なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

同名半盲

2019年10月31日 | Weblog

 昨日87歳女性が視野障害で眼科外来を受診した。約2週間前に発症していたそうだ。その後に転倒打撲して、整形外科外来を2回受診していた。当初は視野障害を自覚しなかったのか、それを家族に訴えなかったのか。

 眼科の診察で右同名半盲と判明して、そうなると反対側後頭葉の病変になる。頭部CTを行うと確かに左後頭葉に脳梗塞を認めた。眼科から神経内科に紹介されて、入院になった。ここまで経過すると急性期の治療でもないが、病院職員の母親という点を考慮したのかもしれない。MRI検査が混んでいたのと、すでに緊急性がないことから、頭部MRIは翌日の予定となった。

 

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完全房室ブロック

2019年10月30日 | Weblog

 昨日地域の基幹病院救急科の先生から、82歳男性が紹介された。慢性腎臓病(血清クレアチニン2程度)で腎臓内科に通院しているそうだ。

 左下葉の肺炎があり、脱水症のためか腎機能もふだんよりやや悪化しているという。ベット満床で入院させられないので、ということだった。午前中外来を診ている時に連絡が来て、その日の午前中に同院から転院した2名もまだ診ていなかったので、午後2時ごろに送ってもらえると助かりますと返事をした(自宅の車で移動)。

 実際は午後3時半ごろに到着した。ふだんは畑仕事もしているそうで、会話の様子は意外に元気だった。前日から歩くとふらつくようになり、右手を打撲していた。外来看護師さんから、送られてきた画像のCDを今取り込んでいるところと言われた。

 診察すると、異様に徐脈だった。規則的ではあり、数えると心拍数40/分。両下腿~足の浮腫が目立つ。診療情報提供書には、急性肺炎・慢性腎不全・心房細動・心不全とあった。循環器内科ではなく、腎臓内科で全部まとめて診ているそうだ。

 内科外来にポータブル心電図を持ってきてもらうと、P波とQRSはまったくつながっておらず、完全房室ブロックだった。QRSはwideではないので、補充調律は房室接合部付近から出ている。

 取り込んだ画像を見ると、左下葉に肺炎の浸潤影はあるが、重症ではない。完全房室ブロックの方が主病になる。循環器科の病棟に行くと、若い先生たちが2名いたので相談した。

 患者さんを救急室に移動させて、心電図モニターを装着した。入院時に必要な血液検査と血液ガスを採取した。血液ガスは、PaO2 78.0・PaCO2 25.4・pH 7.470(室内気)と頻呼吸はあるが、大きな問題はない。BNP 879.0・血清トロポニンI 180.3と高値だった。

 これまでに心電図の経過を知りたいということで、循環器科の若い先生が紹介先した先生に電話で問い合わせた。診療情報提供書にある通り心房細動の時もあったが、その日は完全房室ブロックになっていたそうだ。

 緊急で体外式ペースメーカーを挿入して、翌々日に心臓ペースメーカー植え込み術が予定された。

 内科入院ではなく、循環器科入院になったので、内科的には助かったという話。当院の循環器科は平日時間内のみの営業なので、それ以外は心疾患を扱えないのが難点だ。

 

 

 

 

  

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絞扼性腸閉塞

2019年10月29日 | Weblog

 昨日は内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が当直だった。昨日は夜間亡くなった当方担当の96歳女性(誤嚥性肺炎・胃悪性リンパ腫)を看取ってもらっていた(DNAR)。

 朝方4時半に82歳男性が心肺停止で救急搬入されていた。地域の基幹病院に前立腺癌・肺転移・肝転移と診断されていたが、今日はベット満床で受け入れができず、当院に搬入された。心肺蘇生に反応せず、死亡確認となった。

 その後午前6時半に46歳女性が腹痛(激痛)で救急搬入されていた。左側腹部痛だった。腹部造影CTで小腸の左側が明らかなに造影不良で、血管が渦巻いている(whirl sign)。絞扼性腸閉塞として外科に相談して、緊急手術になった。

 若い先生は今日の内科新患担当で、当直明けのまま外来診療に入っていた。外来で出るの週1回で外来研修の形になっている(何かわからない時はすぐに相談してもらう)。声が良く出ていて、まだ元気だ。

 今日はその基幹病院から2名の患者さんが転院してきた(肝門部胆管癌ステント挿入後、膿胸後の廃用症候群)。さっき、同院救急科の先生から電話が来て、肺炎・脱水症の高齢男性を紹介したいという。満床なので入院させられないのだった。引き受けたが、急性期の治療が終わった患者さんを引き受ける方が楽ではある。

