スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

フリーダム・フォース&人間中心主義

2021-06-26 19:08:42 | NOAH
 豊田真奈美はほかの同期の3選手からは長らく無視された時期があったと語っていました。それが事実であったということについては,豊田より2年後輩の伊藤薫が証言しています。
                                        
 これはおそらく1994年後半か1995年の前半のことだったと思われるのですが,その当時の伊藤は,ホテルで先輩に部屋の鍵を渡す役目を務めていました。名古屋のホテルでそれをしようとしたところ,下田と三田が豊田に何かを言って,ふたりでエレベーターに乗り込んだということがあったそうです。取り残された豊田は伊藤が乗ったエレベーターに同乗したそうですが,そのときに豊田は泣いていたと伊藤は証言しています。この当時は豊田がWWWAの王者になっていて,山田も含めたほかの3人よりも会社が豊田に肩入れしていたので,ほかの3人の嫉妬があったのではないかと柳澤は推測していますが,伊藤は原因については何であったか分からないと言っています。
 このことがあった後,伊藤は会社に呼ばれ,豊田が孤立しているからチームを結成してくれと依頼されました。このときに同席していたのが吉田万里子と長谷川咲恵でした。吉田は井上京子と同期ですから豊田よりは1年後輩で伊藤の1年先輩。長谷川は伊藤の同期です。結果的にこの3人は会社の依頼を受け入れ,豊田を含めた4人でフリーダム・フォースというチームを結成しました。これが1995年2月のことになります。
 伊藤はフリーダム・フォースを結成したことによって,リング上で先輩たちから厳しい攻撃を受けるようになったと言っています。これはこのチームの結成が,選手間の感情のこじれによるものであったことから分かるように,豊田のことを快く思ってなかった選手が,豊田の同期である3人のほかにも存在したからだと思われます。実際に伊藤はそうした先輩として,井上京子と井上貴子の名前をあげています。このふたりは吉田とは同期であったにもかかわらず,後輩である伊藤と長谷川だけになく,吉田に対しても厳しく接したということですから,そこにも何か感情的なものの発露があったとみるのが妥当のように思います。

 「自由意志と目的論の帰趨」のうち,第二部定理四九備考に関連する部分の考察はこれで終了です。後半は論文そのものとは無関係でしたが,第二部定理四八でいわれていることは社会の分断の要因となるということ,そしてその分断は,個人の現実的本性actualis essentiaに根差して解決されるべきだと僕は考えているということは理解してもらえたものと思います。ですのでここからは最初にいっておいた,この論文の中で僕がもうひとつ気になっている部分の考察に移ることにします。
 この論文の中で,スピノザの哲学には,人間中心主義といい得る考え方がみられるという主旨の記述があります。この論文はストア派との関連の考察ですので,僕はここではスピノザの哲学をそれ単独で考察するために,分かりやすく説明しますが,ここでいう人間中心主義というのは,たとえば,人間は人間の目的finisに適うように人間以外の自然Naturaを思うままに利用してよいというような考え方のことです。ですからたとえば人間は人間以外の動物を意のままに利用してもよいということがここから帰結するでしょうから,動物を殺すべきではないというような主旨の動物愛護の考え方は,スピノザの哲学に反する考え方だということになるでしょう。
 近藤はこの考え方の基礎となっているのは,第四部定理三五であるといっています。そしてこの定理Propositioの帰結事項として,人間は社会的に結合することができるけれど,人間と本性naturaが異なる動物にはそれができないということがあり,このことがスピノザのいう人間中心主義に繋がるのだとしています。
 僕は近藤のこれらの見解opinioのうち,スピノザの哲学のうちに,たとえば人間にとっては利益となるような仕方で動物を利用してよいという意味での人間中心主義が含まれているということ,そしてその限りにおいてある種の動物愛護思想や自然保護思想がスピノザの哲学と相容れない部分を有しているということについては全面的に同意します。ただし,ある種の動物愛護やある種の自然保護は,むしろ人間に対して利益を齎す場合もあるのですから,そうした思想が全面的にスピノザの哲学と対立するというようには考えないということもつけ加えておきます。

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