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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

胸壁症候群

2025年06月28日 | 整形外科疾患

 上田剛士先生の新著「胸壁症候群を「自信をもって」診療できる身体診察とエビデンス」(シーニュ社)を購入した。

 上田先生の著書は大抵購入している。ただ大著である「ジェネラリストのための内科診断リファランス」は到底読みこなせないと思って購入していない。

 上田先生の講義は、大阪の適々斎塾のセミナーで一度だけ受けたことがある。二枚目で服もおしゃれでかっこいい先生だった。NHKのドクターGにも出演されていた。

 

 胸痛の鑑別では、まず急性冠症候群・大動脈解離・肺塞栓症などの致死的疾患を見落とさないことが重要になる。胸膜炎や帯状疱疹(特に皮疹の出る前の疼痛)はもよくある疾患だ。

 ところが心臓や肺ではなく、たぶん胸壁由来ではないかと思われる胸痛を訴えられることがある。「心臓や肺ではありません」とはいえるが、では何かということがいえない。病名がつかないので、お互いにもやもやして終わる。

 

 「胸壁症候群」は「胸壁(筋骨格系)疾患により胸痛を呈する疾患」で、プライマリケア領域では約25~50%を占める非常にコモンな疾患ということだ。 

 上田先生によると、「あなたは胸壁症候群です(その中の特定疾患)と断言することができて初めて、患者さんを納得・安心させることができるのです。」

 

 6月23日(月)に高血圧症で通院している80歳代前半の男性が受診した。処方はARBとCa拮抗薬の合剤の1剤だけで、血圧は120/70台で安定している。治療前は血圧が170だったので、ご本人は血圧が安定して喜んでいる(治療自体はごく普通の治療だが)。 

 帰り際に、胸痛のことを話された。何か月かに1回、左前胸部が突然痛くなるそうだ。持続時間は一瞬というよりは長いが30秒くらいだった。1分は越えない。

 労作時ではなく、じっとしている時で、上半身を右側にひねった時に起きるらしい。大胸筋のあたりだが、症状がない時は何ともない。表面(胸壁)に感じているようで、本人も心臓の症状とは思っていない。何でしょうね、という。

 その日はたまたま胸部X線・心電図・血液尿検査を入れていたが、特に異常はない。胸壁の痛みと思っても、その症状で来られたら一応胸部X線・心電図をとるが、その点では手間が省けたことになる。

 Precordial catch 症候群のように思われたが、「若年健康者に起こるのが典型的」と記載されている。この患者さんは動きがすばやく見た目は年齢より10歳以上も若々しいが、若年ではない。何らかの胸壁の痛みとだけ伝えた。

 Precordial catch 症候群は、胸の筋肉に起こった「こむら返り」のようなものと説明しています、と記載されている。納得。

 

胸壁症候群を「自信をもって」診療できる身体診察とエビデンス

 

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上腕骨顆上骨折

2025年06月24日 | 整形外科疾患

 6月21日(土)は日直をしていた。内科で3名の入院があり、整形外科で1名の入院があった。計4名の入院で、当直に来た皮膚科医が、「そんなに!」と驚いていた。以前は半日で6名の入院もあったので、慣れてはいる。

 

 整形外科で入院になったのは、80歳代後半の女性で、右上腕骨顆上骨折だった。この患者さんは両側の大腿骨頸部骨折の既往があり、人工骨頭が入っている。

 3月初めに転倒して、今度は右人工股関節周囲骨折をきたした。この画像でみるとそれほどでもないようだが、三次元構成で見ると、外側が大分壊れていた。

 それでもなんとか保存的治療で落ち着いて、リハビリをして歩行できるようになった。5月31日退院後は施設(ケアハウス)に入所していた。

 

 その日の午後3時ごろ、トイレから出たところで足がすべったそうだ。右側に転倒して、とっさに右足を守らなければと思ったそうだが、右手をつこうとして右肘を打撲してしまった。

 車椅子にすわっていたが、一見して骨折は明瞭だった。右上腕骨の肘関節近くが骨折しているようだ。

 X線で骨折を確認して、整形外科医に電話で連絡した。電話に出るとすぐに「あの顆上骨折の人ですね」といわれた。

 当院は放射線科医はいないので、主にCT・MRIは放射線科医の遠隔診断を依頼している。そこに繋げば、自宅でX線画像を見られるのだった。

 それにしても電話に出てすぐに画像所見を言ってきた。その時コンピュータ画面に向かっていて、病院から電話がかかって来たので、骨折の相談だと思ってすぐ病院の画像に繋いだのだろう。(事務でつないで当方に回したので1分くらいの余裕はある)

