アートン・フークア監督「マグニフィセント・セブン」を見る。
言わずと知れた「荒野の七人」の、
そして「七人の侍」の最新リメイク版。
「まぐにふぃせんと」って舌を噛みそうな
原題をなぜタイトルにするのか。
やはり西部劇だとわかるとお客さんが入らないのだろうか。
そんなこと言ってもバレバレじゃろが、あん?
といった外野な話題はともかく、見て驚いた。
これはかなりの傑作ですぜ、旦那(←誰?)
シネフィルという人種は厄介だ。
本作のような、かつての名作のリメイクだったりすると、
やれ「前作の方が良かった」とか
「なぜあんな場面に作り変えたんだ」
といった文句を言いがちである。
オリジナルが名作であればあるほど、
その度合いは強まり、
シネフィルは、オリジナルの威光を(勝手に)借りて、
リメイクをとことんこき下ろす。
でも、仕方ないんです。
寛大さとはほど遠い、了見の狭さがシネフィルの真骨頂なのです。
比べちゃいけない。
落語だって、談志師匠の「芝浜」と、
志ん朝師匠の「芝浜」、小朝師匠の「芝浜」と
ブラック師匠の「芝浜」は、全然違うけど、
それぞれ面白くて価値のあるものではないか。
ということで、本作は傑作だと思います。
私利私欲を捨て、町の人たちのために
悪と戦う7人のガンマンたちの佇まいに魅せられる。
主役のデンゼル・ワシントンはアフリカ系で、
ナイフ使いの名人を演じたイ・ビョンホンはアジア系、
他にもメキシコ系などもいて、白人だけではない組み合わせに
キャラクターの陰影が感じられるというか。
悪役もなぜか優男風で、そのあたりも現代的。
でもその悪役は、自分が矢面に立って、
町を潰そうとするちょっと古風な悪人で、
そのあたりは、なんだか昔の映画っぽいなあ、と。
西部劇らしく、モニュメントバレーが映し出され、
青い空と白い雲がくっきりとしたなか、
銃弾が飛び交う場で、死に取り憑かれたようなガンマンたちの
生と死がスローモーションで描かれる。
これはもう、どうしたってジョン・フォードと
サム・ペキンパーの記憶が蘇ってくるわけで。
うう。
やっぱりシネフィル的な文章になっちまいました。
どうもすいません。
と、三平師匠(初代)風に謝っときます。
そういえば三平師匠って「芝浜」演ったのかな。
って、それはまた別の話。