竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻19 歌番号1359から1363まで

2024年06月14日 | 後撰和歌集 現代語訳

歌番号一三五九

原文 宇知止乃止以不止己呂遠

読下 宇治殿といふ所を

 

原文 以世

読下 伊勢

 

原文 美川毛世尓宇幾奴留止幾者志可良美乃宇知乃止乃止毛美恵奴毛美知八

和歌 みつもせに うきたるときは しからみの うちのとのとも みえぬもみちは

読下 水もせに浮きぬる時はしがらみの内の外のとも見えぬもみぢ葉

解釈 水面も狭くなるように浮き流れている時は、川の中に立てた柵の内も外も共に水面が見えないほどの紅葉です。

 

歌番号一三六〇

原文 宇美乃本止利尓天己礼可礼世宇衣宇之者部利个留川以天尓

読下 海のほとりにて、これかれ逍遥し侍りけるついでに

 

原文 己末知

読下 こまち(小野小町)

 

原文 者奈左幾天美奈良奴毛乃者和多川宇三乃加左之尓左世留於幾川志良奈美

和歌 はなさきて みならぬものは わたつうみの かさしにさせる おきつしらなみ

読下 花咲きて実ならぬ物はわたつうみのかざしに挿せる沖つ白浪

解釈 花が咲いて実がならない事柄は、海の神、その言葉の響きの、髪に簪として挿したように、押し寄せる沖から白浪のようなものです。(確かにそれはあるのですが、でも、何も残らないのです。)

 

歌番号一三六一

原文 安徒万奈留飛止乃毛止部満可利个留三知尓佐可美乃

阿之可良乃世幾尓天於无奈乃美也己尓万可利乃本利个留

尓安比天

読下 東なる人のもとへまかりける道に、相模の

足柄の関にて、女の京にまかり上りける

に逢ひて

 

原文 之无世為保宇之

読下 真静法師

 

原文 安之可良乃世幾乃也万知遠由久飛止者志留止志良奴毛宇止可良奴可奈

和歌 あしからの せきのやまちを ゆくひとは しるもしらぬも うとからぬかな

読下 足柄の関の山路を行く人は知るも知らぬも疎からぬかな

解釈 足柄の関の山路を都へと帰って行く人は、あの「知るも知らぬ」の歌ではありませんが、逢坂を通っているのでしょうから、顔見知りの人もそうでない人も、関係が疎い人とは思えません。

注意 雑一・歌番号一〇八九「これやこの往くも帰るも別れつつ知るも知らぬも相坂の関」を引用する。

 

歌番号一三六二

原文 保宇己宇止遠幾止己呂尓也万布美之多末宇天美也己尓

加部利多万不尓多比也止利之太末宇天於保武止毛

尓佐布良不堂宇曽久宇多与万世堂万比个留尓

読下 法皇、遠き所に山踏みしたまうて、京に

帰りたまふに、旅宿りしたまうて、御供

にさぶらふ道俗、歌よませ給ひけるに

 

原文 之也宇世以之也宇保宇

読下 僧正聖宝

 

原文 飛止己止尓遣不/\止乃美己比良留々美也己知可久毛奈利尓个留可奈

和歌 ひとことに けふけふとのみ こひらるる みやこちかくも なりにけるかな

読下 人ごとに今日今日とのみ恋ひらるる都近くもなりにけるかな

解釈 あの人もこの人も人毎に、今日は帰るのか今日は帰るのかとばかりに、恋慕っていた都が近くなりました。

 

歌番号一三六三

原文 止左与利尓武者天々乃本利者部利个留尓布祢乃宇知尓天

川幾遠美天

読下 土左より任果てて上り侍りけるに、舟のうちにて

月を見て

 

原文 従良由幾

読下 つらゆき(紀貫之)

 

原文 天累川幾乃奈可留々美礼者安満乃可八以川留三那止者宇美尓曽安利个留

和歌 てるつきの なかるるみれは あまのかは いつるみなとは うみにそありける

読下 照る月の流るる見れば天の河出づる港は海にぞ有りける

解釈 船の上にあって照る三日月の月の舟が空を流れて行く様をみれば、(都で見ていた様とは違い)天の川に月の舟が出航する港は、この海原にあったようです。

注意 万葉集「天の海に月の舟浮け桂楫かけて漕ぐ見ゆ月人荘子」を引用し、月を船を見立てています。

 

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