 神経症状がなければ(それはなかった)、そのまま三角巾固定で週明け月曜まで入院させておいて下さい、ということだった。今日火曜日の午後に手術予定だ。

 

 放射線科の遠隔診断は何名かの先生方の名前が繰り返しで出て来るので、覚えてしまった。放射線技師さんたちは、それぞれの先生方の評価をしていた(けっこうきわどいことも言っている)。

 所見を随分細かく記載するなあと思っていた先生は(書き方がちょっと文語調)、大学病院放射線診断科の教授だった。

 

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多発性肋骨骨折

2025年03月27日 | 整形外科疾患

 こちらも3月22日(土)の当直の時、午後11時過ぎに救急搬入された。80歳代後半の男性で、転倒後に右側胸部から背部の痛みで動けないという。

 午後から散歩?しているのを近所の方が見かけていたそうだ(自宅の前を通ったのを見た)。その後道路に倒れているのを発見して、手を貸して自宅まで連れて行ってくれた。

 同居の息子が受診を勧めたが拒否していた。時間が経つにつれて、痛くて動けなくなって救急要請したという経緯だった。意識は清明で頭痛も嘔気・嘔吐もなかった。

 胸部CTの骨条件・三次元構成で右多発性肋骨骨折を認めた。幸いに血胸・気胸はなかった。

 

 念のために頭部CTも診ることにしたが、少しだが左前頭葉などに外傷性くも膜下出血もあった。

 これだと脳外科に紹介しても経過観察になるので、翌日(入院は日曜の早朝になったので月曜日に)に頭部CTを再検して、広がるようなら紹介を考慮とした。

 月曜日に頭部CTを再検したが、特に変化はなかった(わずかに吸収?)。鎮痛薬で痛みも搬入時よりは良くなったが、病棟としては騒ぐ患者さんとして困ることになった。

 

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健側のしびれ

2024年12月19日 | 整形外科疾患

 12月10日(火)に地域の基幹病院脳神経内科から脳梗塞の70歳代後半の男性がリハビリ転院してきた。左放線冠の脳梗塞で右半身はほぼ完全麻痺だった。

 麻痺の程度からは歩行は不可能で、リハビリとしては介助で車椅子移乗程度になる。構語障害・嚥下障害があり、食事摂取ができなくはないが、進まなかった。

 12月16日(月)の朝に右上肢のしびれと脱力を訴えた。頭部MRIを行ったが、対側に新規の脳梗塞はなかった。翌日は左肩関節周囲炎の症状を訴えた。脱力自体は疼痛で力が入らないようだ。

 頸椎MRIで確認すると、C5/6~C6/7レベルに前縦靭帯骨化症と考えられる低信号構造があり、頚髄を右前方から圧迫していた。濃厚梗塞による右半身麻痺があるので、頚髄由来の症状はわからないかったようだ。

 健側の症状はBrown-Sequard症候群に相当するようだ。翌日整形外科で診てもらったが、しびれは軽減していた。脱力が左肩痛で評価し難いので、肩の治療(ステロイド局注)が行われた。

 症状の進行といっても右半身麻痺なので、左側のしびれの程度で判断するしかない。あるいは頚椎MRI再検になる。

 脳神経内科の診療情報提供書にはっきりとは記載されていないが、放線冠の脳梗塞ではあるが、もう少し動いてもいいのにという感じがみてとれる。脳梗塞の症状に頚髄圧迫の症状も加わっていたのだろう。

 

 

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偽痛風~頚椎、膝関節

2024年12月06日 | 整形外科疾患

 11月12日に記載したうっ血性心不全の80歳代後半の男性は、慢性心不全の治療薬を調整して軽快した。

 血圧が低めでそれぞれの薬を少量ずつ組み合わせての処方になった。最終的には、エンレスト100mg分2・ミネブロ1.25mg分1・アゾセミド15mg分1を処方している。

 

 入院後に偽痛風と思われる関節炎の症状が発症した。2日前くらいから後頚部痛があり、11月15日には首が回らなくなった。意識は清明で関節炎の症状だった。頸椎CTで軸椎(第2頚椎)の歯突起周囲に石灰化を認める。頸椎偽痛風だった。セレコキシブ100mg2錠分2を10日間投与して、症状は軽快した。

