Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

名監督の新境地

2006年10月26日 | 映画など
ウディ・アレン監督『マッチポイント』を見る。
この監督は意外と当たりはずれがある。
もともと多作の人なので、ある程度の出来不出来はあるようで、
ものすごく面白いものは、10年に1作ぐらいだと僕は思う。
で、今回の『マッチポイント』。
意外や意外。
てっきりコメディかと思っていた僕は、
いい意味で裏切られた。

 マッチポイント(2005)

ジョナサン・リス・マイヤーズ演じる、
上昇志向の強い青年が、上流階級の娘と結婚するのだが、
その娘の兄の恋人(スカーレット・ヨハンソン)に惹かれ、
不倫を重ねるようになる。自分の妻はなかなか妊娠しないのに、
ヨハンソンは簡単に妊娠。執拗に離婚をマイヤーズに迫る。
苦悩するマイヤーズだが…。

という、古典的と言えば古典的なストーリーが展開される。
だが、これが見ていてまったく飽きない。
浮気心に火がつくマイヤーズとヨハンソンの
目が合うときのいやらしさ。
ふたりが抱き合うときに降る雨の激しさ。
こぼれ落ちてしまう猟銃の薬莢を捉えるシーンの不気味さ。

ここのシーンはやはりコレでしょう、というシーンの連続。
映画のお手本のような演出。
こういうのを娯楽映画というのだろう。
またもシネフィル的な言葉が頭に浮かぶ。
ヒッチコックの映画みたいだ──と。

これまで割と趣味的なコメディをこじんまりと
作ってきたウディ・アレンだが、
こんな映画も撮れるのかと思うとびっくり。
しかも60歳過ぎて──。

ウディ・アレン作品って一種のブランドだし、
固定のお客さんがいるのだから、
その人たちが満足するような作品を地道に作っていればいいのに。
事情はわからないけど、ヒットする映画を求められたのかな。
事実、ヒットしてるみたいだし。

あと、舞台がロンドンということも大きいのかもしれない。
異郷の都市だからこそ、
変にこだわりのない、娯楽映画ができたのかも。
それに、この人の映画で、スローモーションや
手持ちで揺れるカメラワークを見るのは
ものすごく珍しいことも付け加えておきたい。
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