Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

やさぐれファイターの涙

2018年12月30日 | 映画など

武正晴監督「百円の恋」を見る。

おお。これはもう、

安藤サクラはブルース・リーにしか見えないではないか。

あるいはジャッキー、もしくはスタローンか。

ひとえに彼女の肉体性に尽きる。

その息吹きがスクリーンを圧倒し、

観客をエモーションの渦に巻き込み、涙をしぼり取る。

 

 

安藤サクラ演じる一子は32歳になっても、

親元ですねかじり。家業の弁当屋もまともに手伝わない、

いわばクズ。そんな彼女がそれでも自立しようと、

百円ショップでバイトを始めるが、そこがまたクズの集まりという、

それはそれはやさぐれた物語。

 

たまたま知り合ったロートルのボクサー(新井浩文)と

付き合い始め、そのボクサーがまたクズ男だったりして苦笑。

忸怩たる展開から一転、

一子が何気にボクシングを始めたところから、

映画はどんどん加速していく。

 

ひたすら肉体をいじめ、

シャドーボクシングをし、サンドバックを叩きまくり、

プロになり、ついにはデビュー戦に臨むというハレの日を迎える。

クズ女の自立、と言うと陳腐だけれど、

そんな意味やテーマを考える暇もないほど、

安藤サクラの肉体性は圧倒的で、

デビュー戦の日。グラブをつけ、深呼吸をしながら

リングに上がるまでをワンカットで捉えた彼女は

神がかっていると言ってもいい。

 

こういうものを見せられると、

もう金輪際、映画が見られなくなっても後悔しない。

そんな気分にさせられるというか。

そういえば周りの(映画的に)信頼できる人たちは

すべてこの映画を絶賛していたわけで、未見ですみません。

 

コメント
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