なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ゾシンで高熱

2022年07月31日 | Weblog

 7月24日に記載したDPB+肺炎の73歳女性のその後。

 7月21日に通院している呼吸器外来担当の先生から、入院治療を依頼された。頻回の入院で、喀痰培養で最近は常在菌のみだが、緑膿菌が検出されたことがある。抗菌薬は緑膿菌カバーになる。

 セフォゾプラン(ファーストシン)で開始して、悪化はしないが、あまり良くもないような経過だった。4日目・5日目でも37℃後半から38℃の発熱もあった。

 6日目に抗菌薬をタゾバクタム・ピペラシリン(ゾシン)に変更した。一昨年に、内科の若い先生が担当した時に、ゾシン8日間投与で肺炎が治癒した既往がある。

 その日、病棟から特に連絡がなかったが、ゾシン投与1回目と2回目の後に悪寒戦慄と40℃の高熱が出ていた。患者さんはこの薬を入れると、熱が出ると言っていたそうだ。夜間の3回目は発熱を予期して布団をかぶっていて?高熱は出なかった。

 翌日に前日の経過をみて、変更後のことに気づいた。病棟から報告はなく、アセトアミノフェン内服と酸素流量増加で対応していた。病状として疑問に思わなかったのだろうか。(治療変更後なので、当方も確認すべきだが、その余裕がない)

 肺炎悪化の有無を見るために、胸部CTを再検したが、入院時とさほど変わらないように見える。(が、なにしろ肺野全体の陰影があるので、細かな変化は分からない)

 薬のせい(薬剤熱)だと思うと患者さんに伝えて、当初のファーストシンに戻した。その後、高熱は出なかった。抗菌薬を投与しても、軽快するのに通常の基礎疾患のない肺炎に比べれば時間がかかる、ということなのかもしれない。

 

 ここ数回の入院では、喀痰培養で有意な菌が検出されない。夜間の入院で、当直医がセフトリアキソンで開始して、解熱していたのでそのまま継続したことはあった。緑膿菌カバーははずしにくい患者さんで、そうなると第4世代セフェムとカルバペネムしかなくなる。

 

 

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肺胞出血

2022年07月30日 | Weblog

 金曜日の午前中に腎臓内科の先生(木曜日の当直)から、外来で診ている患者さんが朝方肺胞出血で入院したと報告があった。午前3時ごろに血痰が出て、呼吸困難感も訴えて救急搬入されていた。

 胸部X線・CTを確認すると、左肺全体に陰影が広がっていた。右肺にも背側に軽度に陰影がある。酸素吸入2L/分で酸素飽和度97%だった。

 心房細動で内服しているDOACによる肺胞出血なので、中止していますと言われた。リウマチ膠原病の外注検査も提出しているが、DOACによるものでしょうという。同様の症例の経験があり、落ち着いたものだった。

 

 88歳の男性で、糖尿病で通院していたが、2017年に胃癌が見つかった。早期胃癌で胃内複数箇所に癌があった。高齢で心房細動・心不全もある。

 内視鏡治療できないか、心臓血管センター・消化器病センターのある専門病院に紹介となった。内視鏡治療は困難で、胃全摘術になった。術後に食欲不振が続いて大分痩せたが、何とか回復した。体重減少で、それまで使用していたインスリンは不要となっていた。

 

 昨年も肺胞出血がありましたが、と言われたが、すぐに思い出せなかった。昨年1月に、血痰で呼吸器外来を受診していた。短期間地域の基幹病院の呼吸器内科の若い先生が外来応援に来ている時だった。

 胸部X線・CTで右肺野に淡い陰影が散在している。肺炎に伴う血痰と判断されたようで、外来で抗菌薬投与で経過をみるが内服しているDOACを中止していいかと訊かれて、中止して下さいと返答していた。

 1週間後に軽快して、その後も1か月程度DOACを中止して、再開していたのだった。DOACによる肺胞出血とは認識していなかった。放射線科の読影レポートでは、「肺胞出血」となっていたが、血痰の情報と画像だけで判断できる?。(このくらいだと、肺胞出血と判断しても、いったん中止後に再開としたかもしれない)

