今日は立秋。今年もまた猛暑の中に秋が来た。
気象予報士さんたちの伝えるところによれば、この暑さは来週いっぱいぐらい続きそうだ。沖縄の南東にある台風11号がゆっくりと日本に向かい、日本列島に沿って進む模様で、その過ぎた後も南の国の熱風が日本を覆うことによるらしい。いくら立秋だといわれても、しばらく秋を感じることはできそうもない。
季節の到来に一番敏感なのは俳人たちかもしれない。正岡子規が秋田の八郎潟に臨んで、「秋高う 入海晴れて鶴一羽」と詠んだのは8月14日(明治26年)であった。昨年も書いたように、江國滋が辞世の句「おい癌め酌みかはさうぜ秋の酒」を書き残したのは8月8日(1997年の立秋の翌日)のこと。
子規の句は、明治時代であり且つ北国秋田でのこと、句の前文に宿を発つ時の様子を「14日庭前を見れば始めて落葉の大なるを知る…」と書いてあるので、既に秋の気配が十分に立ち込めていたのであろう。江國の句は死の二日前、外気から遮断された病床にあったが、秋の到来を確実にとらえていたのだ。
しかし、このところ続くような暑さの中にあったら、彼らの力をしてもこのような「秋の名句」を残すことができたであろうか? そう思いたくなるような暑さである。