Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

バリトンボイスの帰還

2019年05月13日 | 映画など

ハワード・ホークス監督「ヨーク軍曹」を見る。

やっぱりゲイリー・クーパーはカッコいい。

背が高くてストイックで、ちょっと影があって。

あと、ジョン・ウェインもそうだけど、

いい男優の条件は、声がいいことだと断言したい。

 

 

戦争映画である。作られたのが1941年。

明らかに戦意高揚映画なのだけど、

作りとしてはちょっと変化球。

前半はのどかなテネシー州の風景のなかで、

クーパーが不良息子から信仰の厚いクリスチャンに変わるまで。

そして後半は、第一次大戦が始まり、

信仰の厚さから兵役を拒否しようとするクーパーの苦悩が描かれる。

 

クリスチャンの教えでは人殺しを禁じているため、

クーパーは戦争で人を殺すのが納得できない。

でも、いざ戦場にでたら 、仲間を助けるために

敵を殺すしかないわけで、

そのあたりをきびきびと描くホークス演出。

クーパーの苦悩はすっきり晴れないまま、

ジェットコースターのごとくハッピーエンドにまっしぐら。

これってホントに戦意高揚映画? なんて思ってしまう。

 

イデオロギーとは無縁の活劇づくりの達人ホークスは、

そんなコト知らないよ、

面白い映画なら何でもいいんだろう、

と言いたげなところが興味深かったりする。

 

日本でも木下恵介の「陸軍」とか、

黒澤明も「一番美しく」なんて戦意高揚映画を撮っているけど、

どちらもそれほど好戦的ではなかったりするし、

誰か「名監督が撮った戦意高揚映画」の

特集上映を企画してくださいな。

 

 

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