 

 今後DOACはどうしましょうかといわれた。今回のような派手な肺胞出血を来すようでは、軽快後も再開はできない。家族に血栓塞栓症のリスクを説明して、抗凝固薬中止とする方針でいこうということになった。

 3か月交代で大学病院腎臓内科から来てもらっている若い先生だが、できるなあと思った。

 

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腸閉塞・結腸癌疑い

2022年07月29日 | Weblog

 水曜日は当直だった。午後11時半過ぎに、3~4日前からの腹部膨満があり、食事摂取できないという73歳男性が救急搬入された。

 腸閉塞だと外科のない当院では診られない。断った方がとも思ったが、発熱・腹痛の訴えはないというので受けた。

 以前の腹部CTで内臓脂肪が目立つ患者さんだったが、確かに腹部は膨満している。膨満して苦しいというが、柔らかさもあり、圧痛としてはとれなかった。

 放射線技師・検査技師は午後10時以降は、待機・呼び出しになる。朝まで点滴で経過をみてからとも思ったが、検査することにした。(検査技師さんは院内宿泊だった)

 腹部CTで胃から小腸、さらに横行結腸口側まで拡張して、消化液が貯留している。横行結腸の肛門側で急に結腸が狭くなっている。壁肥厚が軽度にあるようだが、腫瘍とは決め難い。その下行結腸からS状結腸は便があるが、狭窄をきたすものではない。

 発症の経緯と症状からは、しだいに詰まってきたようだ。放射線技師さんに指摘された回盲部にリンパ節と思われる小腫瘤がある。単純CTだけだったが、(搬送前に)造影してもそれほど情報が変わることはなさそうだった。

 午前1時半を過ぎていていたが、地域の基幹病院の外科系の当直医に連絡した。幸い受けてもらえることになり、腸閉塞・横行結腸癌疑いとして、救急搬送した。

 

(後日記) 大腸内視鏡検査を行って、横行結腸癌と診断された。そのままステント挿入を行って、待機手術となった。

 

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コロナワクチン接種問診

2022年07月28日 | Weblog

 高齢者と基礎疾患のある方のコロナワクチン接種4回目が始まった。市内の大規模(小さい市なので中規模?)接種会場に、交代で医師1名と看護師2名で行っている。100名に対応する。

 1回目の接種の時は4列で行っていたが、1列でもけっこうな数がこなせるので、その後は2列で行うようになった。市内のクリニックで1列、市内の病院で1列を担当する。(1列で100名の接種に対応)

 午後1時から5時までになっているが、最終は4時の枠なので、接種後の経過観察も含めて4時半過ぎには終わる。バイト扱いなので、お金は出る。(いったん病院に入ってから、個人に分配)午後1時開始なので、午前中に外来があると慌ただしく出かけるようになる。

 協力義務として月1回は行くことにしているが、枠が埋まらないと医局秘書さんから埋めるように言われて、もう1回行くことにしたりする。バイト代稼ぎで週2回行く先生もいるが、内科は時間がないのでとてもできない。

 

 ほとんどは高齢者なので、これまでの3回の接種で、発熱などの副反応は少ない。今回はモデルナのワクチンで、これまでファイザーのワクチンをしてきて、今回はどうなんでしょうと訊かれることが多かった。(副反応が出るのか、効くのかなど)

 「副反応はややモデルナの方が多いようにも見えるが有意差はない」ということになっているので、ほとんど同じですよ、と答えていた。

 BA.5にはあまり効果がないが(感染予防効果)、とりあえずは接種してもらうしかない(重症化予防効果に期待)。院内でも職員の4回目の接種を開始することになるが、秋にはBA.5にも効果の高い新しいワクチン接種が始まるのだろうか。

 

 開業医の先生方は、水曜日か木曜日の午後を、土曜日午前中の診療の代わりに休診にしているので、そこだとワクチン接種に来れる。それ以外はクリニックを閉めて来るので(バイト代では)割があわないのかと思っていた。

 実際は、息子さんに代替わりした高齢の先生たちが来ていて、枠はちゃんと埋まっていた。ほとんど引退した先生としては、いいバイト代になるのかもしれない。

 