 

 

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脂肪肝

2019年10月28日 | Weblog

 整形外科外来から肝機能障害の41歳女性が紹介されてきた。膝関節前十字靭帯損傷で12月半ばに手術を予定してたが、肝機能障害が目立った。手術の可否について訊きたいという内容だった。

 術前検査のHBs抗原・HCV抗体は陰性だった。年齢的に自己免疫性肝炎も考えられるが、おそらく脂肪肝と予想していた。今日診察室に入ってきたのは、体格のいい女性で、一見して(心の中で)脂肪肝と確診した。

 身長163cm・体重88Kg(BMI33)で、4年前に消化器科を受診した時は80kgで、そこから8Kg増加している。その時も脂肪肝(AST 45・ALT 81・LDH 279)があった。

 今回は、AST 98・ALT 222・LDH 305・γ-GTP 93と悪化していた。腹部エコーはまさに脂肪肝で、それ以外は異常なかった。ここまで高いと単純性脂肪肝と言い切れず、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)も危惧される値ではある。

 年齢的には自己免疫性肝炎の可能性があるので、念のため抗核抗体・抗ミトコンドリア抗体を提出した(原発性胆汁性胆管炎もセットで検査するのが定番だが、ムダな検査ではある)。

 自分でも体重増加の影響と思ったそうで、食事を替え始めていた。今時の炭水化物を減らすのはいいが、野菜だけ食べたりしているというので、蛋白質はしっかりとるように勧めた。

 整形外科外来が11月末にあり、その時肝機能検査も入っていた。3kgくらい減量して、AST・ALTが100未満になれば(80未満が好ましいが)、手術に支障なしという返事にした。

 

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フロセミドの持続点滴

2019年10月27日 | Weblog

 循環器科でうっ血性心不全に治療にフロセミドの持続点滴をしていた。最初は20mgを静注して、その後は40mg/日を持続点滴。「効くんですか」、と素朴な質問をしてみた。

 「理屈としては良さそうだけど、エビデンスはないね」、ということだった。

  

ループ利尿薬
 

ループ利尿薬というのはヘンレループの太い上行脚にあるNa--K-2Cl輸送系(NKCC2)を阻害する利尿薬の総称で、もっとも多く使用されて来たのはフロセミド(経口薬、静注薬)だが、他にブメタニド(経口薬、静注薬)とトラセミド(本邦では経口薬のみ)がある。また長時間作用型としてアゾセミドが本邦では使用されている。

 特徴と投与法
 
  1. フロセミドは効果発現における個体感差異が大きい!

    特にフロセミドは生体利用度が個体間また病態によって大きく左右される。閾値を超えるまで効果は発現しないので十分な用量を投与する必要がある。

  2. アルブミンに結合して運搬される!

    ループ利尿薬は血中ではそのほとんどがアルブミンと結合しており、近位尿細管における有機酸トランスポータによって尿細管内に分泌されて利尿効果を発揮するには蛋白結合している必要がある。このため低アルブミン血症が重症(Alb<2 mg/dL)であると効果が減弱していく。このような条件ではアルブミンとフロセミドの同時投与が試みられている。例えばフロセミド40mg+アルブミン6.25gや200ml 20%アルブミンにフロセミド60mgを混注など。 (アルブミンを入れた後にフロセミド静注と覚えていたが、同時に投与するのだった)

  3. フロセミド経口投与は吸収率50%!

    フロセミドを経口で投与した場合その吸収率は約50%なので静注20mgと同様の作用を期待するなら経口40mgが必要になる。一方、ブメタニドとトルセミドの経口吸収率はほぼ100%とされている。また浮腫性疾患では腸管浮腫が起きている場合が多くこの経口吸収量は低下する。このため重症例では静注薬を用いる必要がある。 (フロセミド静注量:フロセミド経口量=1:2ということ)

  4. 各薬剤間の最大効果投与量は?

    フロセミドは健常人では静注では10mgから効果が発現して用量依存性に増加し40mgで最大効果を発揮するとされる。但し病態が重症になる程最小効果を発する閾値が増加し最大効果発現にさらに高用量が必要になることが多い。その静注40mgに匹敵するのはブメタニドでは1mg、トラセミドでは15~20mg(本邦では最大投与量8mg、経口フロセミドの40mgに匹敵)とされる。静注ではフロセミドの作用発現はそれぞれ数分から5分で、半減期T1/2は20~30分、効果持続は2~3時間程度である。 (腎臓内科の指示で、腎不全・ネフローゼ症候群にフロセミド100mg/日を使用して効いたことあり)

  5. 尿中Na+、K+、Cl-、Ca2+、Mg2+排泄を増加!

