Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

洗濯ばさみは登場しない

2020年06月29日 | 映画など

グレタ・ガーウィグ監督

「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」を見る。

流れるような語り口のなか、

なぜいま「若草物語」なのか、ではなく、

今だからこそ「若草物語」なのだ。

そんな強い意志を感じ取ることのできる四姉妹の物語。

 

 

女性の生き方の選択肢は、

結婚以外になかった19世紀の米国。

南北戦争が背景にあるから、

まさに「風と共に去りぬ」の時代なんだな。

 

主人公である次女のジョーが作家となり、

結婚にとらわれず自由に生きようとする姿は、

当時、ものすごく特異で異質だったはずだ。

でも映画は、そんな主人公の生き方を肯定し、

人生を突き進む姿を実に生き生きと見せてくれる。

 

他の姉妹たちは因習にとらわれてしまうけれど、

映画は、決して非難することなく、彼女たちの人生を応援する

姉妹を見守る両親も、隣人たちも、

みんないい人たちで、しかもかなりのリベラル。

だから見ていて、心が温まるのだろう。

 

なので限りない優しさに包まれた

感動作になるかと思ったのだけど、

そんな映画にしてたまるか、

という監督の思いが突出したクライマックスに驚く。

 

流れるような語り口、と書いたけれど、

時制があちこち飛び、下手をすると今見ているのは、

彼女たちのいつの時代? と混乱してしまう寸前で

物語に引き込む力を持つ。脚本の力か。編集の妙か。

はたまた演出がなせる技か。

 

グレタ・ガーウィグ監督は、

前作「レディー・バード」もいい映画だったけれど、

シネフィル的には、本作はグレードアップどころの話ではない。

スピルバーグかロン・ハワードかというぐらいの域。

職人的な演出力と、しっかりしたテーマと作家性。

つまりはアメリカ映画のトップ監督だということです。きっと。

コメント
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