行定勲監督「リボルバー・リリー」を見る。
確信しました。この夏公開の映画で、
一番見るべき作品だと思います。
「君たちはどう生きるか」や「バービー」、
インディでもトムクルでもなくて、この映画です。はい。
そうか。忘れていた。綾瀬はるかがいたではないか。
肉体を駆使したアクションができ、
ガンファイトもさまになるスター女優が
日本にいることに、我々はもっと誇りを持つべきなのだ。
そして、ライフルを抱えるシシド・カフカの佇まい。
クライマックスにおける長谷川博己の勇姿は
アクション映画らしい興奮を観客にもたらしてくれる。
綾瀬はるかが戦う相手は、大日本帝国陸軍だ。
関東大震災直後の時代設定ではあるけれど、
現在に置き換えると、自衛隊にケンカを売る話となるわけで。
ある意味、体制批判であり反戦映画といってもいいだろう。
自国の軍隊に戦いを挑む映画なんて、ほかにあったかな。
「ランボー」ぐらいしか思いつかないけれど、
誰かシネフィルのひと、教えてくださいな。
香港や韓国ノワール系の
アクション映画を踏襲した感のある行定監督に、
これ以上活劇としてのキレとか
ドライブ感を求めるのは筋が違う。
いくら東映の映画だからといって、
深作欣二も中島貞夫もいないんだから。
それより、綾瀬はるかが助ける少年(羽村仁成)に向かって
「幼い顔して、あんたも男だね」と
詰め寄る古川琴音の艶めかしさにドギマギすべきなのだ。
やり過ぎ感のあるサイコパス軍人役の清水尋也や、
ヤクザの親分を演じた佐藤二朗を見て、
シネフィルだったら片山慎三監督「さがす」と似てるなあ、
とニヤニヤしながら見てしまいそうだ。
綾瀬はるかと少年の関係が繊細に描かれていない、
と批判する人は、あなたはカサヴェテスの「グロリア」だと
思って見ているのかと問いかけたい。
そんな些末なところではなく、
やはり綾瀬はるかを見るべきだ。
クライマックス、彼女はなぜ白いドレスに身を包むのか。
それは白に血の色を染めるためであり、
彼女のドレスの胸のあたりが、
血でまあるく赤く染まっていくのが、
日の丸に見えると言ったら深読みしすぎだろうか。
ともあれ、見どころいっぱいの映画なので、
ぜひ大ヒットしてもらって、
綾瀬はるかのアクションシリーズとして
5本ぐらい続篇を作り続けてほしい。
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