竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻20 歌番号1383から1387まで

2024年06月21日 | 後撰和歌集 現代語訳

歌番号一三八三

原文 為无乃宇部尓天美也乃於保无可多与利己波武以多左世

多万比个留己以之計乃布多尓

読下 院の殿上にて、宮の方御より碁盤出ださせ

たまひける、碁石笥の蓋に

 

原文 三与宇布以左幾与幾己

読下 命婦いさきよき子(命婦清子)

 

原文 於乃々衣乃久知武毛志良寸幾美可与乃徒幾武加幾利者宇知己々呂見与

和歌 をののえの くちむもしらす きみかよの つきむかきりは うちこころみよ

読下 斧の柄の朽ちむも知らず君が世の尽きむ限りはうちこころみよ

解釈 中国の説話ではありませんが、囲碁の勝負に見とれて斧の柄が朽ち果てる時の経過を忘れた、そのように、貴方の世が尽きぬ間は、この碁石で囲碁を楽しんで下さい。

 

歌番号一三八四

原文 尓之乃与无之与宇乃美己乃以部乃也万尓天

於无奈与従乃美己乃毛止尓

読下 西四条の親王の家の山にて、

女四内親王のもとに

 

原文 美幾乃於本以万宇知幾三

読下 右大臣

 

原文 奈美多天留万川乃美止利乃衣多和加寸越利川々知与遠多礼止可者美武

和歌 なみたてる まつのみとりの えたわかす をりつつちよを たれとかはみむ

読下 並み立てる松の緑の枝分かず折りつつ千代を誰れとかは見む

解釈 並んで立っている松の、その緑の枝を区別せずに両方とも手折りながら、その千代の命を、さて、誰と見ましょうか。(その千代の命を、貴女と共に見たいものです。)

 

歌番号一三八五

原文 之者寸者可利尓加宇不利寸留止己呂尓天

読下 十二月はかりに、かうふりする所にて

 

原文 従良由幾

読下 つらゆき(紀貫之)

 

原文 以者不己止安利止奈留部之个不奈礼止止之乃己奈多尓者留毛幾尓个利

和歌 いはふこと ありとなるへし けふなれと としのこなたに はるもきにけり

読下 祝ふこと有りとなるべし今日なれど年のこなたに春も来にけり

解釈 元服という、この祝うことがあるからなのでしょう、十二月の今日なのですが、年の内に立春が来てしまいました。

 

 

原文 可奈之比乃宇多

読下 哀傷哥

 

歌番号一三八六

原文 安徒止之可三満可利尓个留遠満多幾可天

阿川満与利武万遠々久利天者部利个礼者

読下 敦敏が身まかりにけるを、まだ聞かで、

東より馬を贈りて侍りければ

 

原文 比多利乃於本以万宇知幾三

読下 左大臣

 

原文 満多志良奴飛止毛安利个留安川万知尓和礼毛由幾天曽寸武部可利个留

和歌 またしらぬ ひともありけり あつまちに われもゆきてそ すむへかりける

読下 まだ知らぬ人も有りける東路に我も行きてぞ住むべかりける

解釈 私の息子が死んだことを、まだ、知らない人もいる、その東路に私も行って住みたいものです。(そうすれば、息子が死んだことを知らなく済む。)

 

歌番号一三八七

原文 安尓乃布久尓天以知之与宇尓満可利天

読下 兄の服にて、一条にまかりて

 

原文 於本幾於本以万宇知幾三

読下 太政大臣

 

原文 者留乃与乃由女乃奈可尓毛於毛比幾也幾美奈幾也止遠由幾天見武止八

和歌 はるのよの ゆめのなかにも おもひきや きみなきやとを ゆきてみむとは

読下 春の夜の夢の中にも思ひきや君亡き宿を行きて見むとは

解釈 儚い春の夜に見る夢の中にも、思いもよりませんでした、亡くなった兄、その貴方が残した屋敷に行って、その屋敷に残る人々の様子を見るとは。

 

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