竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

後撰和歌集 巻10 歌番号696から699まで

2023年12月12日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻10
歌番号六九六
原文 加部之
読下 返し

原文 於本川不祢
読下 おほつ舟(在原棟梁女)

原文 由久三川乃世己止尓布万武安止由部尓堂乃武志留之遠以川礼止可美武
和歌 ゆくみつの せことにふまむ あとゆゑに たのむしるしを いつれとかみむ
読下 行く水の瀬ごとに踏まむ跡ゆゑに頼むしるしをいづれとか見む
解釈 浜千鳥が歩き行く水の瀬ごとに脚で踏む跡のように、貴方はあちらこちらと、恋の文を贈るので、さて、貴方の本当の恋焦がれる気持ちが、どこの女性の許にあるのかと見定めましょうか。

歌番号六九七
原文 飛止乃毛止尓者之女天布美徒可者之多利个留尓
加部之己止者奈久天多々加三遠比幾武寸日天
加部之多利个礼八
読下 人のもとに初めて文つかはしたりけるに、
返事はなくて、ただ紙をひき結びて
返したりければ

原文 美奈毛止乃毛呂安幾良乃安曾无
読下 源もろあきらの朝臣(源庶明)

原文 徒万尓於不留己止奈之久佐遠三留可良尓堂乃武己々呂曽加寸万左利个留
和歌 つまにおふる ことなしくさを みるからに たのむこころそ かすまさりける
読下 つまに生ふることなし草を見るからに頼む心ぞ数まさりける
解釈 貴女からの、軒の妻に生える、その妻の事を為す(共寝する)という文を見ましたから、貴女を恋慕う気持ちは、更に数を増すばかりです。

歌番号六九八
原文 加久天遠己世天者部利个礼止美也川可部寸留比止奈利
个礼者以止万奈久天万多乃安之多尓止己奈川
乃者奈尓川个天遠己世天者部利个留
読下 かくておこせて侍りけれど、宮仕へする人なり
ければ、暇なくて、又の朝に、常夏
の花に付けておこせて侍りける

原文 美奈毛止乃毛呂安幾良乃安曾无
読下 源もろあきらの朝臣(源庶明)

原文 遠久川由乃加々留毛乃止者於毛部止毛加礼世奴毛乃者奈天之己乃者那
和歌 おくつゆの かかるものとは おもへとも かれせぬものは なてしこのはな
読下 置く露のかかる物とは思へども枯れせぬ物は撫子の花
解釈 貴女と過ごした夜、その夜に置く露のように、逢う機会が少なくて、貴女との出逢いはこのようなものとは思っていますが、貴女との関係を枯らさない、それは常夏の異名を持つ長く花を咲かせる撫子の花のようなものです。

歌番号六九九
原文 加部之
読下 返し

原文 加礼寸止毛以可々多乃万武奈天之己乃者奈者止幾者乃以呂尓之安良祢八
和歌 かれすとも いかかたのまむ なてしこの はなはときはの いろにしあらねは
読下 枯れずともいかが頼まむ撫子の花は常盤の色にしあらねば
解釈 常夏の異名を持つ長く花を咲かせる撫子の花は枯れないとしても、どうして、あてにすることが出来るでしょうか。その撫子の花の盛りの色は、常盤を保つ色の盛りではありませんから。(私も年を取りますよ。)

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後撰和歌集 巻10 歌番号691から695まで

2023年12月11日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻10
歌番号六九一
原文 於止己乃於无奈尓布美徒可者之个留遠加部之己止毛
世天多衣尓个礼者末多川可八之个留
読下 男の、女に文つかはしけるを、返事も
せで絶えにければ、又つかはしける

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 布之奈久天幾美可多衣尓之々良以止者与利川幾可多幾毛乃尓曽有个留
和歌 ふしなくて きみかたえにし しらいとは よりつきかたき ものにそありける
読下 ふしなくて君が絶えにし白糸は縒りつきがたき物にぞ有りける
解釈 貴女との「臥し」、共寝することも無く、貴女が絶った二人の仲、その言葉のように、糸を紡ぐ節も無く、切れてしまった白糸は撚り継ぐことが難しいもののようです。それと同じように貴女との縁りを付けることは難しいですか。

歌番号六九二
原文 越止己乃堂比与利満天幾天以末奈无万天幾川幾
多留止以比天者部利个留加部之己止尓
読下 男の旅よりまで来て、今なんまで来着き
たると言ひて侍りける返事に

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 久左万久良己乃多比部徒留止之川幾乃宇幾者可部利天宇礼之可良奈无
和歌 くさまくら このたひへつる としつきの うきはかへりて うれしからなむ
読下 草枕この旅経つる年月の憂きは帰りてうれしからなん
解釈 草を枕に旅寝する、この旅路で過ぎ去った年月での辛い気持ちは、貴方が私の許に帰り来て、きっと、私を嬉しがらしてくれるでしょう。

