Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

オブセッションの極み

2023年11月03日 | 映画など
マーティン・スコセッシ監督
「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」を見る。
3時間26分は長い。確かに長いが
それだけの時間をかけて、この胸クソ悪い
陰惨きわまる事件をじっくりと描きたかったということだろう。
長時間座っていたせいでダメージを受けた
腰と尻と太ももをさすりながら、咀嚼、反芻しております。


思えばスコセッシという監督は、
妄想とか妄執。焦燥や固執など、
人間のどうしようもない負の感情を
ずっと描き続けてきた人だと思うわけで。

「タクシードライバー」や
「キング・オブ・コメディ」のデ・ニーロは、
憧れの対象への偏愛から自己が肥大しまくった男だったし、
「デパーテッド」のディカプリオは
囮捜査官としての自分がいつバレるか、
気が気でない表情ばかりしていたし、
「アフター・アワーズ」のグリフィン・ダンも
悪夢のような騒動に巻き込まれ、
全然家に帰れないサラリーマンで、
「沈黙」のアンドリュー・ガーフィールドも
自己の意識深くに信仰を執拗に温めていた。

本作のディカプリオも同様で、
ネイティブアメリカンの妻を愛していながら、
彼女の家族が持つ莫大な財産のためにこっそり毒を盛る。
アンビバレントな状況で葛藤するディカプリオの
身悶えをこれでもかと見せつけられるのだ。

見ているあいだはまったく飽きさせないというか、
どっと疲れると言ったほうがいいかもしれない。
妻のリリー・グラッドストーンが、
凜とした佇まいを崩さないところが唯一の救い。

絵作りの凄さ。セットの豪華さ。
緻密で才気走った演出もある。
ディカプリオに殺しを依頼された男に
語り部が少しだけ切り替わるときの切れ味といったら。

以下、シネフィルの戯れ言です。

ネイティブアメリカンの妻を演じた
リリー・グラッドストーンって
誰かに似てるなと思っていたら、
TwitterというかXでフォローしている人の情報で、
あれは「女相続人」のオリヴィア・デ・ハヴィランドの
オマージュらしい。そうか。そうなのかと
喜ぶアホなシネフィルだったのです。
情報ありがとうございました。
スコセッシはウィリアム・ワイラー監督の
この映画が好きらしい。


確かにハヴィランドと
グラッドストーンは似てる。
髪型とか特に。扇子も持っていたし。

コメント (4)
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