Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

底の見世物

2018年02月12日 | 映画など

ロバート・アルドリッチ監督

「何がジェーンに起こったか」を見る。

ただ、ただ、凄い。シュールで強引で、

観客を恐怖のどん底に落とすためだけの映画、

って褒め言葉ですよ。

 

 

手前にいるのが、ベティ・デイビス。

後ろにはジョーン・クロフォード。

往年のハリウッドの大女優ふたりが、

老醜をさらしながら、確執ありまくりの姉妹を演じるという。

公開当時、大ヒットしたらしいけど、

つくづく映画は見世物だなあと。

 

かつて少女スターとして人気を博していた妹のデイビス。

それとは逆に地味で虐げられていた姉のクロフォード。

長じて、妹は酒で落ちぶれ、

努力家の姉は映画スターとして成功する。

かつての栄光と、現在の凋落に苛まれた妹は、

その責任のすべてを姉に負わせて、徹底的に痛めつける。

最近見た「デトロイト」などをはるかに超える虐待ぶりだ。

 

モノクロ映画の白と黒のコントラストが恐怖を増幅。

下半身付随の姉が、二階の部屋に監禁され、

二階と一階のあいだを結ぶ階段、

その階段の下にある電話を冷徹にとらえるカメラワーク。

上のスチールを見ても、凄みは伝わってくるけれど、

ラスト近く、姉妹が絶望的な会話を交わす

ハレーション気味の晴れ渡った海岸の場面。

ベティ・デイビスの皺のひとつひとつが、

ハレーションの眩しさと共に浮かび上がってくる。

映像に力があるというのは、

こういう映画のことを言うのだろう。

 

アルドリッチ監督。

それはそれは偉大な監督というか、

すごく面白い映画を撮り続けた人だけど、

本作は傑作というよりは怪作。

ゲテモノ映画の極みだと思う。って褒め言葉ですよ。

 

コメント
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