歌番号六九三
原文 於止己乃本止飛佐之宇安利天満天幾天
美己々呂乃以止川良左尓止保安万利布多止之乃也末己毛利之天奈无
比左之宇幾己江左利川留止以比以礼多利个礼八
与飛以礼天毛乃奈止以比天可部之徒可者之个留可
満多遠止毛世左利个礼八
読下 男の、ほど久しうありてまで来て、
み心のいとつらさに十二年の山籠もりしてなん、
久しう聞こえざりつる、と言ひ入れたりければ、
呼び入れて物など言ひて、返しつかはしけるが、
又音もせざりければ

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 伊天之与利三衣寸奈利尓之川幾加个者万多也末乃者尓以利也之尓个无
和歌 いてしより みえすなりにし つきかけは またやまのはに いりやしにけむ
読下 出でしより見えずなりにし月影は又山の端に入りやしにけん
解釈 長い修行に入り戻って来たとのことですが、さて、山の端から出て来たのが、すぐに見えなくなってしまった月の影のように、また、月が山の端に入るように、貴方は山に籠ってしまったのでしょうか。

歌番号六九四
原文 加部之
読下 返し

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 安之比幾乃也末尓於布天不毛呂可川良毛呂止毛尓己曽以良万本之个礼
和歌 あしひきの やまにおふてふ もろかつら もろともにこそ いらまほしけれ
読下 あしひきの山に生ふてふ諸葛もろともにこそ入らまほしけれ
解釈 足を引きずるほどの険しい山に生える諸葛の言葉のように、貴女と、もろともに、山の修行に入りたいものです。

歌番号六九五
原文 飛止遠於毛比加个天川可八之个留
読下 人を思ひかけてつかはしける

原文 多比良乃左多不无
読下 平定文

原文 者満知止利堂乃武遠志礼止布美曽武留安止宇知計川奈和礼遠己寸奈美
和歌 はまちとり たのむをしれと ふみそむる あとうちけつな われをこすなみ
読下 浜千鳥頼むを知れと踏みそむる跡うち消つな我を越す浪
解釈 浜千鳥の足跡のような筆の後、筆で記した私の貴女に恋焦がれる思いを知って欲しいとの文、その千鳥の踏んだ跡(文)を打ち寄こして消すなの言葉のように、文に記す願いを打ち消さないで、私の「をこ(愚かな行い)」ですが。

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後撰和歌集 巻10 歌番号686から690まで

2023年12月08日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻10
歌番号六八六
原文 者之女天飛止尓川可八之个留
読下 初めて人につかはしける

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 比止徒天尓以不己止乃波乃奈加与利曽於毛日川久八乃也満者三衣个留
和歌 ひとつてに いふことのはの うちよりそ おもひつくはの やまはみえける
読下 人づてに言ふ言の葉の中よりぞ思ひ筑波の山は見えける
解釈 人伝にお渡しするこの文で言う言葉の中に思いが尽くす、その言葉の響きのような、筑波の山がはっきり見えると言うように、私の貴女への思いがはっきりと見たでしょう。

歌番号六八七
原文 波川可尓比止遠三天川可者之遣留
読下 はつかに人を見てつかはしける

原文 徒良由幾
読下 つらゆき(紀貫之)

原文 堂与利尓毛安良奴於毛比乃安也之幾者己々呂遠飛止尓川久留奈利个利
和歌 たよりにも あらぬおもひの あやしきは こころをひとに つくるなりけり
読下 便りにもあらぬ思ひのあやしきは心を人につくるなりけり
解釈 伝手を頼っての便りではありませんが、貴女への私の恋焦がれる気持ちが、不思議なことに、私に慕われていると言う気持ちを貴女の心の内に作るようです。

歌番号六八八
原文 比止乃以部与利毛乃三尓以川留久留万遠三天
己々呂徒幾尓於本衣者部利个礼者多曽止堂川祢止比个礼者
以天个留以部乃安留之止幾々天川可者之个留
読下 人の家より物見に出づる車を見て、
心つきにおぼえ侍りければ、誰そと尋ね問ひければ、
出でける家の主人と聞きてつかはしける

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 飛止徒万尓己々呂安也奈久加遣者之乃安也宇幾三知者己比尓曽安利个留
和歌 ひとつまに こころあやなく かけはしの あやふきみちは こひにそありける
読下 人妻に心あやなく掛け橋のあやうき道は恋にぞ有りける
解釈 他人の妻に恋心を理由もなく懸けてしまった、懸けた橋が危ういように、危うい道は私の恋路の中にあることです。

