竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻19 歌番号1324から1328まで

2024年06月05日 | 後撰和歌集 現代語訳

歌番号一三二四

原文 三知乃久尓部万可利个留飛止尓安不幾天宇之天

宇多恵尓加々世者部利个留

読下 陸奥へまかりける人に、扇調じて、

歌絵に書かせ侍りける

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 王可礼由久三知乃久毛為尓奈利由个者止万留己々呂毛曽良尓己曽奈礼

和歌 わかれゆく みちのくもゐに なりゆけは とまるこころも そらにこそなれ

読下 別れ行く道の雲居になり行けば止まる心も空にこそなれ

解釈 貴方が私と別れて行く道中が遥かとなり雲居のようになっていくと、都に留まる私の気持ちは、雲居の空のように、気もそぞろになってしまいます。

 

歌番号一三二五

原文 武祢由幾乃安曾无乃武寸女美知乃久尓部久多利个留尓

読下 宗于朝臣の女、陸奥へ下りけるに

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 以可天奈保加左止利也万尓美遠奈之天川由个幾多比尓曽者武止曽於毛不

和歌 いかてなほ かさとりやまに みをなして つゆけきたひに そはむとそおもふ

読下 いかでなほ笠取山に身をなして露けき旅に添はむとぞ思ふ

解釈 どうにかして、笠取山、その言葉の響きではありませんが、我が身を笠と為して、貴女が旅行くでしょう露深い旅路に御伴したい気持ちです。

注意 古今和歌集「みさぶらひ御笠と申せ宮城野の木の下露は雨にまされり」を引用する。

 

歌番号一三二六

原文 加部之

読下 返し

 

原文 武祢由幾乃安曾无乃武寸女

読下 宗于朝臣のむすめ(源宗于朝臣女)

 

原文 加左止利乃也万止多乃美之幾美遠々幾天奈良美多乃安女尓奴礼川々曽由久

和歌 かさとりの やまとたのみし きみをおきて なみたのあめに ぬれつつそゆく

読下 笠取の山と頼みし君を置きて涙の雨に濡れつつぞ行く

解釈 笠取山の、その山のように信頼していた貴方を都に残し、別れの悲しみの涙の雨に濡れながら旅立っていきます。

 

歌番号一三二七

原文 越止己乃以世乃久尓部万可利个留尓

読下 男の伊勢国へまかりけるに

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 幾美可由久可多尓安利天不奈美多可者満川者曽天尓曽奈可部良奈留

和歌 きみかゆく かたにありてふ なみたかは まつはそてにそ なかるへらなる

読下 君が行く方に有りてふ涙河まづは袖にぞ流るべらなる

解釈 貴方が旅立って行く国に有ると言う、その涙河、でも、貴方が伊勢に着く前に、先ず、その涙の河が私の袖に流れることであります。

 

歌番号一三二八

原文 堂比尓万可利个留飛止尓佐宇曽久徒加者寸止天

曽部天徒可者之个留

読下 旅にまかりける人に装束つかはすとて、

添へてつかはしける

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 曽天奴礼天和可礼者寸止毛可良己呂毛由久止奈以比曽幾多利止遠美武

和歌 そてぬれて わかれはすとも からころも ゆくとないひそ きたりとをみむ

読下 袖濡れて別れはすとも唐衣行くとな言ひそ来たりとを見む

解釈 別れの悲しみに袖を濡れるほどに涙を流しての別れをしても、唐衣よ、行くと言わないで、着るの響きではありませんが、言って来たと言う姿を見たいものです。

 

コメント
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