歌番号一八七
原文 多以之良春
読下 題知らす
原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす
原文 堂比祢志天徒末己比寸良之本止々幾寸可美奈比也万尓左与不个天奈久
和歌 たひねして つまこひすらし ほとときす かむなひやまに さよふけてなく
読下 旅寝して妻恋ひすらし郭公神無備山に小夜更けて鳴く
解釈 旅寝の中で妻を恋慕っているらしい、ホトトギスが神無備山で小夜更けて妻を請うて鳴いています。
歌番号一八八
原文 多以之良春
読下 題知らす
原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす
原文 奈川乃与尓己比之幾比止乃加遠止女八者奈多知者奈曽志留部奈利个留
和歌 なつのよに こひしきひとの かをとめは はなたちはなそ しるへなりける
読下 夏の夜に恋しき人の香をとめば花橘ぞしるべなりける
解釈 夏の短い夜に恋しき人の残り香を留め、求めるのであれば、「昔の人の袖の香ぞする」と詠われた、花橘の香りこそ、頼りになるのでは。
歌番号一八九
原文 遠无奈乃毛乃三尓満可利以天多利个留尓
己止久留加多八良尓幾多利个留尓
毛乃奈止以比加者之天乃知尓川可者之个留
読下 女の物見にまかり出でたりけるに、
異車傍らに来たりけるに、
ものなど言ひ交はしてのちにつかはしける
原文 以世
読下 伊勢
原文 本止々幾寸者川可奈留祢遠幾々曽女天安良奴毛曽礼止於本女可礼川々
和歌 ほとときす はつかなるねを ききそめて あらぬもそれと おほめかれつつ
読下 郭公はつかなる音を聞き初めてあらぬもそれとおぼめかれつつ
解釈 ホトトギスのわずかに聞こえる鳴き声を聞き始めて、それからは初めて他の鳥の鳴き声も、ホトトギスの鳴き声かのように聞いてしまいます。(本物のホトトギスの鳴く声をしっかり聞いて間違えないようにするように、貴方の声をしっかり聞いてみたいものです。)
歌番号一九〇
原文 佐可幾布多川者部利个留尓於毛布己止者部利天
読下 五月二つ侍りけるに、思ふ事侍りて
原文 与美比止之良春
読下 詠み人知らす
原文 佐美多礼乃徒々个留止之乃奈可女尓者毛乃於毛日安部留王礼曽和比之幾
和歌 さみたれの つつけるとしの なかめには ものおもひあへる われそわひしき
読下 五月雨の続ける年のながめには物思ひあへる我ぞわひしき
解釈 五月雨が降り続く年の景色の眺めと共に長雨にも物思いを重ね合わせる、そのような私は気持ちは辛いものがあります。
歌番号一九一
原文 遠无奈尓以止志乃比天毛乃以比天加部利天
読下 女にいとしのびてもの言ひて帰りて
原文 与美比止之良春
読下 詠み人知らす
原文 本止々幾寸飛止己恵尓安久留奈川乃与乃安可川幾可多也安不己奈留良无
和歌 ほとときす ひとこゑにあくる なつのよの あかつきかたや あふこなるらむ
読下 郭公一声に明くる夏の夜の暁方やあふごなるらん
解釈 ホトトギスが一声鳴く、その声と共に明けるほんの短い夏の夜の明け方のような、なぜか、貴女と逢う時間はそのような束の間の時なのでしょうか。
原文 多以之良春
読下 題知らす
原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす
原文 堂比祢志天徒末己比寸良之本止々幾寸可美奈比也万尓左与不个天奈久
和歌 たひねして つまこひすらし ほとときす かむなひやまに さよふけてなく
読下 旅寝して妻恋ひすらし郭公神無備山に小夜更けて鳴く
解釈 旅寝の中で妻を恋慕っているらしい、ホトトギスが神無備山で小夜更けて妻を請うて鳴いています。
歌番号一八八
原文 多以之良春
読下 題知らす
原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす
原文 奈川乃与尓己比之幾比止乃加遠止女八者奈多知者奈曽志留部奈利个留
和歌 なつのよに こひしきひとの かをとめは はなたちはなそ しるへなりける
読下 夏の夜に恋しき人の香をとめば花橘ぞしるべなりける
解釈 夏の短い夜に恋しき人の残り香を留め、求めるのであれば、「昔の人の袖の香ぞする」と詠われた、花橘の香りこそ、頼りになるのでは。
歌番号一八九
原文 遠无奈乃毛乃三尓満可利以天多利个留尓
己止久留加多八良尓幾多利个留尓
毛乃奈止以比加者之天乃知尓川可者之个留
読下 女の物見にまかり出でたりけるに、
異車傍らに来たりけるに、
ものなど言ひ交はしてのちにつかはしける
原文 以世
読下 伊勢
原文 本止々幾寸者川可奈留祢遠幾々曽女天安良奴毛曽礼止於本女可礼川々
和歌 ほとときす はつかなるねを ききそめて あらぬもそれと おほめかれつつ
読下 郭公はつかなる音を聞き初めてあらぬもそれとおぼめかれつつ
解釈 ホトトギスのわずかに聞こえる鳴き声を聞き始めて、それからは初めて他の鳥の鳴き声も、ホトトギスの鳴き声かのように聞いてしまいます。(本物のホトトギスの鳴く声をしっかり聞いて間違えないようにするように、貴方の声をしっかり聞いてみたいものです。)
歌番号一九〇
原文 佐可幾布多川者部利个留尓於毛布己止者部利天
読下 五月二つ侍りけるに、思ふ事侍りて
原文 与美比止之良春
読下 詠み人知らす
原文 佐美多礼乃徒々个留止之乃奈可女尓者毛乃於毛日安部留王礼曽和比之幾
和歌 さみたれの つつけるとしの なかめには ものおもひあへる われそわひしき
読下 五月雨の続ける年のながめには物思ひあへる我ぞわひしき
解釈 五月雨が降り続く年の景色の眺めと共に長雨にも物思いを重ね合わせる、そのような私は気持ちは辛いものがあります。
歌番号一九一
原文 遠无奈尓以止志乃比天毛乃以比天加部利天
読下 女にいとしのびてもの言ひて帰りて
原文 与美比止之良春
読下 詠み人知らす
原文 本止々幾寸飛止己恵尓安久留奈川乃与乃安可川幾可多也安不己奈留良无
和歌 ほとときす ひとこゑにあくる なつのよの あかつきかたや あふこなるらむ
読下 郭公一声に明くる夏の夜の暁方やあふごなるらん
解釈 ホトトギスが一声鳴く、その声と共に明けるほんの短い夏の夜の明け方のような、なぜか、貴女と逢う時間はそのような束の間の時なのでしょうか。
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