スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

読む全日本プロレス&能動

2011-08-14 20:00:22 | NOAH
 アラビアの怪人黒い呪術師に関する和田京平の回顧の中で,『読む全日本プロレスに』ついて少し触れましたので,この本を紹介しておきます。
                         
 基本的にこの本は,2004年に発表された『人生は3つ数えてちょうどいい』という本が文庫化されたもの。ただしその本は,馬場の死について詳しく書かれた8章まで。文庫化にあたり9章が追加され,ここの部分は武藤が社長になってから,いい換えればNOAH旗揚げ後の全日本プロレスについてで,さらに2009年6月の三沢の殉死についてもあとがきで触れられています。
 やはり興味深いのはNOAHの旗揚げのときの経緯についてでしょう。和田京平の理解では,和田京平自身と,三沢や仲田龍との相違というのは,馬場を信頼し支えるという点では何も違いはなかったけれども,和田京平にとって馬場というのは,元子夫人も含めて一体化されたものであったのに対し,三沢や仲田にとってはそうではなかったということ。三沢と元子夫人との間に確執が生じてしまった一因がそこにあるという見方のようです。ただし,三沢は馬場の生前から,元子夫人の存在について馬場に進言することがあったそうで,元子夫人はそれが馬場の心労となり,死の原因の一部となったとすら考えたようですが,さすがにそれは逆恨みで,むしろ三沢の方を気の毒に思ったといっています。
 三沢が辞表を提出したのが2000年の6月13日。和田によればこの日,元子夫人は全日本プロレスの株を三沢に売り渡すつもりだったと書かれています。あくまでも全日本プロレスに残った側の人による記述ですから,この日に本当にそういう心積もりがあったのかどうかは分かりません。ただ,後に元子夫人は武藤に全日本プロレスを完全に明け渡していますので,三沢に対してもそういう気持ちがあったということは事実なのではないかと思います。
 和田は最近になって,おそらく不本意と思われる形で全日本プロレス退団しました。全日本プロレスの最良の時代に,多くの名勝負が誕生しましたが,それはそうした試合のほとんどを裁いた和田の功績も非常に大きかったと僕は思っています。

 これで一般的に能動actioと受動passioを僕がどのように理解するのかということを示すための条件が出揃いました。
 まず,あるものAがあって,このAが十全な原因causa adaequataとなってXという結果effectusを産み出すとき,いい換えればXという結果が生じる場合にその原因がAのみによって十全に説明されるとき,このことを僕はAのXに対する能動であると理解します。そしてこれを,このような実在論的な仕方ではなく認識論的な仕方で記述するなら,Aの観念ideaを有する限りでの神DeusのうちにXの観念があるとき,これをAのXに対する能動であると理解するということになります。そしてこのとき,Aの精神mensのうちにはXの十全な観念idea adaequataがあるということになります。
 かつて詳細に検討した第二部定理一三備考によれば,スピノザの哲学においてはすべてのものが精神を有するということになっています。したがって前述の最後の部分,Aの精神のうちにXの十全な観念があるということを,僕はAが任意のものである,すなわちどんなものであると規定したとしても成立するというように考えます。ただ,この点に関してはこれを訝しく考える方もいらっしゃるでしょう。あとで説明しますが,スピノザの哲学でいう精神というのは,平行論におけるある関係のことであり,何らかの思惟機能を意味するわけではないので僕はAがどんなものであっても成立すると解しますが,このこと自体は能動が何であり受動が何であるということと直接的に関係するわけではありませんから,今の段階ではたとえばAというのをある人間とのみ解釈し,その人間の精神mens humanaのうちにXの十全な観念があるというように,限定的に理解してもらっても結構です。
 これらみっつの事柄,つまりまずAが十全な原因としてXを産出すること,次にAの観念を有する限りで神のうちにXの観念があるということ,そして最後にAの精神のうちにXの十全な観念があるということは,各々を単独でみてみるならば,それぞれが別々の事柄を記述しているというように理解することができると僕は認めます。しかし同時にこれらみっつの事柄は,AのXに対する能動を示しているという点では完全に一致します。したがって実はこれらみっつの事柄は,同じ意味になるようなことを,それぞれが異なった観点から説明していると理解することが可能だと思います。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 知的整理&神との関係 | トップ | 農林水産大臣賞典クラスター... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

NOAH」カテゴリの最新記事