スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

中日新聞杯名古屋大賞典&思惟する力

2017-03-30 19:32:49 | 地方競馬
 第40回名古屋大賞典
 好発だったモルトベーネを外からケイティブレイブ,カツゲキキトキト,ドリームキラリの3頭が交わしていき,一番外のドリームキラリが前に出ようというところ,ケイティブレイブが譲らず,ケイティブレイブが逃げてドリームキラリが外の2番手に。差が開いて控えたカツゲキキトキトが単独の3番手。この後ろはまた差が開いてトロヴァオとオールブラッシュが併走。下げたモルトベーネがピオネロと並んでその後ろに続くという隊列に。ハイペースでした。
 向正面に入るとピオネロが動いていき,カツゲキキトキトの後ろの4番手に。3コーナーの手前でドリームキラリは一杯。ケイティブレイブが単独で抜け出し,外の2番手までピオネロが進出。さらにその外をモルトベーネが追ってきました。しかし直線に入ってもケイティブレイブの逃げ足は衰えず,そのまま逃げ切って優勝。早めに動いたピオネロが1馬身半差の2着。3コーナーでドリームキラリが下がってきたために一旦控え,立て直して大外から追い込んだカツゲキキトキトが半馬身差で3着。この後ろは4馬身あり,最下位までばらばらの入線になっています。
 優勝したケイティブレイブ浦和記念以来の勝利で重賞4勝目。このレースは9頭のうち6頭は勝つチャンスがある馬という混戦模様。それぞれに一長一短があったのですが,この馬の場合は出走したJRAの5頭の中では地方競馬でのレース経験が豊富で,その点が大きく生きたものと思います。逃げなくてもレースができる馬なのですが,先手を取った方がより力を発揮できるということなのでしょう。今日のようなメンバー構成なら力量上位と考えておくのがよいようです。父はアドマイヤマックス。母の父はサクラローレル。母の半兄に1999年の北海道スプリントカップ,2000年のガーネットステークスと黒船賞と群馬記念とかしわ記念と朱鷺大賞典,20001年のガーネットステークスととちぎマロニエカップを勝ったビーマイナカヤマ
 騎乗した福永祐一騎手と管理している目野哲也調教師は名古屋大賞典初勝利。

 人間の精神mens humanaの現実的有actuale esseを構成する観念ideaが,真の観念idea veraだけではなく誤った観念も含まれるという点については異議はないでしょう。誤った観念とも関係する意志voluntasという思惟の様態cogitandi modiがどのようなものであるのかということが問題として残されることになります。第二部定理四九備考から引用した後半の部分で,スピノザはそれをどのような意味でいっているのかを明らかにしているのです。
                                     
 スピノザはそこで,思惟する力を知覚一般と置き換えています。ここでいわれている知覚というのは,人間の精神による認識cognitioのすべてを意味しているといえるでしょう。他面からいえば,思惟の様態の第一のものは観念であるのですから,ある人間の精神のうちにあるすべての観念を思惟する力と置き換えていることになります。すでに示したようにそうした観念には真の観念と誤った観念の両方が含まれるのですから,スピノザは現実的に存在する人間の精神が事物を誤って認識する場合にも,それは思惟する力のひとつであるといっているということになります。
 ただし,そうした思惟する力の源泉が意志であるとスピノザがいっているわけではありません。思惟の様態のうち第一のものが観念であって,意志もまた思惟の様態であるのなら,ある人間の精神の意志作用volitioが,その人間の精神のうちに観念が発生する原因であるということは論理的に不可能であるからです。原因は結果に対しては何らかの意味で「先立つ」存在でなければなりませんが,意志が観念に対して「先立つ」ということが論理的に不可能になっていますから,それは明白だといえるでしょう。よって,スピノザがいっている思惟する力というのは,文字通りに思惟する力なのであって,意志する力ではないという点には注意が必要でしょう。
 一方,備考の前半部分の解析から,真の観念だけでなく誤った観念にも,いい換えれば人間の精神のうちに発生するあらゆる観念に対して,意志という思惟の様態が関係しなければならないということは明らかになっています。なので思惟する力は意志する力そのものではありませんが,思惟する力があるところには必ず意志する力もあると考えなければならないのです。
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