 問診表に名前のハンコと印鑑を押しまくるが、印鑑を何度も押すのはけっこう指が痛くなる(100名×2回=200回)。

 

 

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肺炎、慢性閉塞性肺疾患の増悪

2022年07月27日 | Weblog

 月曜日の夕方に発熱外来を診ていた先生(大学病院総合診療科)から、肺炎の78歳男性の入院を依頼された。

 1週間くらい前から咳・痰・食欲不振があった。前日の日曜日に高熱で地域の基幹病院を受診して、コロナの検査を受けて(陰性)、アセトアミノフェンが出されたそうだ。(高齢者の発熱・咳・痰は、ほぼ肺炎だが)

 体温39.9℃で、酸素飽和度は88%(室内気)だった。酸素2L/分の吸入で飽和度は保たれるようだ。高二酸化炭素血症はなかった。

 胸部X線・CTが検査されていて、左肺上葉に浸潤影が広がっていた。喫煙者(タバコ20本/日)で、喘鳴が聴取される。胸部CTで気腫性変化があり、COPD(慢性肺気腫)だった。喘息様の症状を伴うが、これまで喘息発作としては自覚していない。

 

 喀痰培養が抗酸菌塗抹(陰性)を含めて提出されていた。(さすが総合診療科)尿中抗原は肺炎球菌、レジオネラいずれも陰性だった。CKが軽度に上昇していて、心電図は正常洞調律で虚血性変化はないが、心エコーも追加されていた。心機能は問題ないが、肺性心がありそうだ。

 肝機能障害・CK上昇があって、レジオネラもちょっと考えたが、肺炎・COPD増悪だと、肺炎球菌かインフルエンザ桿菌を想定したい。普通にセフトリアキソンで開始とした。デキサメサゾンも4mg入れた。

 

 入院を依頼した先生は、午前から午後までのバイトで来ている先生で、発熱外来も対応してもらうことになっている。午後に保健所依頼のPCR検査をしていると、発熱外来を受診した患者さんのコロナの検査を管理者の先生が行っていた。

 バイトの先生は、午前中だけで午後は帰ったのかとも思ったが、実際はちゃんと夕方まで病院にいた。月曜日の発熱外来受診があまりに多くて、先生からちょっと苦情が出たそうだ。

 内科の発熱外来を担当する(割り振りなどを)先生に連絡がいったはずだが、すぐには対応できなかったようだ。白髪頭の管理者の先生が手伝っていたいうことらしい。

 受診数の問題もあるが、PPEの着脱を何度も何度も繰り返すのは、大変なのだった。次の日は(発熱で受診の)問い合わせがあった患者さんたちを、30分ごとに5人ずつまとめて受診するように指示していた。

 

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回想編:研修医の時に出会った先生たち

2022年07月26日 | Weblog

 研修医の時に出会った先生たち

 

 昔々、自分が研修医の時に出会った先生たちの話です。他の研修医と比べると出来が悪かったので、2倍やれば何とかなると思って4年間と長い初期研修をしました。長くいたので、さまざなな先生方に教わりました。

 一番長くお世話になったのは、消化器科のY先生でした。Y先生は、とても気さくで人懐こい笑顔の方でした。誰とでも仲良くなる先生で、居酒屋のマスターと仲良くなって、いっしょに釣りに行ったりしていました。

 医局で最も他の医療職と仲良くしていた先生で、看護師さんや放射線技師の方たちと、ふだんから話をすることが大事だと教えられました。

 今考えると、初期研修後に大学の医局で数年研修したとはいえ、消化器科のトップとして広範な消化器病の患者さんすべてを診るのは大変だったと思います。

 非A非B肝炎(当時の表現)とされていた患者さんのγグロブリンが高く、調べてみると自己免疫性肝炎と判明しました。ステロイドで肝機能が改善して「よくわかったな」と褒めてもらいました。

 

