Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

ギターは笑っている

2013年07月15日 | 映画など
田村孟太雲監督『オース!バタヤン』を見る。
先日、94歳で亡くなった田端義夫さんのドキュメンタリー。
歌手として、ギタリストとして、
多くの人に愛されたエンタティナーの、
軽妙で活き活きとした姿が微笑ましい。



貧困にあえいだデビュー前。
三重の松坂で生まれて、母親ときょうだいで
大阪の鶴橋に住み着いた経歴を持つバタヤンは、
第二の故郷のこの地でライブをおこなう。
その模様を映し出しつつ、過去の写真やフィルム、
ゆかりの人たちの証言を絡めながら、
この稀代の歌手の人生を追いかける。

デビューが38年。第二次大戦前であり、
いきなりヒットを飛ばしてスターとなる。
戦時中は「貴様の歌は軟弱だ」と非難されつつ、
中国などに駐留する日本軍の慰問にいそしむ。
戦後は「かえり船」の大ヒットで、人気のピークを迎える。

低迷期はありつつ、人気が最後まで衰えなかったのは、
流行に乗る才があったのだろうし、
あの「オース!」というポーズに代表される大衆性が
多くの人に愛されたのだろう。
女性スキャンダルや、ラスベガスで大金を当てたエピソードも
バタヤンの人生に彩りを与えたとおぼしい。

マディ・ウォーターズより早く
エレキギターを抱えて歌ったというバタヤンの、
ミュージシャンとしての凄さを語る
中川敬や寺内タケシ。
日本人の琴線に触れるすぐれた芸人として、
バタヤンを高く評価する談志師匠や白木みのるさん。
証言する人たちのセレクトも興味深い。

アルタミラピクチャーズの音楽映画も
高田渡、ゴールデン・カップス、遠藤賢二、こまどり姉妹ときて、
本作が5本目。素晴らしい音楽ドキュメントのアーカイヴができつつある。
次は誰を撮るのだろう。楽しみ。




コメント (2)
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