竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻19 歌番号1349から1353まで

2024年06月12日 | 後撰和歌集 現代語訳

歌番号一三四九

原文 止遠幾止己呂尓万可留止天於无奈乃毛止尓川可者之个留

読下 遠き所にまかるとて女のもとにつかはしける

 

原文 従良由幾

読下 貫之(紀貫之)

 

原文 和春礼之止己止尓武寸日天和可留礼者安比美武万天者於毛日三多留奈

和歌 わすれしと ことにむすひて わかるれは あひみむまては おもひみたるな

読下 忘れじとことに結びて別るればあひ見むまでは思ひ乱るな

解釈 貴女が私のことを忘れません、と言葉で約束して別れたのだから、貴女は私のことを信頼して、再び逢う時まで思い乱れないでください。

 

 

原文 多比乃宇多

読下 羇旅歌

 

歌番号一三五〇

原文 安留飛止以也之幾奈止利天止宇止宇三乃久尓部満可留止天

者川世可者遠和多留止天与美者部利个留

読下 ある人いやしき名取りて、遠江国へまかるとて、

初瀬河を渡るとてよみ侍りける

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 者川世可者和多留世佐部也尓己留良无与尓寸美可多幾和可三止於毛部者

和歌 はつせかは わたるせさへや にこるらむ よにすみかたき わかみとおもへは

読下 初瀬河渡る瀬さへや濁るらん世に住みがたき我が身と思へば

解釈 東へ下るのに初めて渡る瀬、その言葉の響きのような初瀬河の、その渡る瀬さえも、私が汚名を被ったように濁っているのでしょう、遠島の処罰を受けてこの世に住み難い私の身の上の状況を考えると。

 

歌番号一三五一

原文 多和礼之万遠美天

読下 たはれ島を見て

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 奈尓之於者々安多尓曽於毛不堂者礼之万奈美乃奴礼幾奴以久与幾川良无

和歌 なにしおはは あたにそおもふ たはれしま なみのぬれきぬ いくよきつらむ

読下 名にし負はばあだにぞ思ふたはれ島浪の濡衣いく夜着つらん

解釈 「たはれ」という名前を持っていると、浮気者だと思いますよ、さて、たはれ島はその島の名前で、浪で衣が濡れる、そのような濡れ衣を、どれほどの夜を着ているのでしょうか。

 

歌番号一三五二

原文 安徒万部万可利个留尓寸幾奴留可多己比之久於本衣

个留本止尓可者遠和多利个留尓奈美乃多知

遣累遠三天

読下 東へまかりけるに、過ぎぬる方恋しくおぼえ

けるほどに、河を渡りけるに、浪の立ち

けるを見て

 

原文 奈利比良乃安曾无

読下 業平朝臣(在原業平)

 

原文 伊止々之久寸幾由久可多乃己比之幾尓宇良也末之久毛可部留奈美可奈

和歌 いととしく すきゆくかたの こひしきに うらやましくも かへるなみかな

読下 いとどしく過ぎ行く方の恋しきにうら山しくも帰る浪かな

解釈 ここまで都から下って来ると、とても旅をして通り過ぎて来た道中が恋しいのに、憎らしいことに川面に打ち返す浪が立っている、その言葉の響きではありませんが、都へ帰るなと言う我が身です。

 

歌番号一三五三

原文 志良也万部万宇天个留尓美知奈可与利多与利乃

飛止尓川个天徒可者之个留

読下 白山へまうでけるに、道中より便りの

人につけてつかはしける

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 美也己満天遠止尓布利久留志良也万者由幾川幾可多幾止己呂奈利个利

和歌 みやこまて おとにふりくる しらやまは ゆきつきかたき ところなりけり

読下 都まで音に降り来る白山は行き着きがたき所なりけり

解釈 古くから都までに評判が聞こえる、たくさんの雪が降り来る越路の白山は、雪が尽き難い、その響きのような、行き着き難い場所なのです。

 

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