なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

透析患者のCOVID-19

2022年12月31日 | Weblog

 12月29日に病院の透析師長から連絡が来た。COVID-19に罹患した透析患者さんを入院させたいという。感染病棟に入院している患者さんを一般病棟に転棟させて、入院してもらうことにした。

 コロナに罹患した透析患者さんは特定の病院で診るとなっていた時期もあったが、今はふだん診ている病院で診ることになっている、

 83歳男性で前日に発熱があり、コロナの抗原検査が陽性だった。ラゲブリオ内服が処方されている。その日になって発熱と呼吸困難(酸素飽和度92%)を訴えて救急搬入されていた。

 胸部X線・CTで両側肺野にもやもやとしてすりガラス陰影があるように見える。コロナの肺炎像か、うっ血なのか正確にはわからない。

 

 入院翌日は酸素吸入は継続していたが、解熱して食事摂取も良好だった。軽快していくと見込まれた。

 

 感染病棟から転棟させた患者さんは施設に入所していた84歳男性で、発症後10日以上発熱が続いていた。保健所から隔離解除ができないとして外来アセスメントが依頼された。

 両側肺野の上葉下葉の背側に浸潤影を認めて、酸素飽和度低下もあり、入院となった(施設では酸素吸入しても認知症ではずしてしまうので、酸素投与を中止していた)。COPDがあり、肺炎の陰影自体は誤嚥性肺炎と判断された。

 発熱が続くと症状軽快ではないので隔離解除にし難い。その日は入院3日目で、入院翌日から抗菌薬投与に反応して解熱していた。

 コロナとしては隔離期間を過ぎたが、誤嚥性肺炎で発熱が続いた患者さんということにして、隔離解除とした。30日に検査すると、抗菌薬に反応して、炎症反応も胸部X線の陰影も改善していた。

 

 感染病棟のベット数を増やしたいが、看護師数の問題で増やせないでいる。

 

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PCI後の抗血小板薬

2022年12月30日 | Weblog

 PCI後のフォローをお願いします、と循環器内科から依頼された患者さんが何人かいる。

 DAPT(抗血小板薬2剤併用療法)の期間を過ぎてしまっていたり、OAC+C/P(抗凝固薬+クロピドグレル/プラスグレル)の期間を過ぎてしまったりして、あわてて減薬ということがある。

 つい前回処方を継続してしまうので、いつまでかを電子カルテに付箋で貼っておく必要がある。サマリーや注意事項を付箋を3枚分くらいペタペタ貼っていると、カルテを開けた時に「汚い感じ」がしてしまうが。

 

 

(図4)

 

 

 

医師向け】PCI後の抗血小板薬の休薬についてまとめてみた 2020.9 ...

 

 循環器のわかりやすいテキストがほしいと思っていたが、ありました「循環器のトビラ」(MEDSi)。このくらいの内容ががちょうどいい。

循環器のトビラ 循環器には興味がある でもちょっと苦手 そんな皆さんようこそ

 

 

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コロナの隔離解除後に

2022年12月29日 | Weblog

 12月7日にCOVID-19が発症して12日に入院した88歳女性は、いったん軽快していたが、また発熱がみられた。

 感染病棟から一般病棟に転棟していたが、胸部CTで入院時にはなかった左肺下葉背側の浸潤影を認めた。食事開始後から微熱があったが、誤嚥性肺炎を来していたらしい。

 食事時に明らかなひどいムセはないので、食事摂取は継続しながらの抗菌薬使用とした。解熱して軽快してきた。自宅退院へ向けてのリハビリがかなりかかりそうだ。

 

 12月6日に発症して14日に入院した92歳女性は、感染病棟から一般病棟に転棟してからも酸素飽和度が低めだった(本人は無症状)。浮腫はなかったが、胸部CTで両側胸水貯留を認めた。無症状で心筋梗塞が起きていたかもしれないと心電図をとったが、異常はなかった。

 

 利尿薬内服で経過をみることにしたが、自宅退院へ向けてのリハビリが遅れてしまう。施設入所の話になりそうだ。

 

 感染病棟から一般病棟に転棟した90歳女性は、中等度の血便があり、虚血性腸炎が疑われた。せっかく食べていた食事を短期間休止して経過をみることにしたが、リハビリは遅れてしまう。

 

