ハワード・ホークス監督「ヨーク軍曹」を見る。
やっぱりゲイリー・クーパーはカッコいい。
背が高くてストイックで、ちょっと影があって。
あと、ジョン・ウェインもそうだけど、
いい男優の条件は、声がいいことだと断言したい。
戦争映画である。作られたのが1941年。
明らかに戦意高揚映画なのだけど、
作りとしてはちょっと変化球。
前半はのどかなテネシー州の風景のなかで、
クーパーが不良息子から信仰の厚いクリスチャンに変わるまで。
そして後半は、第一次大戦が始まり、
信仰の厚さから兵役を拒否しようとするクーパーの苦悩が描かれる。
クリスチャンの教えでは人殺しを禁じているため、
クーパーは戦争で人を殺すのが納得できない。
でも、いざ戦場にでたら 、仲間を助けるために
敵を殺すしかないわけで、
そのあたりをきびきびと描くホークス演出。
クーパーの苦悩はすっきり晴れないまま、
ジェットコースターのごとくハッピーエンドにまっしぐら。
これってホントに戦意高揚映画? なんて思ってしまう。
イデオロギーとは無縁の活劇づくりの達人ホークスは、
そんなコト知らないよ、
面白い映画なら何でもいいんだろう、
と言いたげなところが興味深かったりする。
日本でも木下恵介の「陸軍」とか、
黒澤明も「一番美しく」なんて戦意高揚映画を撮っているけど、
どちらもそれほど好戦的ではなかったりするし、
誰か「名監督が撮った戦意高揚映画」の
特集上映を企画してくださいな。
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