桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

大鶴補充書批判3

2008-12-07 | Weblog
補充書にある主張の二番目には自白は真実だとある。「自白テープに編集痕があるとする中田鑑定は信用できない」と言い、調書でこう書かれてる、ああ書かれてる、録音内容が具体的で臨場感ある話になってる、などと言うが、全く判っていない。
大鶴さん、だから検察がふんだんに使える税金で、新たな鑑定をすればいいんですよ。耳で聞いて雑音だとか、言葉面を捕らえて真実だなどと言ったとて、科学の目で明らかにされた編集痕は消し去ることはできませんよ。
科学的な知見を言葉で否定しても虚しくはありませんか。
自白テープの改ざんは動かしがたい事実だ。じゃあ、なぜ警察が改ざんしたり、編集したかだが、我々を犯人にするため、それ以外には理由は無い。私に嘘の自白をさせた、そのままの経過では犯人にできないと考えて実行したことなど、子供でも理解できることではなかろうか。
改ざんされたテープの内容をあれこれと言い、ゆえに犯人だと主張するのは、余りにもお粗末な論だ。
杉山の自白を聞かされた経過は、私が長く主張する通りだ。留置場に刑事が入って来て、早瀬を呼び出した。戻って来た早瀬は「何時まで嘘を言ってるんだ!杉山はとっくに捕まっていて、お前が首を締めたと言ってるんだぞ!」と大声をあげた。1967年10月17日午後8時ころだ。それから調書を書き変えために、その夜の調べは深夜になった。早瀬が「桜井も腹が減ってるだろうから、捜査本部の飯を食べさせてやってくれ」と言い、刑事が運んできたモツ煮込みを食べた記憶もある。これが嘘だと補充書は言う。自白テープ録音は、その夕方に終わっており、すでに桜井が首を締めたと話しているからだと。
判ってないなぁ、大鶴さん。だから改ざんしたんですよ。だから編集したのではないですか。録音の通りでは犯人にできないと考えてやったんですよ。改ざんしたからこそ、早瀬も深沢も公判で「テープ録音は一度だけ」と偽証したのではないですか。
杉山の自白を知らされても自白を維持したのは犯人の証拠だとも言うが、アリバイの記憶が戻らないのでは、何を言っても仕方ない心境にされていたせいだ。自白を強要ばかりしている検察官には、辛さに負けてしまう意志や弱さを理解できないのかも知れないが、それが人間なのだ。
私は自分の記憶が、すべて正しいとは思わない。違って話したこともあろうし、今の記憶は歪んで違う部分も生まれているだろうとも思っている。でも嘘は言っていない。
「同日の留置場への帰房時刻は午後10時40分でうんぬん」と言い、深夜まで調べられてモツ煮込みを食べたという主張を信用できないども言うが、呆れてモノが言えない。この警察が提出した「桜井の出入り状況表」なる物は、これ自身が改ざんされているし、その改ざんの事実は、開示された捜査報告書に取り調べ時刻が記載されていて「出入り状況表」と食い違っていることで証明されているではないか。取り調べの記載が無い日に調べたと書かれた捜査報告書は、一体何を物語るのか。
何度も言っているように、警察は自白テープを改ざんしただけではない。我々を犯人とするために、あらゆる資料を改ざんしている。調書をも改ざんし、編集しているが、今は証明できないだけで、検察が隠し続けている総ての証拠を開示するならば、自白テープや取り調べの状況表などのように、必ず証明されるだろう。検察庁は、総ての証拠を開示しろ!
土浦での事実調べのおり、毛髪鑑定書の存在を「不見当」と書面で回答し、言い逃れできない事実を突き付けられて提出した園部検事に怒ったことがある。裁判所をも欺こうとした不誠実を怒り、「俺が聞いたら、当時の警察がいい加減で無い、と言ったろ!俺の顔を見るのが恥ずかしくないか!」と怒鳴ったことがあった。今、大鶴検事に言いたい。改ざんが証明されたような書面を根拠に、何時までも自らの誤りにしがみついていて恥ずかしくないですか?

東奔西走

2008-12-07 | Weblog
今日は岡山での痴漢冤罪事件の集会に招かれて向かってる。
冤罪の苦しみに罪の重い軽いは無い。ぜひ頑張ってほしいし、勝ってほしいと願うばかりだ。
今日も仲間に、その思いを語って来る。
富士山が鮮やかに見えて、今日もいいことがありそうだ。