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COVID-19の13日目

2022年12月28日 | Weblog

 保健所からCOVID-19の外来アセスメントが依頼されて、火曜日に施設に入所中の84歳男性が受診した。

 施設内で10名以上のクラスターが発生していて、この患者さんは発症13日目だった。発熱が続くので隔離解除できないというのが、依頼の理由だった。

 発熱が続いて、酸素飽和度も低下していたが、認知症で酸素を付けていないので中止したという。1週間前から食事摂取もできないので、点滴(500mlを1日2本)していたそうだ。アセスメントというよりは入院依頼なので、前日から病棟には入院になる予定と伝えていた。

 施設者でストレッチャーに乗って運ばれてきた。何だかおしゃれな感じの防護具(PPE)を着た施設の看護師さんが付いて来ていた。

 胸部CTで両側肺の上葉・下葉の背側に浸潤影を認めた。もともとCOPDがある。酸素飽和度も90%未満で、すぐに酸素吸入を開始して、入院とした。

 

 発症13日目で、コロナの肺炎が遷延している(炎症期)の可能性もあるが、誤嚥性肺炎が併発しているように見える。

 発症以来ずっと発熱が続くので、コロナとして隔離解除にしがたい。1週間は感染病棟の扱いにしてから、一般病棟に移すしかない。点滴を継続して、抗菌薬を開始した。(ステロイド投与は保留で経過をみる)

 感染管理ナースから、付き添ってきた施設の看護師さんが入院になったことをかなり喜んでいた、と聞いた。

 

 この患者さんは5年前に両肩・上肢・腰部・下肢の痛みと発熱で入院して担当していた。整形外科医院でNSAIDsを処方されていたが、全く効いていなかった。

 リウマチ性多発筋痛症の診断でプレドニン15mg/日から開始して、症状が軽快していた。プレドニンを12.5mg/日、10mg/日と漸減したところで、施設の嘱託医に治療予定を詳しく記載して、治療継続を依頼した(施設内で処方される)。

 プレドニンは約2年間の投与で漸減中止を考慮して下さいとしていたが、まだ5mg/日内服が継続されていた。1週間前から内服していないので副腎不全にもなっているかもしれない。

 

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腸閉塞の疑い

2022年12月27日 | Weblog

 金曜日の午前中は救急当番だった。隣町の救急隊から66歳男性の搬入依頼があった。

 前日の夕食後から腹痛が出現して、数回嘔吐している(食物と胃液)。腹痛後から排便がなかった。35歳ごろに虫垂切除術を受けた既往があった。

 腹痛は持続していて、時々強くなるらしい。症状からは癒着性腸閉塞が疑われた。当院は外科常勤医は不在で手術はできない。地域の基幹病院に直接依頼した方がいいと思うので、連絡してみて下さいと返答した。

 また救急隊から連絡が来て、受け入れは難しいようですという。一人暮らしで家族がいないので受け入れられない?、と言われましたという。まず当院に来てもらってから、搬送依頼をすることにした。

 腹部が膨満して、腹部全体に圧痛がある。腹膜刺激症状はないと判断していいようだが、膨満していてよくわからない。

 ちょうどその時に、COVID-19患者の外来アセスメントが2例来ていて、CT室に行くところは扉を閉めて封鎖されていた。単純X線は撮影できるので、まず胸部X線・腹部X線をみることにした。

 腹部臥位X線では腸管が拡張して、浮いているように見える。左下デクビタスでもいいかと思ったが、頑張って立位になれますかと訊くと、できるという。放射線技師さんが防具をつけて付き添ってくれた。何とか腹部立位X線がとれて、ニボーが見える。

 その後ちょっとふらっとして、すぐに臥位になってもらった。搬送依頼の時に「ニボーがあって」と先方に伝えるために無理をさせてしまった。

 CT室はすぐに空かないようなので(CT室でバイタルチェックと採血もする)、その時点で基幹病院外科に連絡を入れた。外科医師が出て、受けてくれた。すぐに診療情報提供書を準備して、ありがたく搬送した。

 コロナの迅速検査は陰性で、また県庁所在地から従兄弟が来てくれていて(救急車を呼ぶ前から連絡していたらしい)、家族がいないという条件?もクリアした。採血結果は血算と血液ガスしか出ていないので、生化学検査などは後でFAXした。

 CTを見ないと、癒着性腸閉塞とは決められない。Free airはなかったので、消化管穿孔ではなさそうだ。次第に便秘気味になっていたという病歴ではないが、大腸癌による閉塞だったりすることもある。

 