歌番号六八九
原文 比止遠思加个天己々知毛安良寸也安利个无
毛乃毛以者寸之天以比久留礼者於幾毛安可良寸止幾々天
己乃於毛比加个多留於无奈乃毛止与利奈止加久春幾/\
之久者止以比天者部利个礼八
読下 人を思ひかけて心地もあらずや有りけん、
物も言はずして、日暮るれば、起きも上らずと聞きて、
この思ひかけたる女のもとより、などかく好き好き
しくはと言ひて侍りければ

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 伊者天於毛不己々呂安利曽乃者万加世尓堂川志良奈美乃与留曽和比之幾
和歌 いはておもふ こころありその はまかせに たつしらなみの よるそわひしき
読下 言はで思ふ心荒磯の浜風に立つ白浪の寄るぞわびしき
解釈 口に出してまでは言いませんが、貴方に恋焦がれる気持ちはあります、その言葉の響きのような、荒磯(ありそ)の浜に吹く風に白波が立つ、その言葉のように貴方の恋煩いから噂が立ち、我が身に寄せ来ることは、気恥ずかしいことです。

歌番号六九〇
原文 己々呂加个天者部利个礼止以比徒可武加多毛奈久川礼奈幾左万
乃三衣个連者徒可者之个留
読下 心かけてへべりけれど、言ひつかむ方もなく、つれなきさま
の見えければ、つかはしける

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 飛止利乃美己布礼者久留之与不己止利己恵尓奈幾以天々幾美尓幾可世无
和歌 ひとりのみ こふれはくるし よふことり こゑになきいてて きみにきかせむ
読下 ひとりのみ恋ふれば苦し呼子鳥声に鳴き出でて君に聞かせん
解釈 私、ただ、独りだけで、恋焦がれれていると、気持ちは苦しいものです、恋人の名を呼ぶと言う、その呼子鳥の鳴き声に、私の貴女への思いを泣き出て、貴女に聞かせたいものです。

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後撰和歌集 巻10 歌番号681から685まで

2023年12月07日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻10
歌番号六八一
原文 志乃日天安日和多利者部利遣留比止尓
読下 忍びて逢ひわたり侍りける人に

原文 布知八良乃多々久尓
読下 藤原忠国

原文 以左利火乃与留者保乃可尓加久之川々安利部者己比乃志多尓个奴部之
和歌 いさりひの よるはほのかに かくしつつ ありへはこひの したにけぬへし
読下 漁火の夜はほのかにかくしつつ有りへば恋の下に消ぬべし
解釈 漁火が夜はほのかに見えるように、このようにほのかに人目を隠しつつ通う関係ですと、恋焦がれる関係の許に死んでしまいそうです。関係を表に出しませんか。

歌番号六八二
原文 加无部以乃美加止於武久之於呂左世多万宇天乃己呂
美知由宇乃女久利尓乃美比止者佐不良者世太万宇天
知可宇与世良礼左利个礼八加幾天美知由宇尓武寸日
徒个々留
読下 寛平の帝、御髪下させたまうてのころ、
御帳のめぐりにのみ人はさぶらはせたまうて、
近う寄せられざりければ、書きて御帳に結び
付けける

原文 己者知之由宇乃美也寸止己呂
読下 小八条御息所

原文 堂知与良八加計布武者可利知可个礼止太礼可奈己曽乃世幾遠寸部个无
和歌 たちよらは かけふむはかり ちかけれと たれかなこその せきをすゑけむ
読下 立ち寄らば影踏むばかり近けれど誰れか勿来の関を据ゑけん
解釈 立ち寄るなら影を踏むほどのおそばに近いのですが、一体、誰が、勿来の関、その言葉の響きのような、「な、来そ」との、決して来るなとの敷居を据えたのでしょうか。

歌番号六八三
原文 於止己乃毛止尓川可八之个留
読下 男のもとにつかはしける

原文 止差
読下 土左

原文 和可曽天者奈尓多川寸恵乃末川也万可曽良与利奈美乃己衣奴日八奈之
和歌 わかそては なにたつすゑの まつやまか そらよりなみの こえぬひはなし
読下 我が袖は名に立つ末の松山か空より浪の越えぬ日はなし
解釈 私の袖は、かの有名な和歌の末の松山ではありませんが、貴方の「空」の、その中身の無い行いで、かの松山を空越すように打ち上げた浪の雫のようなたくさんの涙で濡れぬ日はありません。

