イチローと並んで世界に羽ばたくスポーツ選手の一人に、今や人気の石川遼選手がいる。17歳にして初めて出場する全英オープンで、初日からタイガー・ウッズと同じ組で戦うなど何か神がかり的な舞台装置で、その未来がいっそうばら色に輝いたかに見えた。
結果は敢えなく予選落ちで、多くのファンはさぞがっかりしたことであろう。しかし私は、この17歳の青年の未来にとっては、むしろ良かったのではないかと思っている。138回の歴史を持つ世界最古の大会の壁は、そう簡単なものではないことを知っただろうし、その重みをどう受け止めるかに、彼が将来大成するかどうかの鍵がかかっていると思うから。
それにしても大器の片鱗を見せた選手である。一緒に回ったタイガー・ウッズが、石川の高い弾道を見て「将来世界を戦い抜く素養がある」と言ったそうだが、他にない何かを持っているのであろう。
大きいスイング、早いヘッドスピード、高い弾道・・・、自己の持つ能力を、イギリス西北部特有の強風と雨の中で、物怖じすることなく発揮したこと、これが何よりも素晴らしいことであったのだろう。
全英オープンと言う舞台は、17歳の青年にとっては、いくらプロといえども順位や賞金の対象ではなく『修練の場』であるはずだから。