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コロナで死亡

2022年12月26日 | Weblog

 先週の月曜日に隣町の病院からCOVID-19の93歳女性が搬送されてきた。

 その日は普通に?デイサービスに出かけたが、様子がおかしいので(反応が鈍いということか)酸素飽和度を測定すると70%台だった。

 すぐに施設を運営している病院を受診させていた。胸部CTで両側肺に胸水貯留を認めて、左肺には浸潤影があるように写っていた。コロナの迅速検査が陽性だった。1~2日の所見ではなさそうだが、一見無症状で経過していたので、その日が発症日とされた。

 保健所からの入院依頼があった時は酸素吸入3L/分で90%弱という話だった。厳しいかもしれないということと、発症日はもっと前であり、果たして実際は何日目なのかと思った。

 入院時は酸素5~6L/分を要して、翌日には8L/分を要した。抗ウイルス薬(レムデシビル)と抗菌薬を投与したが、改善はみられなかった。CT像をみると、何とかなりそうにも思われたが、見込みがはずれた。

 末梢静脈からの点滴が困難になり、感染病棟内でCVカテーテルを挿入した。1年以上ぶりになるだろう。

 

 週末の金曜日には酸素が10L/分となって、週末を越せないと見込まれた。再度家族(息子)に連絡して、病状を伝えた(まだ濃厚接触者の隔離期間内だった)。

 土曜日から昇圧薬も入っていたが、日曜日の夕方に亡くなった。家族に連絡したが、その日は動かすことができないので、そのまま病室で預かった。(葬儀場にも自宅にも動かせない)

 今日火葬場の都合がついて(家族も隔離解除)、夕方に病院から向かうことになった。

 

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腹部リンパ節が一塊

2022年12月25日 | Weblog

 木曜日に腎臓内科の若い先生に相談された。糖尿病外来に通院している71歳男性が腎機能障害・高カリウム血症を来して、入院治療を依頼されたそうだ。

 糖尿病外来担当の先生(大学病院糖尿病代謝科からバイト)は、単に急性腎不全・高カリウム血症(7.3)としていて、要するに腎性そのものと判断したらしい。

 もともと腎症があり、血清クレアチニンは1.3~1.5mg/dlで推移していた患者さんだったが、2か月前に1.9mg/dl、今回は3.9mg/dlと亜急性に上昇していた。

 この患者さんは約20年前に大学病院泌尿器科で膀胱癌の手術を受けていて、尿管瘻(回腸導管)が造設されている。翌年に肺癌(右上葉)も受けている(膀胱癌と別?)。いずれもフォローは10年経過したところで終了していた。

 腎臓内科の先生が胸腹部CT(単純)を撮影すると、腹部大動脈周囲にリンパ節が多数腫大していて、腹腔内リンパ節も腫大していた。原発巣と考えられそうな内臓病変は指摘できなかった。

 両側腎臓は水腎症(水尿管も)を呈していて、尿管が腫瘍に巻き込まれている可能性がある。右腎臓には腫瘍が浸潤しているかもしれない。

 放射線科の読影レポートでは「多発性リンパ節腫大、転移あるいは悪性リンパ腫」とされていた。(放射線科医が読影に来る日だったのですぐにレポートが出た)

 患者さんの話では尿は出ているというが、糖尿病腎症に腎後性腎不全が加わって悪化していると推定される。腫瘍の診断の問題はあるが、まずは腎不全・高カリウム血症を改善させるために、腎瘻造設が必要と思われる。

 ちょうど金曜日には大学病院泌尿器科の先生が泌尿器外来に来るので(バイト)、そこで相談して高次医療機関に紹介してもらうましょう、ということになった。可溶性IL2受容体抗体を含めて腫瘍マーカーを提出してもらった(外注)。

 泌尿器科医から、右腎臓から出た腫瘍(腎盂癌)が外側に浸潤している可能性も指摘された。翌週の月曜日に大学病院泌尿器科を受診することになった。

 

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前頭葉の脳梗塞と性格変化

2022年12月24日 | Weblog

 糖尿病・高血圧症で内科外来に通院している50歳男性は、陳旧性脳梗塞・症候性てんかんもあった。

 2年前に左片麻痺で地域の基幹病院を受診して、受診時に全身けいれんがあった。抗けいれん薬の投与でけいれんが治まるとともに左片麻痺も消失した。

 頭部CTで右前頭葉に陳旧性脳梗塞があり、脳梗塞による症候性てんかんと診断された。その後は抗てんかん薬内服で症状は治まっている。

 8年前から糖尿病・高血圧症で当院内科に通院しているが、何人かの先生の担当を経て、当方の外来に回ってきていた。先方の病院を退院後に、入院時に糖尿病の治療を担当した糖尿病代謝科の先生から当院内科宛に入院の報告が来ていた。