 内科や外科を一通り回った後、関連の小規模病院に行き、ふたりの先生から外来診療を教わりました。

 H先生は呼吸器科の医局出身で、喘息や肺炎を診ていました。小柄ですが、元気一杯の先生でした。病院の宴会で看護師さんたちに引っ張りだされると、言われるままに衣装を着て舞台で踊っていました。

 外来カルテに短くニョロニョロした文字が書いてあり、事務の人が、「いったい何と書かれたのでしょうか」と研修医の私に聞いてきました。英語かドイツ語の略語かなと悩みましたが、どうもひらがなで「よし」と書いたようです。特に変わりないという意味でした。

 確かに外来で患者さんとよくしゃべっているので、いちいち書いている時間はないのでしょう。患者さんが診察室から出る時には「ごくろうさまでしたあ」と大きな声で送り出していました。(今時々真似をしています)

 H先生は、患者さんが亡くなって、ご家族に剖検(亡くなった後の病理解剖)の許可をいただく時には、「(たとえ亡くなった後でも)悪いところを取ってあげよう」というのだそうです。なるほど、そんな言い方があるのかと感心しました。

 

 もう一人のI先生は、消化器科で細胞診が得意でした。詩歌が好きで、昆虫採集が趣味でした。ちょっと恥ずかしがり屋で、しゃべり方は、のんびりというか、ゆったりしていました。

 いっしょに回診していると、癌終末期の患者さんが、「先生、つらい」と言ってきました。何と答えるのだろう、返事に窮するなあと思いました。たとえ緩和ケアを行っても、症状をすべて取れるわけではありません。どうして自分が癌になったのかという悔しい気持ちなど全部を含めた言葉でしょう。

 I先生は、ちょっと間をおいて「そうだなあ、つらいなあ」とだけ言いました。全然答えになっていないのですが、I先生の口調でしみじみ言われると、患者さんも周囲のスタッフも妙に納得していました。

 I先生に、困ったような微笑んだような顔で「困ったなあ」「残念だったなあ」と言われると、本当に仕方がないという気になりました。良くなった時の「よかったなあ」も、うれしさがジワッと倍増するような気がしました。この言い方(芸?)は未だに真似できません。

 そこでは半年研修をして本院に戻りました。「今週でいなくなるので、他の先生に変わります」と伝えると、入院していた甲状腺癌の女性に泣かれました。看護師さんから聞いたところでは、「I先生が細胞診をする時に、当方が手を握ってくれて嬉しかった」、と言っていたそうです。(実際は患者さんが恐怖心から、そばで見ていた当方の手を握ったのだと思います)

 

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COVID-19続々

2022年07月25日 | Weblog

 先週末の日直・当直はバイトの先生方だった。土曜日は初めての先生が日直・当直に入った。

 その先生は整形外科医で、事務長経由で当直表担当の内科の先生には話がきた。(m3などから来た話か)1回やってみて、双方にとって問題なければ毎月1回ということだった。

 発熱外来で5名のCOVID-19の患者さんを診断して、その他の患者さんも無難にこなしていた。これから継続してお願いすることになりそうだ。

 

 日曜日は泌尿器科の先生で、下腹部痛の20歳代女性が受診して、尿管結石の診断をつけていた。発熱外来では、6名のCOVID-19患者さんを診断していた。休日はもっぱら新型コロナの抗原定性試験で診断している。6分で診断がつくが、1~2分くらいで検査から陽性の報告が来ることもある。

 まず発熱で受診した11歳男児が診断された。発熱・咽頭痛で受診した35歳女性も陽性だった。11歳男児も陽性で、小学校の同じクラスにCOVID-19罹患者が複数出ているそうだ。

 発熱・咽頭痛の30歳男性も陽性で、会社内にCOVID-19罹患者が複数出ているという。発熱・咽頭痛の46歳女性も陽性で、息子さんが先に罹患していた。発熱・咽頭痛の43歳男性も陽性で、やはり息子さんが先に罹患している。

 子供から感染した親ごさん、学校内で感染した子供さん、会社内で感染した社会人ということになる。

 

 市販のキットで検査して陽性となっても、保健所に連絡すると病院を受診するように指示される。単に手間が増えるだけで意味がないようだ。

 市販のキットで陽性と出ても、すぐに症状が軽快していれば、病院を受診することも保健所に連絡することもしないで経過をみる人もいるのだろう。

 ここまで増えると、5類相当として、薬局で購入した市販のキットで診断したり、薬局の検査コーナーで検査してもらってもいいと思う。

 

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DPB+肺炎

2022年07月24日 | Weblog

 最近頻回に入院しているびまん性汎細気管支炎(DPB)の71歳女性は、また木曜日に入院した。

 呼吸器科外来(大学病院からの応援医師)で診てもらっているが、クラリスロマイシン抵抗性で改善しない。呼吸器内科常勤医のいない病院として、ここで管理していいのかという患者さんが何人かいる中のひとりだった。

 可能ならば、地域の基幹病院の呼吸器内科に通院してもらうといいが、患者さんとしては当院通院の方が都合がいいらしい。抗菌薬投与で軽快しているうちはいいが、いずれ肺炎が悪化した時にどこまで治療するかという問題になる。

 

 今回は先々週の金曜日(7月15日)から発熱と胸痛(右前胸部、おっぱいのところが痛いと表現)があった。在宅酸素療法(HOT)が導入されているが、酸素飽和度はふだんとそれほどかわらなかった。

 金曜日の当直帯に当院に電話していて、地域の基幹病院を受診するよういわれたそうだ(当直はバイトの先生)。土曜日の当直帯で受診して、当直の耳鼻咽喉科医が対応した。胸部X線で普段と変わりないと判断された。レボフロキサシンが3日分処方されて、週明けに外来を受診するように言われた。

 日曜日は地域の基幹病院を受診して、吸入をして帰された。絶対入院するほどではないので、普段診ている当院で、という判断だろう。週明けに受診しなかったのは、ふだん診ている呼吸器外来の先生の外来日まで待ったということらしい。

 土曜日の胸部X線でも右中葉の肺炎はあった。呼吸器外来の先生は胸部CTで確認していたが、右中葉の肺炎が胸膜にかかるので胸膜痛が生じたということだった。

 喀痰培養で緑膿菌が検出される患者さんなので、使用する抗菌薬は、第4世代セフェムかタゾバクタム/ピペラシリンかカルバペネムになる。

 いつもの?第4世代セフェム(当院はファーストシン)で開始したが、思わしくない時は変更する。呼吸器外来ではアジスロマイシンを使用しているが、効いてはいないようだ。何か漢方薬がDBPに効かないだろうか。

 

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てんかん発作と兄弟

2022年07月23日 | Weblog

 火曜日の午前中は救急当番だった。けいれん発作の52歳男性が救急搬入された。知的障害・てんかんがある方で、その日はデイサービスに行っていた。

 椅子に座っていて、倒れる音がした。職員が振り向くと床に倒れて、けいれんしていた。けいれん自体は1~2分か2~3分で治まったそうだ。

 それだけだと経過をみたのかもしれないが、左眉毛部に2cmくらいの切創ができて、出血していた。それで救急要請した。

 救急隊からの連絡では、けいれんは治まっていて、出血も圧迫で止血しているという。ふだんは当院神経内科外来に通院している。緊急性はなさそうで、外来で診て帰せるだろう。

 

 カルテを確認すると、これまでに当方が関わっていた。2003年から神経内科外来に通院して、抗てんかん薬の処方を受けていた。(2003年は当院が新築移転した年で、それ以前の旧病院時からの通院だろう)

 大学病院の脳神経内科からバイトで来ている先生方が診ていた。当初の処方はデパケン1200mg/日・アレビアチン250mg/日で、当時としてはそのくらいの薬しかなかったのだろう。

 2011年、2014年とけいれん発作で入院していた。神経内科医が新規に出たイーケプラ(内服薬)を追加していた。けいれん時はホストイン点滴静注を使用していた。イーケプラは内服はあったが、点滴静注薬はまだ出ていなかった(はず)。

 2019年にけいれん発作で当方が担当して入院した。ジアゼパム静注、イーケプラ点滴静注を使用したが、けいれんが断続的に続いて、地域の基幹病院脳神経内科に搬送した。(先方にはてんかん専門医がいる)

