スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

日本選手権競輪&無限知性の対象

2017-05-08 19:07:09 | 競輪
 京王閣競輪場で行われた昨日の第71回日本選手権競輪の決勝。並びは平原‐武田の関東,深谷‐浅井の中部,三谷‐桑原の西日本,山田‐園田の九州で守沢は単騎。
 浅井がスタートを取って深谷の前受け。3番手に平原,5番手に守沢,6番手に三谷,8番手に山田で周回。残り3周のバックから山田が上昇。三谷がこのラインに続きました。残り2周のホームに入ると山田が深谷を叩き,深谷は8番手まで下げるとすぐさま反撃。バックで山田を叩いて打鐘となり,深谷の先行に。山田が内を開けて走ったのでコーナーで三谷がそこを突いて上昇。ホームで浅井と番手戦になるかに見えましたが,競りは避けて3番手を確保しました。後方になった平原も上がっていきましたが,5番手で山田と併走のような形になり,山田に外に振られて苦しくなりました。前の隊列が変わらずに直線を迎えたので浅井に絶好の展開と思えましたが,深谷の発進も早かったため脚が残っていなかったのでしょうか,その後ろから突き抜けた三谷が優勝。マークの桑原が1車身差の2着に続いて西日本ラインのワンツー。浅井は4分の1車輪差の3着まで。
 優勝した奈良の三谷竜生選手は2014年の優秀新人選手賞を受賞していますが,ビッグはおろか記念競輪の優勝もなく,グレードレース初優勝をダービーで達成という珍しい記録を作りました。何といっても打鐘中に3番手を確保することができ,結果的に平原を後ろに位置させることができたのが大きかったのだと思います。101期の新鋭選手ではありますが,年齢でいえばこのメンバーだと深谷よりふたつ上の29歳ですから,選手としてはもう勝負所にさしかかっています。ダービーを優勝しただけで終るということはさすがにないと思いますが,早期に記念競輪でも優勝しておきたいところではないでしょうか。

 現実的に存在する個物Xの観念ideaも現実的に存在する個物Yの観念も,無限知性intellectus infinitus,infinitus intellectusのうちにあると僕は考えます。第五部定理二二のいい方に換えれば,それらの観念が無限知性のうちで永遠の相の下に表現されていると考えます。そこで仮定に戻り,現実的に存在する個物Yが原因となって現実的に存在する個物Xが起成するとします。
                                     
 スピノザの哲学では知性は観念の総体なので,無限知性も観念の集合であることは間違いないでしょう。無限知性をひとつの観念としてみた場合,その観念の対象を何というべきかは僕には分かりません。ただ,現実的に存在する個物Yから現実的に存在する個物Xが発生するということが,無限知性を観念としてみた場合に,その観念の対象の「中に起こること」であるか否かを問うなら,それは「中に起こること」ではないと僕は考えます。なぜなら,ある観念の対象の「中に起こること」とは,その対象の本性natura,essentiaなり形相formaなりに変化を生じさせ得ることと僕は解するからです。この場合,観念の対象とその観念は同一個体なので,観念の対象に本性や形相の変化が生じ得るなら,観念の本性および形相にも変化が生じ得るといわなければなりません。ところが無限知性は思惟の属性Cogitationis attributumの直接無限様態です。したがって第一部定理二一により永遠かつ無限です。しかしもしもその本性や形相に何らかの変化が生じ得ると概念するconcipereことができるものが永遠aeterunusであったり無限infinitumであったりすることはできません。よって,単に個物Xが現実的に存在するようになるということが無限知性の対象の「中に起こること」ではないというだけでなく,むしろ無限知性の対象の中には何も起こらないと解さなければならないと僕は考えるのです。したがって第二部定理九系に依拠するなら,この意味においても無限知性が現実的に存在する個物を認識することはないといわなければなりません。したがって,現実的に存在する個物Xの本性を永遠の相species aeternitatisの下に表現するexprimere観念が無限知性のうちにはあるのだけれども,それはたとえば僕たちの身体corpusのうちに起こることの観念が僕たちの精神mensのうちにあるというのとは,構造的に同じだけで現象としては異なっていることになります。

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