桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

義務

2010-01-07 | Weblog
再審開始決定は得たが、俺は無期懲役の仮釈放者である身分に変わりはないらしい。再審で裁判が始まる被告の立場と仮釈放者の立場が両立するのが、まか不思議な感じだが、漠としたところが日本人の感覚。また法律もそうであって、俺は二つの立場を持って行くことになる。
昨日は仮釈放者の義務である保護観察所への出頭、報告をさたが、正月は義務者が多いのか、飛び込み的に行ったが部屋が満杯だし、待ち人もいた。
俺に対応して下さる人は、統括責任者だが、「桜井さんは忙しかろう」と、不在の所長室の応接席に案内して下さった。
初めて入ったが、多分、再審開始になっていなければ通されなかったろうと思ったらば、俺の立場は仮釈放者であって仮釈放者で無い立場なんだと感じた。