桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

思ったこと

2019-09-26 | Weblog
今日は大腸の内視鏡検査。
何日も前から準備に入り、今日は絶食の上、実際の検査は、午後3時ころ。
腹が減ったあ!
あれは52年前の秋、早瀬四郎頚部と深澤武巡査の取り調べを受けていたとき、腹が減ったんだ。
何しろ20歳。若かった。取手警察署で出される弁当は、2口、3口で無くなるほど、少なかった?腹が減って堪らなかったなぁ。
「桜井、そこは魚心あれば水心だ。お前が素直に罪を認めると言うならば、それは考えてやらないこともないよ」、腹が減ったことを訴えると、早瀬さんは、そう言ったなあ。
俺が嘘の自白をした原因の1つは、間違いなく腹が減ったことだった。今日の空腹で、あのときの思いを思い出したよ。
CT検査の順番待ちのとき、検査結果が良くて、これから20年くらい生きても、悪くて余命を数年と切られても生きる歳月の差は10数年。
大した違いではない。俺の断崖絶壁から墜ちたり、天空に舞い上がったりの人生は、本当に楽しかったし、愉快だったし、面白かったし、最高の人生だったと思った。
それだけ。