Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

饂飩の味

2024年06月29日 | 映画など
濱口竜介監督「悪は存在しない」を見る。
タイトル通りの映画だと思う。
悪は存在しない。じゃあ何が存在するのか。
いくら眼を懲らしても、山と雪と水とそこに住む人と、
都会からやって来た人と車と鳥と鹿しか見えず、
耳を澄ましても、不安をあおる音楽が鳴り響くだけなのだけど。


グランピング場の設営計画が持ち上がった
長野の自然豊かな町で起こる不協和音。
政府の補助金目当てで
グランピング場を作ろうとする東京の芸能事務所と
設営による環境汚染を防ごうとする
町の人々との対立のドラマに緊張が走る。
明らかに設営しようとする芸能事務所の男女が
悪者だと思いきや、彼らの心情が細かく語られ、
悪って存在しないんじゃないの? 
と見る者の心をゆり動かす映画になっている。

ぐらぐらと揺れながら見ていくうちに、
予想もしなかった方向に映画は進んでいく。
町を、山を、自然を怒らせた罪で
人間たちが試練を受けてしまうような結末に呆然とする。

似た映画を思い出した。
「もののけ姫」だなあ、と。鹿も出るし。
ともあれ、自分は何を見て、聞いて、
何を感じたのかを自問自答する106分。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする