Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

妄執がもたらす奇跡

2009年03月10日 | 映画など
クロード・シャブロル監督『不貞の女』を見る。
思えば、映画というものは、
人間が抱く妄執や、情念を描くには、
実に適したメディアである。
この映画を見て、あらためて確信した。


LA FEMME INFIDELE(1968)

美しい妻エレーヌ(ステファーヌ・オードラン)が
浮気をしているのではないかと、
疑う男シャルル(ミシェル・ブーケ)の
一挙手一投足を執拗に捉えるこの映画。

シャルルが、街を歩く妻を見るシーン。
探偵に妻の尾行を依頼し、浮気相手の写真を見るシーン。
浮気相手の男(モーリス・ロネ)の家を訪れて、
ベッドルームが乱れているのを見るシーン。

シャルルの視線の先に見えるものと、
それを見たシャルルの表情がカットバックされる。
ほんとにそればかりの映画であり、
そうしたカットバックを見ていると、
いつしか、見ている自分も
妻の浮気を追いかけているシャルルのような気分になる。
つまり、妄執が頭のなかを渦巻いていくのだ。

ヒッチコックを敬愛するシャブロルならではの演出で、
まさに「妄執」というテーマをモノにしている。
こういう描写とか表現は、映画でしか味わえないものだ。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする