Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

たのんまっせ、おばはん

2013年10月04日 | 日々、徒然に
小林信彦「森繁さんの長い影」(文春文庫)を読む。
「週刊文春」連載「本音を申せば」シリーズの文庫化。



小林さんは昭和7年(1932年)生まれというから、
今年で81歳。もちろん小説家として著名な人なのだけど、
編集者として、またテレビの構成作家として
リアルタイムで小説家や映画人、喜劇人たちと仕事をし、
彼ら彼女らの動向をつぶさに観察してきた人でもある。

表題にあるとおり、
森繁久彌に関するエッセーがすこぶる興味深い。
55年の『夫婦善哉』と『警察日記』に出るまで、
森繁は奇天烈なコメディアンとして認知されていたことを冷静に綴る。
それは没後、国民栄誉賞を取るほどまでに
名優として崇め奉られた森繁さんを
虚像から実像に戻す作業のように思えるわけで。

西川美和監督の『ディア・ドクター』で鶴瓶が演じたニセ医者は、
森繁さんの役どころだと書かれたくだりに唸る。
確かに、俳優としての鶴瓶は森繁に似ているかもしれないなと。

あと最近、NHKで「夫婦善哉」が
森山未來と尾野真千子主演でドラマ化されていたのを思い出した。
チラリと見た限りでは、
駄目男を演じたら天下一品の森山未來だけど、
森繁のようなインチキな感じというか、
うさんくさいインテリ臭はなかったなと。
森山未來という俳優は、どこか根が真面目な感じがする。
対して森繁は、根っこから腐っている男というか。
あくまで俳優としての印象ですけどね。実際は知りません。





コメント
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