竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻18 歌番号1295から1299まで

2024年05月28日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻18

歌番号一二九五

原文 川良加利个留越止己乃者良可良乃毛止尓川可八之个留

読下 つらかりける男のはらからのもとにつかはしける

 

原文 与美飛止毛

読下 詠み人も

 

原文 佐々加尓乃曽良尓寸可个留以止与利毛己々呂本曽之也多衣奴止於毛部八

和歌 ささかにの そらにすかける いとよりも こころほそしや たえぬとおもへは

読下 ささがにの空に巣がける糸よりも心細しや絶えぬと思へば

解釈 蜘蛛が空中に巣を懸ける糸よりも、もっと心細いものです、細い蜘蛛の糸が切れるのではないかと思うように、あの人との関係が絶えてしまうのではないかと思えるので。

 

歌番号一二九六

原文 加部之

読下 返し

 

原文 与美飛止毛

読下 詠み人も

 

原文 可世布遣者多衣奴止三由留久毛乃以毛万多加幾川可天也武止也八幾久

和歌 かせふけは たえぬとみゆる くものいも またかきつかて やむとやはきく

読下 風吹けば絶えぬと見ゆる蜘蛛の網も又かき継がでやむとやは聞く

解釈 風が吹いて蜘蛛の巣の糸が切れたと見える、その蜘蛛の網のような巣も、再び継いで作り直さないで止めてしまうとは聞いたことがありません、(諦めないことですよ。)

 

歌番号一二九七

原文 布之美止以不止己呂尓天

読下 伏見といふ所にて

 

原文 与美飛止毛

読下 詠み人も

 

原文 奈尓多知天婦之美乃佐止々以不己止者毛美知遠止己尓之个八奈利个利

和歌 なにたちて ふしみのさとと いふことは もみちをとこに しけはなりけり

読下 名に立ちて伏見の里といふ事は紅葉を床に敷けばなりけり

解釈 噂が立って吊られるように共寝に臥す身、そのような言葉の響きを持つ、伏見の里と呼ばれるのは、身を赤く染めるよう風情で紅葉した葉を床に敷いているからなのですね。

 

歌番号一二九八

原文 堂以之良寸

読下 題知らす

 

原文 比止之幾乃美己

読下 ひとしきこのみこ(均子内親王)

 

原文 和礼毛於毛不飛止毛和寸留奈安利曽宇美乃宇良不久可世乃也武止幾毛奈久

和歌 われもおもふ ひともわするな ありそうみの うらふくかせの やむときもなく

読下 我も思ふ人も忘るな有磯海の浦吹く風の止む時もなく

解釈 私も貴方のことを恋しい人と思っています、貴方も私のことを忘れないでください、有磯の海に吹く風が止むときがないように。

注意 万葉集「我も思ふ人もな忘れおほなわに浦吹く風の止む時なかれ」を引用している。

 

歌番号一二九九

原文 堂以之良寸

読下 題知らす

 

原文 也万多乃保宇之

読下 山田法師

 

原文 安之比幾乃也末志多止与美奈久止利毛和可己止多衣寸毛乃於毛不良女也

和歌 あしひきの やましたとよみ なくとりも わかことたえす ものおもふらめや

読下 あしひきの山下響み鳴く鳥も我がごと絶えず物思ふらめや

解釈 葦や檜の生い茂る山の麓で啼く鳥も、私と同じように絶えず物思いに泣いているのでしょうか。

注意 万葉集「あしひきの山下響め鳴く鹿の事ともしかも我がこころつま」を意識している。

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