    その効果は尿量のみならず尿中電解質の再吸収抑制に現れる。Bartter症候群と同様の低K血症性代謝性アルカローシスとなる。 

  6. TGフィードバックを抑制しない!

    生理的な条件下では体液量の増加が起きて遠位尿細管管腔内へのNa+, Cl-の流入が増加すると、そこと糸球体の間にあるmacula densaへのNa+, Cl-の流入が増加することでアデノシンが分泌されて結果的に輸入細動脈が収縮し糸球体濾過量が抑制される(これを尿細管ー糸球体TGフィードバックと呼ぶ)。ループ利尿薬は遠位尿細管へのNa+, Cl-の供給を増やすものの、macula densaのNKCC2を阻害してNa+, Cl-の流入を抑制する。このためGFRの低下を自動的に起こしにくいとされている。

  7. 利尿ブレーキを克服するには?

    ループ利尿薬は当初Na, Kともに負バランスとなるが持続的に使用していくと負バランスが解消され効果が減弱していく。それまでの期間はループでは通常数週間である。その理由にはいくつかあり、そのうち遠位尿細管におけるNa-Cl共輸送(NCC)の代償性増加がある。このためNCCを阻害するサイアザイドの併用がふたたび利尿作用を増強させることがある。また体液量、心拍出量の減少はRAA系を賦活化させ、これがNa+, Cl-再吸収を遠位部ネフロンで増加させ拮抗的に働く。このためRAA阻害薬の併用が効果を増強持続させる働きがある。一方、K+に関しては摂取量が少ないと低K血症が発現し重症化させる恐れがある。このためK+補給を十分に行う必要がある。 

  8. ワンショットか持続静注か?

    フロセミドを大量に静注する場合、ワンショットと持続静注でどちらが効果的かつ安全かという問題がある。ループ利尿薬の一つの問題は効果が発現している数時間は水Naバランスは負になるが、その後急激にNa利尿作用が減弱することで、ともするとネットで十分な負のNaバランスを保てない場合がある。このことから持続静注が単回投与より継続的に利尿効果を得られる可能性があるが、これまでの8つのRCTの結果では利尿作用や心不全の改善効果には有意差はなかった

  9. 短時間作用型か長時間作用型か?

    経口フロセミド(Tmax 1~2時間、T1/2 0.35時間)のような短時間作用型と経口トラセミド(10mgでTmax 0.9時間、T1/2 2.2時間)や経口アゾセミド(Tmax 3.3時間、T1/22.6時間)のような長時間作用型の心不全に対する効果が検討されている。日本のCOLD-CHF研究やMELODIC研究ではアゾセミド群で長期のBNPおよびANP抑制作用がフロセミドに比し大きく、長時間作用型の神経内分泌系の改善作用における優位性を報告している。(フロセミド20mgで効果が乏しい時に、フロセミド40mgに増量ではなく、アゾセミド30mgを追加したりすると何となくプロっぽいが、効果は?)

  
(Jinzo.netから簡略化)

 

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菌血症のはず

2019年10月26日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。82歳男性が38.9℃の発熱と悪寒戦慄(歯ががちがちと鳴った)で受診した。菌血症の症状と判断される。

 認知症はなく、話ぶりはしっかりしている。ふだんは高血圧症でクリニックに通院している。血圧は110台で頻脈はなく、敗血症性ショックではない。

 胸部X線・胸腹部CTで、肺炎像はなかった。両側腎の周囲がケバ立っているように見えるがこれは有意な所見とはされてない。水腎症・尿管拡張はなく、少なくとも尿路閉塞はない。

 3年前に当院の泌尿器科からの紹介されて、専門的治療ができる病院で膀胱癌の治療を受けていた。内視鏡的治療だったようだ。今回膀胱に残尿があり(排尿直後でも貯留あり、膀胱壁の一部が不整肥厚しているように見える。膀胱癌の再発が疑われる。

 尿路感染症と思われたが、肝心の尿所見は感染症とはいえないものだった。前立腺炎も考えたがPSAは正常域だった。白血球6800(ふだんは3000台なので増加あり)・CRP1.1と感染症の初期像相当だった。肝機能は正常で画像上も胆道感染は否定的だ。心雑音や敗血症性血栓はない。