歌番号六八四
原文 川幾遠安者礼止以不者以武奈利止以不比止乃安利遣礼者
読下 月をあはれと言ふは忌むなりと言ふ人のありければ

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 飛止利祢乃和比之幾万々尓於幾為川々従幾遠安者礼止以美曽可祢川留
和歌 ひとりねの わひしきままに おきゐつつ つきをあはれと いみそかねつる
読下 一人寝のわびしきままに起きゐつつ月をあはれと忌みぞかねつる
解釈 貴女に逢えずに独り寝の寂しさのままで寝付けねままに眺める月を、それでも、言い伝えによりその趣があることを嫌うということが出来ません。

歌番号六八五
原文 於止己乃毛止尓川可八之个留
読下 男のもとにつかはしける

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 加良尓之幾於之幾和可奈者堂知者天々以加尓世与止可以末八川礼奈幾
和歌 からにしき をしきわかなは たちはてて いかにせよとか いまはつれなき
読下 唐錦惜しき我が名は立ち果てていかにせよとか今はつれなき
解釈 唐錦の布を裁つ、その言葉の響きではありませんが、噂により名が立つことを惜しむべきなのに私の恋の評判が立ってしまった、さて、どうしましょうか、貴方との評判だけはたったのに、今は、貴方は私につれないのに。

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後撰和歌集 巻10 歌番号676から680まで

2023年12月06日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻10
歌番号六七六
原文 加祢寸个乃安曾无尓安比者之女天川祢尓之毛安者
佐利个留本止尓
読下 兼輔朝臣に逢ひはじめて、常にしも逢は
ざりけるほどに

原文 幾与多々加者々
読下 きよたたか母(藤原清正母)

原文 布利止个奴幾美可由幾个乃志川久由部多毛止尓止个奴己保利之尓个利
和歌 ふりとけぬ きみかゆきけの しつくゆゑ たもとにとけぬ こほりしにけり
読下 ふりとけぬ君が雪げの雫ゆゑ袂にとけぬ氷しにけり
解釈 長く久しく仲が古くなるはずの貴方の為さり様が、冷たい雪解けの雫のようなので、私の袂は悲しみに流す涙で凍ってしまいました。

歌番号六七七
原文 加堂布多可利个留己呂堂可部尓万可留止天
読下 方塞たがりけるころ、違へにまかるとて

原文 布知八良乃安利不三乃安曾无
読下 藤原有文朝臣

原文 加多止幾毛三祢者己比之幾々美遠幾天安也之也以久与本可尓祢奴良无
和歌 かたときも みねはこひしき きみをおきて あやしやいくよ ほかにねぬらむ
読下 片時も見ねば恋しき君を置きてあやしやいく夜ほかに寝ぬらん
解釈 一時でも逢わないと恋しい貴女を棄て置いて、どうして、幾夜を他の所で寝たのでしょうか。

歌番号六七八
原文 堂以之良寸
読下 題知らず

原文 於保衣乃知不留
読下 大江千古

原文 於毛比也累己々呂尓多久不三奈利世八飛止比尓知多比幾美者三天万之
和歌 おもひやる こころにたくふ みなりせは ひとひにちたひ きみはみてまし
読下 思ひやる心にたぐふ身なりせば一日に千度君は見てまし
解釈 貴女を恋焦がれる気持ちに同じにこの身がなるのなら、それなら一日に千回は私は貴女に抱き寄せています。

歌番号六七九
原文 志乃比天加与比者部利个留於无奈乃毛止与利加利佐宇曽久
遠久利天者部利个留尓寸礼留加利幾奴者部利个留尓
読下 忍びて通ひ侍りける女のもとより狩装束
送りて侍りけるに、摺れる狩衣侍りけるに

原文 毛止与之乃美己
読下 もとよしのみこ(元良親王)

原文 安不己止者止遠也満止利乃加利己呂毛幾天者可比奈幾祢遠乃美曽奈久
和歌 あふことは とほやまとりの かりころも きてはかひなき ねをのみそなく
読下 逢ふ事は遠山鳥の狩衣着てはかひなき音をのみぞ鳴く
解釈 貴女に逢う機会が遠のいていますが、遠い山鳥を狩る、その言葉の響きのような貴女からの儀式での伝統で作られた狩衣を着る、その響きのような、来ての機会が無い、そのような甲斐の無い逢えぬ悲しみの泣き声をあげています。

歌番号六八〇
原文 堂以之良寸
読下 題知らす

原文 安川与之乃美己
読下 あつよしのみこ(敦慶親王)

原文 不可久乃美於毛不己々呂者安之乃祢乃和个天毛飛止尓安者无止曽於毛不
和歌 ふかくのみ おもふこころは あしのねの わけてもひとに あはむとそおもふ
読下 深くのみ思ふ心は葦の根の分けても人に逢はんとぞ思ふ
解釈 深く、ただ、思う今の私の気持ちは、人知れず地下深く這う葦の根を掻き分る、そのような非常な困難があっても、貴女に逢うと願う気持ちです。

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