 10日くらいで当院に戻ってきたが、処方はデパケンとイーケプラ内服のままだった。戻ってきた日もけいれんが断続的にあり、先方の病院に戻すか神経内科医と相談したが、神経内科で診てくれることになった。

 転科すると、同じ治療でもけいれんは治まった。それでも1か月半入院継続してから退院になった。

 

 搬入時は施設職員のみ来ていたが、後で患者さんの弟さんが来てくれた。3人兄弟で同居している。上のふたりは知的障害があり、長男は軽度で(簡単な仕事はできる?)、今回搬入された二男の方が程度は重い(発声はあるが、発語はない)。

 三男は普通に仕事をしていて、同居者の中ではまさにキーパーソンだった。搬入された患者さんのことはあまり覚ていなかったが、三男さんのことは覚えていた。

 抗てんかん薬の内服はほぼできている。けいれん発作はごく短時間起きることがあるが、今年2回目くらいらしい。以前に比べれば落ち着いているという。

 ふだんの処方(イーケプラ2000mg/日のみ)について、神経内科医に相談するほどではないようだ。患者さんは施設職員といっしょにデイサービスに戻った。

 

 抗てんかん薬の変遷もあり、ちょっと感慨深かった。また、この弟さんの立場を考えると、よくやっているなあと感心しきりだった。

 

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胸膜炎・肝周囲炎?

2022年07月22日 | Weblog

 先週の金曜日に内科外来に通院している87歳女性が、左大腿部痛で予約外に受診した。夫は長年当方の外来に通院しているが、こちらの奥さんは最近から通院し始めていた。

 3日くらい前から左大腿部外側の痛みがあったそうだ。処方しているピタバスタチンに説明書(薬局で出したもの)に、副作用として筋肉痛があったので、そのためではないかという。

 スタチンの副作用としての筋肉痛はそんなに部分的には出ない。同部に発赤・腫脹はなく、圧痛・把握痛は軽度にあるようなないようなというくらい。(血液検査で筋障害を示唆するCKは正常域だった)

 

 受診時に37.9℃の発熱があり、発熱外来の扱いになった。呼吸器症状はないが、型通りにコロナの検査をして陰性だった。この年齢だと、発熱の原因は肺炎・尿路感染症などの細菌感染症になる。

 血液検査で白血球11600・CRP17.8と炎症反応の上昇があり、肝機能障害もあった。腹部エコーでは肝表面にごく軽度の腹水を認めたが、肝内部や胆道系に異常はなかった。

 胸部X線では軽度両側胸水貯留を示唆する所見があった。胸腹部CTでみると、確かに軽度に胸水があり、肺底部から横隔膜にかけて炎症像?がある。横隔膜を挟んで肺の炎症が肝表面に及んだ?。CTの読影レポートには両側肺底部に肺炎・胸膜炎に一致する・矛盾しない(consistnt with)とあった。

 肺炎・胸膜炎としても、呼吸器症状はなく、深吸気で胸膜痛があるわけでもない。肺炎・胸膜炎の疑いと伝えたが、患者さんはきょとんとしていた。

 肺炎・胸膜炎として抗菌薬(スルバシリンSBT/ABPC)を開始すると、週明けに解熱して炎症反応も軽減していた。肝機能障害は横ばいであまり変わらない。変な病態だが、この治療で継続するしかないようだ。

 

 7月になってお中元の季節になった。社会的には交友関係も少ないので、お中元・お歳暮を贈る数は元々少なかった。

 結婚式の仲人をお願いした研修病院の院長先生はその後10年くらいして亡くなった。大学の時に学位研究で派遣された病理の先生も数年前に亡くなった。

 現在送っているのは、臨床教室の直接の上司の先生だけになってしまった。自治体病院の院長を定年退職されて、現在でも外来診療は続けておられる。

 社会性がないのを見越して、一人でも研究できるようにと、病理の教授に紹介してくれた。(研究グループの仕事はほどんどしなかった)指導医はこの先生でしたというと、対外的にわかってもらえるので、ありがたい存在だ。

 

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