 どこの細菌感染かはっきりしない。血液培養2セットと尿培養を提出して、入院で抗菌薬を開始して経過をみることにした。

 付き添ってきていたのが息子夫婦かと思ったが、まったくの他人だった。何でもDVを受けた人とか、訳ありの人たちと共同生活をしている人たちだという。奥さんはいっしょに来ていなかった。子供はいないそうだ。

 

 今年は学会出張にあまり行っていない。感染症の学会が近場の開催だったので、(個人の)出張費に余裕がある。以前から一度行きたかったリウマチの学会とアレルギーの学会(講習会)に行ってみようと思う。

 

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虫垂炎疑い

2019年10月25日 | Weblog

 一昨日市内の内科クリニックから、38歳女性が急性虫垂炎疑いで外科に紹介された。嘔気・嘔吐、下痢はなく、腹膜刺激症状ははっきりしない。白血球15600・CRP12.8と上昇していた。

 腹部CTで虫垂は上行結腸の後方を情報へ走行している。虫垂自体にの腫脹・壁肥厚・周囲の炎症像はなく、画像上は虫垂炎とはいえない。上行結腸の複数の憩室を認めるが、憩室炎の所見もなかった。入院して経過をみることが提案されたが、患者さんは外来治療を希望して抗菌薬内服が処方された。

 昨日の日中に再受診して経過をみたが、深夜に腹痛悪化で再受診していた。血液検査では白血球9500・CRP6.9と数字上は軽減していた。腹部CTも再検されたが、前日と変わりはなかった。やはり入院は希望しなかった。

 そして今朝受診して(指示あり)、入院して点滴・抗菌薬点滴静注で経過をみることになった。これはいったいどういう病態なのだろうか。点滴・抗菌薬で経過をみるしかないとは思うが。

 

 今週は内科のもう一人の先生が夏休みなので、内科常勤医一人状態で過ごしている(地域医療研修の内科専攻医もいるが)。今回は旅行には行かないと言っていた。今のところ、その先生が担当していた高齢女性の発熱で病棟から連絡が来て対応したくらいで落ち着いている。

 夏休みの入る前日の夜間にその先生が担当していた患者さんが急変して呼ばれていた。誤嚥性肺炎が軽快して、また再発して治療をしていた高齢男性だった。お疲れ様です。

 

 

 

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29歳の脳梗塞

2019年10月24日 | Weblog

 昨日、地域の基幹病院消化器内科から79歳男性が転院してきた。意識障害で入院して、炎症反応が高かったそうだ。不明熱と記載しているが、肺炎の治療として抗菌薬を投与したこと、甲状腺機能低下があって二次性らしいこと、などの内容が診療情報提供書にあった。

 消化器内科の疾患ではないが、成り行きで担当したのだろう。主治医の若い先生は、慢性腎不全は腎臓内科にコンサルト、認知症は脳神経内科にコンサルトなど、各科に相談しまくっていた。結論がついていない部分もあり、当院でもう少し検査が必要だった。

 患者さんは嚥下調整食3を摂食できる。施設入所まで廃用症候群のリハビリをしながら経過をみる予定だ。この患者さんの奥さん(78歳女性)も同院に脳出血で入院して、1週間前に当院の回復期リハビリ病棟に転院してきていた。夫婦そろって施設入所待ちになる。

 昨日帰るときに更衣室で、奥さんの主治医である神経内科医と合ったので、内科にはその夫が転院してきたという話をした。その時、やはり同院から回復期リハビリ病棟に転院してきた脳梗塞の29歳女性の話をされた。

 1か月前に後頸部痛があり、その後左半身のしびれと不全麻痺が発症した。頭部MRIで右後大脳動脈領域に梗塞巣を認めていた。少なくとも2か所にあり、塞栓症が疑われる。右椎骨動脈が全体的に細く描出されて(CT angiographyもしていた)、椎骨動脈解離に伴うA to A 梗塞(A to A embolism)と診断されていた。

 経胸壁・経食道心臓エコー、下肢静脈エコー、若年性脳梗塞のスクリーニング(抗核抗体、抗リン脂質抗体、プロテインS・C)を行っていずれも否定的だったとある。心腔内からの血栓、下肢深部静脈血栓からの(卵円孔を介した奇異性血栓でもなく、凝固異常でもないということだった。