 12月3日には右膝関節痛と右足関節痛があった。左右比べると微差だが右側には熱感もあった。膝関節X線で右膝関節内に石灰化を認める。左膝関節ではあまり目立たない。膝関節偽痛風(足関節も)として、またNSAIDs(セレコキシブ)内服を開始して、すぐに症状は軽快した。

 肺炎や尿路感染症で入院した高齢者で、偽痛風による関節炎が併発する。この方の場合は利尿薬の使用が引き金になったのかもしれない。

 

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踵骨骨折

2024年11月27日 | 整形外科疾患

 11月25日(月)の内科再来に90歳女性が受診した。定期の予約日だが、その日は異常があった。前日に洗濯物を干そうとして、段差のあるところで転倒した。左足首をひねったようになったそうだ。

 その後から左足関節から足の外側にかけて腫脹と皮下出血が出てきた。ふだんは腰曲がり(亀背)はあるが、普通に歩いている。転倒後は痛くて這って動いていた。

 翌日に外来予約があるので、その日は受診しなかったという。ただ日曜日に救急外来を受診しても、X線検査と鎮痛薬の処方で月曜日に整形外科受診となる。

 整形外科外来担当の外来看護師に連絡すると、X線撮影を入れてから回してくださいという。再来予約の診察が終わって、新患を診始めたところだった。足関節~足指のX線をオーダーして紹介状を記載した。

 整形外科医から、左踵骨骨折で手術することになったと伝えられた。X線でもわかるようだが、CTで確認していた。

 翌日に無事手術が行われた。1週間寝込むと、短期間のリハビリは要する。

 

 この患者さんは高血圧症などで診ている。今年の7月に両下腿から足の浮腫が生じてきた。心臓自体の問題はあまりなさそうだが、現役の喫煙者だった。今でも1日5~6本は吸っている。やめる気はなく、家族も今更やめさせなくてもということだった。

 COPDからの右心不全なのだろうか。降圧薬のARBをARNIに変更して、アゾセミド少量入れると浮腫は軽減している。

 昔から胃薬のマーズレンが処方されていて、そのまま継続していた。院内にはないので、レバミピド(ムコスタ)にしたが、「青い粉が入ってなかった」といわれた。錠剤は何が何の薬かわかっていないと思うが。

 

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頚椎腫瘍

2024年11月24日 | 整形外科疾患

 整形外科の先生が医局のパソコン画像で頚椎のMRI像を出していた。第7頚椎がつぶれていて、周囲にはみ出して見えた。患者さんは40歳代始めの女性で、整形外科クリニックからの紹介だった。

 5月から左鎖骨部の痛みで通院していた。そのクリニックはMRIがあることを「売り」にしている。おそらくMRIを撮像したはずだ。当初の所見はどうだったのだろうか。

 NSAIDsや神経障害性疼痛の処方(ミロガバリン)で治療をしていたが、左上肢と肩甲骨部にも疼痛が伸展したために、紹介となっていた。

 整形外科医はまず単純MRIを行っていた。第7頚椎に腫瘤と溶骨性変化を認めた。さらに造影MRIを行っていた。第7頚椎の骨腫瘍で、放射線科の読影レポートでは「動脈瘤性骨嚢腫疑い」となっていた。

 

 腫瘍は扱えないので、大学病院整形外科に紹介となった。放射線科の読影レポートは「肺、乳腺には明らかな腫瘍は見られません」とあって親切なのだった(骨転移する原発巣の有無への言及)。

 

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踵骨骨折

2024年10月12日 | 整形外科疾患

 10月9日(水)の午後は救急当番をしていた。ふだんは大学病院から来ている外科医が担当するが、その日は学会か何かで不在だった。

 救急隊から搬入依頼が入った。50歳代後半の男性が机に上がって作業をしていて、バランスを崩して転落した。左足を打撲して痛がっているという。見た目は腫脹がなく、骨折があるかどうかは判断できなかった。

 整形外科医は手術が3件あり、手術室に入って夕方まで出てこない。検査をして、手術の合間にX線を診てもらうか、夕方まで待つようになる。その旨を患者さんに伝えてもらった。

 

