旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

マエケン天晴れ … 広島に希望をつなぐ

2014-08-23 19:41:13 | スポーツ


 久々の快挙である。ペナントレースの後半に入って広島カープの望みは絶たれたかに見えた。加えて集中豪雨による土砂災害で、広島は重い空気に包まれていた。多くの人の命が失われた。その弔いの喪章をつけて、広島カープのエースは立ちはだかった。
 
 広島カープという球団は、日本のプロ野球球団の中で唯一の市民球団である。昭和23年発足以来、市民の身銭で支えられてきた球団である。選手の平均給与は、金持ち球団読売巨人軍の2分の1といわれる。だからこそ広島市民は愛し続け、支え続けてきた。それだけに、苦しい時ほどカープの勝利を祈り求めてきたのだ。
 その期待の応えて、前田健太は当面の敵、阪神タイガースを完封した。土砂災害で亡くなった人たちの冥福を祈り喪章をつけて、広島市民が一番求めた「カープの勝利」をもたらした。これ以上に広島市民を勇気づけるものがあっただろうか?
 これぞエースである。ここぞ、という時にその期待に応える! しかも、今季初の完投完封をこの時に成し遂げる。
 球宴明けから4試合、勝ち星がなかった。特に前回は3回6失点と無惨であった。だから昨日の勝利後、彼は「最悪な姿を見せていたので、今日は完封をしなければいけなかった」と言った。しかし、「…しなければいけなかった」と思っても、そう簡単に完投完封などできるものではあるまい。球界屈指の力量とともに並々ならぬ気迫を必要とするのではないか?
 
 何が彼を勝利に導いたのか? 思わぬ災害から立ち上がろうとする市民の熱意と、それに応えようとする市民球団広島カープのエースの自覚が、それを成し遂げたのではないか。

       


投票ボタン

blogram投票ボタン