 神経内科医は、「A to Aは本当かなあ」と言っていたが、他に考えようもないということなのだろう。患者さんは現在歩行に支障はなく、急性期の治療後にそのまま退院するのが不安ということでの転院だった。「リハビリといっても、あんまりやることないけど」、だそうだ。

 当方としては、そんなことがあるんですね、というしかない。(A to A embolismは動脈原性脳塞栓で、動脈のアテローム硬化部位にできた血栓が末梢に流れて、遠位の動脈を閉塞することで、通常は内頚動脈からの塞栓症)

 

 

  

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ワーファリンの効き過ぎ

2019年10月23日 | Weblog

 月曜日早朝に呼吸苦(呼吸困難)ということで、84歳男性が救急搬入された。まだ時間外で日曜日の日直宿直だった先生(外部の医師)が診察した。

 心房細動で他院に通院しているが、心不全の悪化や肺炎はなかった。右下腿から大腿にかけての腫脹と疼痛があり、血腫だった。Hb5.1g/dlの正球性貧血を認めた。その後、常勤の外科医が引き継いだ。

 ワーファリン3.5mg/日を内服が処方されていて、追加した凝固検査では、PTは測定不可なくらい低下していた。APTTも173.8秒と延長していた。ワーファリンの効き過ぎによる出血症状だった。幸いにというか、頭部や胸腹部には出血はなかった。下肢に出血したのは外傷が加わったのかもしれない。

 心房細動・心不全の患者さんのワーファリン過量による出血ということで、入院は循環器科の扱いとなった。ビタミンKの点滴静注と輸血が行われて、2日後の今日はHb7.7g/dl・PT21%・PT-INR3.09まで回復していた。

 血腫が吸収されたら、抗凝固薬はどうするのだろうか。ワーファリンを慎重に再開よりは減量したDOACか。

 

 

 

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胸椎化膿性脊椎炎

2019年10月22日 | Weblog

 この症例も66歳男性の化膿性脊椎炎だが、部位は胸椎。1か月前に山間の診療所から、発熱が続くとして当院内科に紹介になった。初診で診た先生から相談されて、左右にまたがっているのが奇異な印象だったが、肺病変として地域の基幹病院呼吸器内科に紹介してもらうことにした。

 その後に当院の整形外科外来に回されてきたという。診断は胸椎化膿性脊椎炎だった。最初にCTを見た時は脊椎に注目していなかったが、よくよく見れば胸椎がちゃん?と壊れている。化膿巣が前側に張り出していて、腰椎であれば腸腰筋膿瘍となるべきところが、胸椎なので後縦隔に突出してきていた。

 紹介先では外来で血液培養2セットを提出して、入院ではなく、経口抗菌薬による外来治療になっていた。そして解熱して炎症反応が軽快してすぐに当院整形外科外来に紹介していた。

 血液培養2セットからは黄色ブドウ球菌(MSSA)が検出されていた。抗菌薬はオグサワ(オーグメンチン+サワシリン)で、おそらく菌が検出される前にエンピリックに処方してたもののようだ。黄色ブドウ球菌(MSSA)ならば通常他の抗菌薬になると思うが、これで効いている。

 紹介された当院の整形外科外来では、2か月分の抗菌薬(同じメニュー)を処方して、次回予約は12月に入れていた。外来治療にしたことも、2か月分処方したことも、対応としてどうかと思うが、そもそもはよく検討しないであっさり丸投げした当方に問題がある。今回の学会でまったく同じ症例が出ていたので、1か月後の今だったら、きちんと胸腰椎MRI・血液培養・心エコーを行う(はず)。

 

 この患者さんは首都圏のラーメン屋に住み込みで働いていたそうだ。アルコール多飲があり、今年アルコール性肝硬変で病院に入院した。腹水と浮腫があったらしい。3か月経過して退院するように言われたが、年齢的に仕事も難しくなり、地元の当地に戻ってきて兄の家に同居させてもらった。

 診療情報提供書を持って来なかったので、診療所では残っていた薬を見て、利尿薬少量とウルソを処方していた。昨日はその診療所から、事情がよくわからないので、ふだんの処方も当院からお願いしたいという内容で再度紹介された。当地に戻ってからは禁酒を継続している。

 外来を受診した時のCTを見ると、画像上は肝硬変とは言い難い(組織学的には肝硬変なのだろう)。腹水も浮腫もなく、肝機能も正常域なので(ChEが低めで、A/G比からγ-グロブリン高値はある)、処方は中止してよい状態だった。

 

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