Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

誤解を与えたとすれば

2019年06月02日 | 読んでいろいろ思うところが

上西充子「呪いの言葉の解きかた」(晶文社)を読む。

「嫌なら辞めちゃえば?」「母親なんだからしっかり!」

「選ばなければ仕事はある」

「デモなんか参加したら就職できなくなるよ」

「●●を政治利用するな」「誤解を与えたとすれば」

 こういった言葉は、すべて「呪いの言葉」だという。

 

 

たとえば「嫌なら辞めちゃえば」という言葉は、

ブラック企業に勤めている人に対してよく使われるのだけど、

そもそも劣悪な労働条件で働かせる方に問題があるのに、

「どうせ辞められないんだろう、だったら我慢して働け」

という意味合いで使われるわけで。

少なくともこうした言葉を吐く人は、

ブラック企業で働いて苦しんでいる人に対して、

思いやりの感情は全くない。

働かせる側に責任を負わせないための言葉だ、と。

 

このような呪いの言葉はそれこそたくさんあり、

苦しんでいる人の心に入り込み、内面化して

すべては自己責任だと思い込ませる。

シングルマザーが低賃金で貧困にあえいでいても、

「母親なんだからしっかりしなさい」という呪いの言葉で追い込み、

LGBTの人たちへの差別的な発言をした政治家は、

「誤解を招いたとしたらお詫びします」という呪いの言葉で、

誤解をした側に責任があるかのように言い放ち、

自らの責任をうやむやにする。

 

貧困なのも、いじめられているのも、

すべては自己責任だと思っている人に是非読んでもらいたい。

 

上西充子さんは法政大の教授で専門は労働問題。

あの「ご飯論法」を提唱し、

国会パブリックビューイングを主催している人。

先生の自身の研究成果をもとに

多くの心ある人の助けを得ながら、

お上にたてつく過程も語られる。

さらに「呪いの言葉」の真逆である

「灯火(ともしび)の言葉」で、

呪縛から逃れ自由になるための提案もある。

 

ちなみに自分もたまに

呪いの言葉をかけられることがある。

 

「真摯な対応をお願いします」

「プロなんだから何でもできるでしょう」

「あのときこうしてくれって言いましたよね」

 

こういう言葉を使う人とは、

あんまりお付き合いしたくなかったりするというか。

 

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