スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

棋聖戦&第一部定義四の立場

2011-04-28 20:00:07 | 将棋
 おそらく契約金の減額があったためでしょう,序列が3位から7位へと降下した第82期棋聖戦の挑戦者決定戦。公式戦初対局の一戦でした。
 振駒で佐藤天彦六段の先手。深浦康市九段の4手目△3三角戦法。角交換から後手の中飛車に。先手が変則的な構えから玉頭位取りのような形にすると後手はそれを目標に銀を進出。互いに角を打ち合うことになりました。その後,歩の交換がないまま今度は銀交換。先手がその銀を後手陣に打ち込み,桂馬と交換する代償に馬を作りました。そして後手玉頭を目指して飛車を8筋に転換。後手はその間に馬金交換に成功して駒得を拡大。その角を先手陣に打ち込みました。
                         
 今日はここから観戦。金は逃げるだろうと思いましたが△5六歩。金は取るだろうと思いきや▲3五金。実はこれはないだろうと思っていた手。当然の△5七歩成に▲6六金。以下△5六と▲7五金△同銀▲同銀までは予想した通り。そこで△7六角成と思っていましたが△6七角成(第2図)と王手に成りました。
                         
 逃げるわけにはいかないので合駒ですが,金や銀で馬に当てても△7六馬でまた銀当たりなので節約して歩を打ったのは自然に思います。しかし次の△7九金はまったく考えていなかったので驚きました。△4六飛だと▲6一角で▲3五金が生きる展開となるので避けたのでしょうか。これがあるなら合駒は何でも同じだったかもしれないと思いました。まあこう指せばさすがに▲同玉△5七馬▲8九玉△7五馬(第3図)までは予測できました。
                         
 ここで▲7ニ桂成と金を取りました。どうやるか分かりませんでしたが最も有力だろうと思っていた手。△同玉はこの一手で▲5二金も最有力に思えます。ただこれは詰めろではないので手番が後手に。△7六桂は予想通り。▲7九銀は苦渋の手という印象。対して△3五歩はいかにも悠々とした手で,どうやら後手がはっきりと勝ちになったようだと思い,ここで検討を終りにして,あとは観戦のみ。▲4一金△6九金と進み,▲5二飛から最後の攻撃。ただ後手玉は詰まず先手玉も受けられませんので,後手の勝ちで終っています。
 深浦九段が二年連続で挑戦者に。羽生善治棋聖との五番勝負は6月11日に開幕とのことです。

 第一部定義三というのは名目的定義としか考えられません。一方,第一部定義六というのは,神に関する唯名論的観点というのを別にするならば,それ自体で実在的定義であると僕は考えます。よって,第一部定義四についていうならば,もしもそこで示されている実体というのが,第一部定義三でいわれている実体であるならば名目的定義であるとしか考えられませんが,第一部定義六でいわれている絶対に無限な実有というのを意味するのであれば,むしろ実在的定義であると考える方が妥当であるというのが僕の結論です。いい換えれば,属性ということばが『エチカ』における文脈において,どのような意味で用いられているのかという観点によって,第一部定義四の立場というものは,名目的に理解されるべきか,それとも実在的に理解されるべきなのか変わってくるのだろうと思うのです。したがって第一部定義四というのをただそれ自体で考えるならば,この定義のうちには,名目的な意味と実在的な意味との両方が含まれていると考えるべきなのだろうと思います。
 たとえば第一部定理二においていわれている属性というのは,それを認識論的に理解するにせよ実在論的に理解するにせよ,明らかに第一部定義三で定義されている実体の本性を構成するとされる属性に関係するような論証であるといえます。それはこの定理が,実際には実在するわけではないふたつの実体に関する論証であることから明らかでしょう。よってここで属性といわれているものを第一部定義四に訴えるのなら,第一部定義四は名目的定義であると理解されなければなりません。
 一方,たとえば直接無限様態に関する論証である第一部定理二一でいわれている属性は,その文章からも明らかなように神,すなわち絶対に無限な実体の本性を構成するものとしての属性についての言及です。よってこの属性の意味についてこれを第一部定義四に訴える場合には,第一部定義四は実在的な意味として理解されるべきであると思います。ましてこれは神の実在が論証された第一部定理一一よりも後,つまり仮に第一部定義六を名目的に理解した場合でも,すでにそこに実在的意味が付与された後ですから,なおさらそういえるのではないかと思います。

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