 搬入された患者さんは左足以外の症状はなかった。開放骨折ではなく、見た目は腫脹がなさそうに見える。X線で確認しないと判断がつかないが、痛みの程度からはありそうだ。

 通常のX線で見ても左踵骨の骨折がわかったが、CT骨条件で確認した。一か所の骨折ではなく、踵骨が砕けている。他に下腿骨・足根骨に骨折はないようだ。

 手術の合間に手術室の画面で確認してもらって入院になった。夕方整形外科医に会った時に、ここでは難しいので地域の基幹病院に紹介することになるといわれた。翌々日の11日(金)に基幹病院整形外科に転院となった。(左足を付かなければ動くことはできる。自宅の車で向かった。)

 机は1m20㎝くらいらしい。机の上に上がってする作業はふだんもしているのか、たまたまなのかは訊かなかった。術後のリハビリも含めると結構かかるかもしれない。

 

 先方の病院派生形外科医は6名いるが、半分は若い先生方だそうだ。今年度はメンバーが大幅に入れ替わった。開業で2名辞めていて、整形外科は開業しやすい診療科だった。

 もう1名は仕事に疲れたので、一旦仕事を離れることにしたそうだ。世界中を旅行して、好きなスキューバダイビングをするのだという。(さすがに独身)お金がなくなったら、また仕事に戻るのだろう。(当院の整形外科医に聞いた話)

 

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大腿骨骨幹部骨折

2024年07月29日 | 整形外科疾患

 7月26日(金)は当直だった。翌27日(土)の早朝に転倒して右大腿痛がある87歳男性が救急搬入された。

 当院の整形外科に通院していて、9月4日に左膝関節の人工関節置換術を受ける予定だった。

 その日は午前6時ごろにトイレに行こうとしてベットから起きて、杖を持って立ち上がった。バランスを崩して倒れた時に、ベットの角に右大腿を打撲した。意識消失はなく、状況を説明できた。 

 救急隊からの連絡を受けた時は、大腿骨近位部骨折かと思われたが、右大腿部はそれよりも下で腫脹していた。X線で確認すると、右大腿骨の骨幹部骨折だった。

 整形外科医に電話すると、開放骨折でないことを確認して、そのまま入院させるよう指示された。早ければ週明け火曜日には手術を予定することになった。

 もともとロキソプロフェン内服が整形外科外来から処方されている。疼痛の指示などは整形外科の必要時指示項目に入っているので、それを入力しておいた。

 搬入時はよく通る声ではきはきと答えていた。入院後は、夜間せん妄になって向精神薬の投与を要するようになっていたが。

 

 昨年度から整形外科が再開されて、骨折の入院を受けるようになった。四肢の骨折もあるが、脊椎がメインになっている。保存的治療の胸腰椎圧迫骨折も入院するので、整形外科はかなりの需要がある。

 脊椎疾患の評価にはMRIを要する。脊椎MRIを見る機会が大分増えた。

 

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また脊椎圧迫骨折

2024年07月21日 | 整形外科疾患

 内科外来に通院している79歳女性が、5月8日胸腰椎圧迫骨折で整形外科に入院した。内科外来には高血圧症・糖尿病・高脂血症で通院している。

 別の病院に長年通院していたが、2023年に担当医が不在(癌で入院して亡くなられた)となり、夫が通院している当院に通院するようになった。(夫は当院泌尿器科にも通院しているので、高血圧症も当院内科外来に通院)

 自宅で転倒して、胸腰椎に3か所(Th11・12、L4)の骨折だった。骨粗鬆症の治療はしていなかった。

 2か月間入院して、コルセット作成などして退院予定となった。ところが退院前日の7月12日にも病棟で転倒していた。それほど痛みが強くないと判断されたため、7月13日(土)に予定通り退院となった。

 ところが自宅に戻ると腰痛がひどくなり、体動が困難となった。3連休最後の7月15日に救急外来を受診した。日直は内科医だったので、鎮痛薬の点滴(アセリオ1000mg)を行って、翌日整形外科外来を受診とした。

 7月16日に整形外科外来で胸腰椎のMRIを行うと、新規の腰椎圧迫骨折(L1)があった。再入院となった。

 診療日ではない土曜日に退院予定になっていたのが、影響した。慎重に対応するとすれば、退院延期とすればよかったということになる。

 退院日に痛くて動けないということなら、当然延期になったはず。本人も2か月ぶりで自宅に戻れることもあり、痛みがひどいといわなかったか。

 家族から前日に転倒しているのは聞いていないという話が出たりして、もめたらしい。

 

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