与利可者之己止尓己与比安者无止
以飛於己世天者部利个礼者
読下 七日、人のもとより返事に、今宵逢はん
と言ひおこせて侍りければ
原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす
原文 己飛/\天安者武止遠毛布由不久礼八多奈者多川女毛加久曽安留良之
和歌 こひこひて あはむとおもふ ゆふくれは たなはたつめも かくそあるらし
読下 恋ひ恋ひてあ逢はむと思ふ夕暮れは織姫もかくぞあるらし
解釈 貴女に恋い慕い、きっと、お逢いしたいと願う、この夕暮れは、牽牛を待つ織姫もこのように逢いたいと思っているのでしょうか。
原文 布无末幾乃奈奴可尓由不可多満天己武止以飛天
者部利遣留尓安免布利者部利个礼者万天己天
読下 文月の七日に、夕方、詣で来むと言ひて
はべりけるに、雨降り侍りければ、詣で来で
原文 美奈毛堂乃奈可多々
読下 源中正
原文 安免布利天三末万佐里个利阿女乃可者己与比者与曽尓己比武止也三之
和歌 あめふりて みつまさりけり あまのかは こよひはよそに こひむとやみし
読下 雨降りて水まさりけり天の河今宵はよそに恋ひむとや見し
解釈 雨が降って、水嵩が増さってしまった天の河よ、今宵は牽牛織姫の二人は離れたままで恋慕うでしょうと、家で雨空を見上げました。
歌番号二二八
原文 可部之
読下 返し
原文 与美比止之良須
読下 詠み人知らす
原文 三末万佐利安佐幾世志良寸奈利奴止毛安万乃止王多留布祢毛奈之也八
和歌 みつまさり あさきせしらす なりぬとも あまのとわたる ふねもなしやは
読下 水まさり浅き瀬知らずなりぬとも天の門渡る舟もなしやは
解釈 水嵩が増さって徒歩で渡る浅い瀬を知らなくても、天の湊を渡る舟も全くに無いのでしょうか。
歌番号二二九
原文 奈奴可比尓遠无奈乃毛止尓徒可者之个留
読下 七日、女のもとにつかはしける
原文 布知八良乃可祢美
読下 藤原兼三
原文 多奈者多毛安不与安利个利安万乃可者己乃王多利尓八和多留世毛奈之
和歌 たなはたも あふよありけり あまのかは このわたりには わたるせもなし
読下 織女も逢ふ夜ありけり天の河このわたりには渡る瀬もなし
解釈 織姫も年に1度は牽牛に逢う夜はあります、ですが、(貴女の許へとなる、)天の河のこの渡し場には渡って行けるような浅瀬もありません。
歌番号二三〇
原文 加礼尓个留於止己乃奈奴可比乃与万天幾多利个礼八
遠无奈乃与美天者部利个留
読下 かれにける男の、七日の夜、詣で来たりければ、
女のよみて侍りける
原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知れず
原文 飛己保之乃万礼尓安不与乃止己奈末者宇知者良部止毛徒由个可利遣利
和歌 ひこほしの まれにあふよの とこなつは うちはらへとも つゆけかりけり
読下 彦星のまれに逢ふ夜の常夏はうち払へども露けかりけり
解釈 彦星のように年に一度ほどの稀に逢う夜、その夜の常夏、その言葉ではありませんが、床を為す、その床となる打掛の衣を打ち払っても、私の貴方に逢えない寂しさに涙の露が掛かっていました。
歌番号二三一
原文 奈奴可乃与比止乃毛止与利可者之己止尓己与比安者无止
以飛於己世天者部利个礼者
読下 七日、人のもとより返事に、今宵逢はん
と言ひおこせて侍りければ
原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす
原文 己飛/\天安者武止遠毛布由不久礼八多奈者多川女毛加久曽安留良之
和歌 こひこひて あはむとおもふ ゆふくれは たなはたつめも かくそあるらし
読下 恋ひ恋ひてあ逢はむと思ふ夕暮れは織姫もかくぞあるらし
解釈 貴女に恋い慕い、きっと、お逢いしたいと願う、この夕暮れは、牽牛を待つ織姫もこのように逢いたいと思っているのでしょうか。
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