■新型インフルをスピード検査 早期治療で重症化防ぐ
朝日新聞 2009年12月13日3時3分
新型インフルエンザのウイルスがヒトに感染する仕組みを逆手に取り、従来の10万倍以上の感度でウイルスを検出できる手法を、鹿児島大の隅田(すだ)泰生(やすお)教授らの研究グループが開発した。発症前でも感染を確認でき、早期治療で重症化を防げると期待されている。近く、検査機器の試験運用を兵庫医科大で始める方針。
新型インフルに感染しているかどうかは、まずは簡易検査キットを使い、その後ウイルスの遺伝子を増幅させるPCR検査で確定する。しかし、ウイルスが患者の体内であまり増えていない感染の初期段階では「陰性」と診断されるという問題がある。
隅田教授らが着目したのは、ウイルスがヒトの細胞の表面にある「糖鎖(とうさ)」にくっつき、感染する仕組み。人工的に作った糖鎖を小さな金の粒子の表面に取り付け、ウイルスが入った患者の唾液(だえき)と混ぜて遠心分離させたところ、重量がある金粒子とくっついたウイルスを高い濃度で分離、取り出すことができた。簡易検査で「陰性」になっていたものも見逃さないという。
隅田教授は「早く治療できれば重症化を防げる。治ってから職場復帰するときの検査にも使える」と話す。鼻の奥から検体をとる従来の手法は痛みを伴うが、唾液を使うので患者の負担も減るという。
研究グループは検査機器を兵庫県内のメーカーと共同開発中。新型と確定するまでに現在は、PCR検査を含め半日かかっているが、新手法では30分ほどに短縮できるといい、年内にも兵庫医大で試験運用を始める。同大の中嶋一彦助教は「実用化されれば、保健所などに検査を依頼せずに各病院で陽性かどうか判断でき、大幅に利便性が高まる」と期待する。
早期発見・早期治療に役立つ画期的な検査方法となるでしょう。ワクチンと合わせて早急に普及させるべきだと思います。
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