 患者さんから抗てんかん薬もいっしょに処方してほしいと言われて、合わせて処方していた。その後1年経過して、当院の神経内科外来(外部の先生担当)に紹介されてきたが、すでに内科で処方されていたので、内科の依頼があれば(神経内科)再診となっていた。

 8年前に頭部打撲で外科を受診した時に、頭部CT検査が行われていて、異常はなかった。

 その後に右前頭葉の脳梗塞が発症していたらしい。診療情報提供書によれば、母親の話として、3~4年前から怒りっぽくなり、暴力的になっていたそうだ。脳梗塞のためなのだろう。

 (どこの病院でもあるはずだが)当院のカルテには問題のある患者さんの場合、印がついている。それによると怒りっぽく暴言があり、職員は一人では対応しないようにとあった。

 外来で診ている分には、血圧と血糖を診ているだけなので特に問題はなかった。受診はあっさりしているというか、診療にあまり関心がなさそうで、診察が終わるとすばやい動きでさっと診察室を出ていく。これもたぶん脳梗塞の影響なのだろう。

  

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インフルエンザ出てます

2022年12月23日 | Weblog

 12月22日木曜日に、発熱外来を診ていた先生から、25歳男性がインフルエンザA型に罹患していたと報告があった。

 12月18日日曜日に受診した18歳男性、12月20日火曜日に受診した18歳女性もインフルエンザA型に罹患していた。

 一昨年度・昨年度は1年を通して1~2名だけだった。今年はオーストラリアでインフルエンザが多数出ていて、今年は日本でもインフルエンザがはやるのではないかといわれている。まだまだ少数だが、これは確かにインフルエンザもやはりそうだ。

 発熱外来受診した患者さんの9割方はコロナ陽性になっている。発熱外来では新型コロナとインフルエンザの同時検査キット(抗原定性)を行っているので、わかりやすい。(症状での鑑別は難しい)

 市販の新型コロナ・インフルエンザ同時検査キットで検査してもらうと、病院としては助かる。

 インフルエンザは重症リスクがなくても、抗ウイルス薬が普通に処方できる。車で病院に来て、携帯電話で(自己)検査陽性と伝えてもらえれば、病院の薬局から処方して、駐車場まで持っていくという形になるのかもしれない。

 新型コロナのゾコーバも重症化リスクがなくても処方できるが、書類作成なども問題もあり、タミフルのようには簡単に処方できないのだろう。ゾフルーザの時のように、すぐに耐性ウイルスが出てしまうかもしれない、という点が気がかりだ。

 

 

 倉原優先生のYahoo newsから

図2. 同時検査キットを用いたフロー(参考資料1などをもとに筆者作成)
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外傷性血気胸

2022年12月22日 | Weblog

 火曜日の救急当番だったが、内科の若い先生がそこと他の日を代わってほしいといわれて、交代していた。

 昼前に救急車の音が聞こえたので、救急搬入かと思ったが、実際は当院から地域の基幹病院への転送だった。どんな症例だったのかと確認した。

 68歳男性が屋外で測量を仕事をしていて、ふらついて転倒して近くにあった石碑に右上背部を打撲したそうだ。吸気で打撲部の痛みがあった。

 胸腹部CTで右第8-10肋骨骨折があり、骨折した肋骨が肺に突き刺さっている。まだ量は少ないが、気胸を来して液体貯留もあった。外傷性血気胸(肺挫傷も)だった。

 転倒して頭部打撲はしておらず、意識消失もなかったが、頭部CTを確認していて異常はなかった。頭部打撲による頭蓋内損傷疑いもあるが、転倒の原因が頭蓋内病変発症(くも膜下出血など)の原因のこともあり、必要な検査だった。

 また心電図も検査していて、転倒が心原性の失神(前失神)の可能性もあり、これも必要な検査だった。

 先方の病院の整形外科に連絡していたが、血気胸もあるので外科の扱いになるのかもしれない。呼吸器外科医もいるので、そこは何とでもなるのだろう。

 

 放射線技師さんがCTの三次元構成できれいな肋骨像を作成してくれるので、とても助かる。

 

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