桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

悲惨な話

2011-08-29 | Weblog
谷川岳に登り、 心地良い思いを味わって、さて、トマの耳から上の峰に行くか?となった。
まだ青い空は広がっていたが、黒い雲も湧き出していた。万が一に雨になれば大変だと思った俺は、もう上は断念して下山すると告げた。
橋本さんと俺以外は、ロープウェイ駅からリフトで展望台に上がり、そこから登り始めた。しかも、かなり遅かった。俺が、橋本さんより早く下る途中、まず中沢さんと塩田さんが、肩の小屋に10分くらいのところですれ違い、更に10分くらい下で山川さんと中沢好子さんとすれ違った。
登るときもそうだったが、俺は登山の苦痛を味わうと、その苦しみに立ち向かい、更に挑んでしまう。
下りでも、そうでドンドンと下りしまう。
橋本さんはリックを持たないで出たため、俺が雨具や水、昼飯をリックに入れて背負ったが、もう下りは待たなくて良いと思い、一気に降りてしまった。ところが、俺が天神平の見える地点まで来ると、雨がポツポツと来た。そして、ロープウェイ駅に入って休み始めたらば、一気に強い雨になった。
橋本さんを迎えに行かなければならなかったのだろうが、そう離れていまいと勝手に考えて待ったが、橋本さんが帰り着いたのは、約50分も過ぎた後だった。もちろん、全身がずぶ濡れだった。
それからは、遅い4人を待つことになるが、5時でロープウェイは止まることから、ハラハラだった。
4人が戻ったのは、何とかロープウェイに間に合う時間だった。
ロープウェイで下に降りたらば、下は降った形跡がなくて、山は怖いなぁ!と認識させられた。
夜、みんなで食事しながら、俺が雨具を持ちながら1人で降りた不人情を責められたが、俺は団体行動は不向きだと、改めて判った。

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