Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

愛と記憶の荒野

2017年01月28日 | 映画など

アートン・フークア監督「マグニフィセント・セブン」を見る。

言わずと知れた「荒野の七人」の、

そして「七人の侍」の最新リメイク版。

「まぐにふぃせんと」って舌を噛みそうな

原題をなぜタイトルにするのか。

やはり西部劇だとわかるとお客さんが入らないのだろうか。

そんなこと言ってもバレバレじゃろが、あん?

といった外野な話題はともかく、見て驚いた。

これはかなりの傑作ですぜ、旦那(←誰?)

 

 

シネフィルという人種は厄介だ。

本作のような、かつての名作のリメイクだったりすると、

やれ「前作の方が良かった」とか

「なぜあんな場面に作り変えたんだ」

といった文句を言いがちである。

オリジナルが名作であればあるほど、

その度合いは強まり、

シネフィルは、オリジナルの威光を(勝手に)借りて、

リメイクをとことんこき下ろす。

でも、仕方ないんです。

寛大さとはほど遠い、了見の狭さがシネフィルの真骨頂なのです。

 

比べちゃいけない。

落語だって、談志師匠の「芝浜」と、

志ん朝師匠の「芝浜」、小朝師匠の「芝浜」と

ブラック師匠の「芝浜」は、全然違うけど、

それぞれ面白くて価値のあるものではないか。

 

ということで、本作は傑作だと思います。

私利私欲を捨て、町の人たちのために

悪と戦う7人のガンマンたちの佇まいに魅せられる。

主役のデンゼル・ワシントンはアフリカ系で、

ナイフ使いの名人を演じたイ・ビョンホンはアジア系、

他にもメキシコ系などもいて、白人だけではない組み合わせに

キャラクターの陰影が感じられるというか。

悪役もなぜか優男風で、そのあたりも現代的。

でもその悪役は、自分が矢面に立って、

町を潰そうとするちょっと古風な悪人で、

そのあたりは、なんだか昔の映画っぽいなあ、と。

 

西部劇らしく、モニュメントバレーが映し出され、

青い空と白い雲がくっきりとしたなか、

銃弾が飛び交う場で、死に取り憑かれたようなガンマンたちの

生と死がスローモーションで描かれる。

これはもう、どうしたってジョン・フォードと

サム・ペキンパーの記憶が蘇ってくるわけで。

 

うう。

やっぱりシネフィル的な文章になっちまいました。

どうもすいません。

と、三平師匠(初代)風に謝っときます。

そういえば三平師匠って「芝浜」演ったのかな。

って、それはまた別の話。

 

コメント
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