新海誠監督「君の名は。」を見る。
今さらこんな大ヒット映画を見るなんて、
いささか気恥ずかしいけれど、それはそれとして、
なんともまあ、素晴らしい。
表現したいという思いと、それをスクリーンで見せるときに、
ちゃんとした形にして提供できる技術の確かさ。
さらにイマジネーションの豊富さと、ゆるぎのない美意識。
日本のアニメーションの凄さをまじまじと見せつけられた次第。
主人公が女子高生で、タイムスリップもの。
そして運命の人と繋がっている赤い糸伝説。
「時をかける少女」の例を出すまでもなく、
限りなく食傷気味なテーマを、これほどまでにせつなく、
胸がときめく物語にできたのは驚き。
緻密に描かれる東京の街並みと電車の動き。
田舎の坂道とそこを走る自転車が、
作品にリアリティーを与え、空気感が出来上がる。
彗星が落ちてくるというファンタジックな結末に向かって、
時間軸が錯綜して、果たして二人は会えるのか、
思いは伝わるのかというサスペンス。
ある意味強引に、クライマックスまで観客を引っ張って、
最後に泣かそうという作り手の術中に、
見事にはまってしまうのでした。
そんな映画を世に出した新海監督を始め、
スタッフとキャストの熱意というか、若さに感服。
シネフィル的には上記の「時かけ」と「転校生」の記憶が。
かつての大林映画にときめいた人は、
きっとこの映画にも心が揺れることだろう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます