なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ワーファリンの効き過ぎ

2024年11月08日 | 循環器疾患

 11月7日(木)病棟にいる時に整形外科医に相談された。患者さんは、前日に入院した80歳代後半の男性だった。

 6年前に右大腿骨転子部骨折の手術を地域の基幹病院整形外科で受けている。現在は隣町の施設に入所しているが、右股関節から大腿近位部の痛みと腫脹があり、当院の整形外科に紹介された。(基幹病院は受け入れ困難だったのだろう)

 X線・CTで確認すると、骨や手術の問題ではなく、筋肉内の出血があった。心房細動の病名でワーファリンが処方されていて、PT-INRが5.04と明らかに効き過ぎだった。

 四肢に皮下出血が散在しているが、右股関節~大腿近位に出血したのは術後で金属が入っているためだろう。整形外科で入院となった、ビタミンK静注で治療して後は血腫の吸収を待つしかない。

 入院時の心電図が洞調律だったので、疑問に思ったらしい。心房細動がなければ抗凝固薬は不要になる。

 心電図は洞調律で、1°房室ブロックがあり、ウェンケバッハ型の2°房室ブロックも見られた。一瞬感染房室ブロックかと思ったが違った。ただQRSが抜けるところのP波がはっきりしない。

 生理検査室で心電図を長めに記録してもらうことにした。その日は洞調律で1°房室ブロックだけだった。心電図モニターを装着して経過をみることにした。

 循環器に詳しい内科の先生に相談すると、発作性心房細動なのかもしれないが、心房細動の診断自体正しいんですかねえ、ということだった。

 施設入所前にされた診断なのだろう。腎機能は正常で今どきワーファリンというのは、随分以前からの処方がそのままになって、DOACへの切り替えがなされていなかったのだろう。施設で頻回に血液検査をするとは思えないので、今回のような過量で出血が生じてしまって危険なのだった。

 心エコーで診て、左房内血栓の有無と左房の拡張があるか確認するようにということだった(当院は心エコーは週1回外部の検査技師施行)。左房の拡張があれば慢性的な心房細動を示唆する。

 出血のコントロールがついてからになるが、発作性心房細動で抗凝固薬継続が必要な時は、エドキサバン(リクシアナ®)15mg/日でどうかという。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4か月ぶりの救急搬入~COPD

2024年11月07日 | 呼吸器疾患

 7月から受診を中断していたCOPDの70歳代半ばの男性は、11月2日(土)に救急搬入されていた。日当直で来てもらっている外科医(大学病院からのバイト)が受けて、その日内科当番だった別の先生の担当になっていた。

 昨年9月にCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の増悪で入院した。それも妻の説得によってしぶしぶの入院だった。入院した日から退院したいと主張して、結局1週間もしないうちに退院してしまった。入院すると喫煙できないのも我慢できなかったらしい。

 その後は外来通院していたが、妻も同じに外来に来るので、仕方なく来るという形だった。診察室に入って来てもすぐに出て行こうとする。

 妻も気管支喘息(ACO)・心房細動・心不全で通院いている。心房細動・心不全となった時に入院を勧めたが拒否して、やむなく数日連続の外来治療となった方だった。

 

 今年の1月に突然の呼吸困難があったが、それでも翌日になってから(症状が続くのでやむなく)受診した。COPDの増悪にしては変だと思ったら、右気胸だった。胸腔ドレーンで吸引しただけでは難しく、胸膜癒着術を要すると見込まれたので、地域の基幹病院呼吸器内科に搬送した。

 無事軽快退院してきて、また診察室に1分もいないという受診が続いていた。その後、7月からは妻にいわれても受診しなくなった。それでも妻が処方薬だけ(内服と吸入薬)もらっていくと、継続はしていたようだ。

 

 動けなくなってきている、食事摂取が少ないが飲酒だけは続けている、と妻から報告があった。病院を受診すること、また以前から勧めていたの在宅酸素の導入が好ましいこと、などを伝えてもらったがまったく応じなかった。

 今回はまったく動けなくなって、妻が救急要請して搬入となった。拒否する力もなかったのだろう。検査で脱水症と低カリウム血症を認めた。明らかな肺炎像はないが炎症反応上昇があり、気道感染によるCOPDの増悪もある。

 入院後に治療で回復はしているが、廃用が進んでいる。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

この肺炎は何か

2024年11月06日 | 呼吸器疾患

 またよくわからない肺炎の患者さんが入院していた。40歳代後半の男性で、肺炎の原因が不明だった。

 10月7日から咽頭痛と咳・痰があった。10月12日に咳がひどくなって地域の内科医院を受診した。15日には胸部X線検査を受けて、肺炎はないといわれている。

 10月20日から脱力感・ふらつきがあった。10月23日に受診して、その時には肺炎らしいといわれて点滴を受けたそうだ。血液検査では白血球17800・CRP3.17と炎症反応が上昇していた。(検査結果を渡されたもの)

 ずっと以前に弟が当院でマイコプラズマ肺炎と診断されたことを思い出して(小児期)、症状が似ているということで10月27日(日)の夜間に当院の救急外来を受診した。(住所は当市の3つ隣の町)

 当直だった内科医が画像検査を行うと、左下葉に肺炎像を認めた。週明けの翌日月曜に内科外来を受診してもらうことにしていた。(時間外は簡易検査・特定の迅速検査しかできない)

 その先生が当直明けの月曜日に検査を行った。肺炎マイコプラズマのPCR検査は陰性だった。白血球5400・CRP0.4と内科医院の検査結果よりは軽快していた。発熱はなく、経過中も微熱はあったかもしれないが、自覚的には発熱なしだった。

 症状が辛いのもあるが、入院しないと会社に休みをもらえないということで、入院になった。

 マイコプラズマの検査が陰性で(PCRも100%ではないが)、合わない点(白血球増加)もあるが、マイコプラズマは否定できないと考えたようだ。炎症反応的には治癒に近いが、セフトリアキソン点滴静注とミノマイシン内服を開始していた。

 10月31日に呼吸器外来に来てもらっているいつもの先生に相談された。肺陰影からはマイコプラズマあるいはコロナが考えられるとしていた。トータルにはマイコプラズマかという判断だった。

 症状に対してはプレドニゾロンの短期使用もあるとされ、30mg/日から漸減してはという見解だった。実際は20mg/日から開始された。胸部CT再検では陰影は軽減している。

 その後まだ咳は続くが、前よりは軽減してということで本日退院となっていた。プレドニンの漸減もあり、外来予約となっていた。

 行うとすると古典的な?マイコプラズマの抗体価の変化になるか。PCR検査で出てくれるとわかりやすいのだが。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

長引いたCOVID-19

2024年11月05日 | COVID-19

 発熱外来で診断されたCOVID-19の患者さんは、先々週は4名、先週は1名だった。新型コロナは夏と冬の6か月おきのピークを繰り返しているので、今は最も少ない「」に当たる時期だった。

 

 10月24日にCOVID-19罹患後に発熱と咳が続く患者さん(70歳代半ばの女性)が発熱外来に来ていた。すでに感染性はなくなっている時期で内科外来で診察を受けていた。

 10月5日から咳・発熱があり、10月6日に通院している医院でCOVID-19 と診断された。その後も症状(微熱・咳)が続いて、10月21日までその医院に通院した。

 症状が続く、時に夜間の咳で眠れないということで、10月24日に別の医院を受診した。コロナの迅速検査は陰性になっていた(発症20日目になる)。体温37.5℃で酸素飽和度は97%(室内気)だった。血液検査で白血球7700・CRP7.6と炎症反応が上昇していた。胸部X線では明らかな肺炎像は認めない(あやしいと思う部位はあうが確定できない)。

 肺炎疑いとして、当院に紹介となった。聴診では異常所見はなく、喘息のような喘鳴もない。ただし日中の所見で夜間は不明だが、喘鳴は自覚していないようだ。

 胸部CTでみると、両側肺野に軽度の陰影が散在している。診察された先生は抗菌薬(クラリスロマイシン7日分)と吸入ステロイド(ICS/LABA)の吸入薬を処方していた。

 症状が続くとして、10月27日(日)にも救急外来を受診している。担当医が(24日と別の内科医)血液検査をすると、白血球5700・CRP2.8と前回より炎症反応は改善していた。

 鎮咳剤などで経過をみることにしていて、その後は受診していない。日数の問題で症状が軽快したと思われるが、他院受診もないとはいえないか。

 

 最初COVID-19に罹患したのは間違いない。その後の症状遷延は、ウイルス性肺炎の問題(1週間後からは炎症反応)なのか、細菌性肺炎の併発なのか確定し難い。

 たぶん後者ではないかと思われるが、そうなると抗菌薬は肺炎球菌カバーが必要になる。前者だとすると、ステロイド全身投与するほどでなければ、吸入ステロイドは案外悪くないか。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新型コロナワクチン

2024年11月04日 | 感染症

 11月1日に新型コロナウイルスのワクチンを接種した。(正確には、オミクロン株JN.1系統対応ワクチン「コミナティ筋注シリンジ12歳以上用」

 初回から全部受けているので8回目になる。2回目までは注射部位の腫脹・疼痛だけだったが(それでも寝返りができないくらい痛かった)、3回目からは翌日から翌々日まで38℃の発熱と倦怠感が出るようになった。

 それでも受けていたのは2020年から3年間新型コロナの係として、保健所依頼のPCR検査数千件と入院200名を担当していたから。COVID-19として発症したことはないが、おそらく無症候性感染や軽症の感染(倦怠感が1~2日)は何度もあったのだろう。(N抗体を検査していないのでわからないが)

 7回目のワクチンの時も2日間の発熱を予想していたが(土日に休めるように金曜日に接種)、翌日37℃台の微熱があっただけですんだ。

 長くいっしょに診療している内科医は副反応で39℃の高熱が続くことから、接種はやめてしまっている。それでも3回以上は受けているので、基本的な免疫はついているのだろう。

 感染管理で来てもらっている大学病院の感染症の先生は、武田薬品の組み換えタンパクワクチン「ヌバキソビッド筋注」を受けてみたいといっていたが、どうなったのだろうか。

 

 ワクチン接種した日の夜から風車部位の疼痛・腫脹が始まった。翌日は午前中に悪寒・微熱・倦怠感があり、午後は38.1℃に上がって倦怠感が強くなった。夕方まで横になって休んだ。

 翌々日の朝には解熱して、倦怠感も軽快した。注射部位の症状も軽快していた。結局、翌日は1日副反応で何もできず、翌々日からはほぼ戻ったという経過だった。

 副反応があるのにワクチン接種を続けているのは、まだCOVID-19を最前線で診ているから。感染管理の仕事を続けているからというのもある。

 自分も、武田薬品の組み換えタンパクワクチン「ヌバキソビッド筋注」を試してみたいと思った。

 

 ワクチンに批判的な(元)京大の宮沢孝幸先生の本もほとんどもっている。何が本当かわからないという気もするが、初期から診療を行ってきた経験から、ワクチンは死亡数を確実に減らしているのは確かだ。

 

 

ファイザーのホームページによると

 ファイザー社は、12歳以上を対象とした新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株JN.1系統対応ワクチン「コミナティ筋注シリンジ12歳以上用」〔一般名:コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン。以下、本剤〕を、2024年9月19日に発売いたします。

コミナティ筋注シリンジ12歳以上用 製剤写真

コミナティ筋注シリンジ12歳以上用 製剤写真

 本剤はプレフィルドシリンジ製剤であり、解凍・希釈・充填の作業が不要です。2~8℃で冷蔵保管が可能であり、有効期限は8か月間です。接種時は室温に戻し注射針を装着することですぐに接種が可能です。誤接種を防止するために製品名と投与方法をラベルに表記し、他のワクチンとの識別を容易にしています。また、従来のコミナティ同様、本剤も1回あたりの投与量は0.3mlです。

 本剤は、本年10月1日から開始される新型コロナワクチンの定期接種ならびに、定期接種非対象者の任意接種に供する製剤として流通いたします。本剤は、品質に係るデータに加え、オミクロン株XBB.1.5系統対応のCOVID-19ワクチンに比べ、JN.1およびKP.2、KP.3を含むその亜系統に対しても優れた免疫反応を示した非臨床データ等をもとに、本年8月8日に厚生労働省から製造販売承認事項一部変更承認を取得しています。本年5月29日に開催された「第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会」では、2024/2025シーズン向けの新型コロナウイルス感染症ワクチンの抗原組成について、JN.1系統が選択されています1

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

肺炎は肺炎

2024年11月03日 | 呼吸器疾患

 10月30日(水)に60歳代後半の女性が咳・痰で受診した。発熱・咳で発症していたが、すでに解熱していた。

 10月26日(土)に前日から発熱・咳があるとして救急外来を受診した。日直は消化器科医だった。

 胸部X線でははっきりしないが、胸部CTで見ると両側の上肺野に斑状影が散在していた。血液検査はしていない。軽度肺炎としてアジスロマイシン内服を処方していた。

 アジスロマイシンはマイコプラズマが流行しているからかと思ったが、そうではなかった。世話をしている孫2人が風邪症状があり、そのうち1人は肺炎といわれたという。それでマイコプラズマを想定したようだ。

 28日には解熱したが、咳・痰が続き食欲もあまりないので、30日に受診していた。血液検査をするので、点滴も1本入れた(採血→点滴と同時にできるので)。

 結果は白血球4500・CRP1.5とごく軽度の炎症反応上昇があった。マイコプラズマのPCR検査は陰性。26日の受診時はもっと高かったのかもしれない。鎮咳剤・去痰薬を1週間分追加して経過をみてもらうことにした。

 

 実はこの方は、10月21日に腰痛と右側腹部痛で内科外来を受診していた。整形外科か内科か迷ったそうだ。腹部の所見は有意なものはなかった。

 胸腰椎の骨条件も見たいので、胸腹部CTで確認していた。特にこれといった所見はなかった。その時点で肺に異常はまったくない。腎臓も含めて内臓の疾患はないのと、体動時痛なのでアセトアミノフェンで経過をみて、後日整形外科受診としていた。(内科の検査が終わった時には整形外科の外来が終わっていた)

 1週間後に予約を入れたが、肺炎球菌尿中抗原も検査した方がよかったか。孫からマイコプラズマがうつったが、検査は偽陰性?。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

肺炎の陰影?

2024年11月02日 | 呼吸器疾患

 糖尿病で通院している50歳代半ばの女性が、健診の胸部X線で二次検査になって受診した。右肺下肺野に浸潤影とあった。紙の画像コピーだが、はっきるわかるくらいの陰影だった。

 この患者さんは8月22日にデイサービスで発熱を指摘されて、内科外来を受診した。呼吸器症状は自覚していなかった。新患担当の内科の若い先生が担当した。胸部X線・CTで右上葉に浸潤影を認めた。

 白血球18300・CRP5.2と炎症反応の上昇もあった。担当医は抗菌薬としてアジスロマイシンを処方していた。マイコプラズマ肺炎ではなさそうで(検査はしていない)、症状が続いて再受診するかと思ったが、順調に軽快した。

 9月11日再受診時には症状は消失して、白血球6000・CRP0.2と正常化していた。胸部X線で右上葉の陰影は消失して治癒したものと判断したようだ。

 後から胸部X線を見返すと、以前の胸部X線(年1回の健診)と比較して右下葉に陰影があるように見える。今回の院外の健診は9月26日で、指摘された陰影はこの時の陰影が進行したものだろうか。

 

 呼吸器症状はないが、胸部X線健診での二次検査なので、胸部CTで確認した。すると、指摘された部位に異常遺影はなく、両側肺全体に異常所見はない。

 後で放射線科の読影レポートを確認するが、呼吸器科外来に来てもらっている先生にも相談することにした。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

昭和歌謡

2024年11月01日 | 無題

 昭和歌謡の本を集めている。最近は中公新書で「昭和歌謡史」刑部芳則著が出た。

 これまでも「昭和歌謡」の本は出ていたが、大抵は業界に携わった方が、自分の経験をもとに記載したものだった。今回の「昭和歌謡史」は歴史学者なので、曲についての詳細な記録を記載している。(まえがきにもその旨が説明されている)ただ直接に歌手や作詞家・作曲家とかかわっていないので、裏話などはない。

昭和歌謡史-古賀政男、東海林太郎から、美空ひばり、中森明菜まで (中公新書 2818)

 

 これらの本は、業界に関わった方たちなので、業界の裏話(かける範囲での)が満載で興味深い。近田春夫さんの書かれた「筒美京平さん」や「グループサウンズ」の本も良かった。

昭和歌謡1945~1989 歌謡曲黄金時代のラブソングと日本人 (廣済堂新書)

昭和歌謡ものがたり(アルソス新書) 

我が愛しの歌謡曲 - 昭和・平成・令和のヒット・パレード - (ワニブックスPLUS新書)

 平尾昌晃さんが書いていたが、最近の曲は歌詞の分量が多くて覚えきれない(曲自体も構成が複雑)。国民の大部分が知っていて歌えるような流行歌はない、とも指摘されている。昔の歌は1番が5~6行だったりと短くて覚えやすかったと。

 米津玄師さんのLemonのCDなども購入したが、基本的には昭和歌謡を聴いている。当方は百恵ちゃん世代で、谷村新司さん・玉置浩二さん・井上陽水さんのファン。

 医療とは関係ない趣味の話でした。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

急性肺炎

2024年10月31日 | 呼吸器疾患

 10月29日(火)の午前8時過ぎに車で病院に来ると、ちょうど救急車が搬入されるところだった。前日の当直は整形外科医で、転倒・骨折なのかと思ったが、後で確認すると肺炎だった。

 患者さんは当院に血液透析で通院している70歳代前半の男性だった。朝に入浴したところ脱力で動けないという訴えでの救急要請だった。体温が38.5℃で(入浴後だが)、酸素飽和度も低下して酸素吸入(3L/分)で飽和度95%になっていた。

 肺炎疑いで胸部X線・CTが行われて、右中葉下葉にまたがる肺炎像があった。非区域性分布だと肺炎球菌肺炎が疑われる。

 午前8時前の救急搬入要請で、検査しているうちに内科医も透析医も出勤して来るので、受けやすい時間帯ではあった。透析医に引き継がれて入院となった。透析日だったので、透析終了後の入院・抗菌薬投与になった。

 

 透析後は血圧が変動しやすく、針跡からの細菌感染(シャント感染)を防ぐために、透析後の入浴はしないことになっている。(どうしてもの時も、シャワー浴程度に留める)

 透析前の朝風呂というのは指導の想定外なのかもしれない。患者さんとしては、透析後はできないので、透析前に入浴するということなのか。透析時の血圧変動に影響する可能性があると思われるが。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

肺炎の本

2024年10月30日 | 呼吸器疾患

 「診療所で診る市中肺炎」藤田次郎著(日本医事新報社)は、140ページの薄い本の中に肺炎診療をまとめている。日本医事新報社なので「診療所で診る」となっているが、「病院で診る」にも参考になる。

 画像は足りないし(胸部X線や胸部CTの本で補えばよい)、治療についても詳しくは記載していないが(治療メインの本ではない)、肺炎全体をおおざっぱに理解するにはいいと思う。

診療所で診る市中肺炎

 

 非専門医が見やすい肺炎そのものの本というのは意外に少ない。「肺炎診療」青島正大著(羊土社)、「jmed 60 最新侮れない肺炎に立ち向かう!」山本舜悟編著(日本医事新報社)、「亀田流 市中肺炎診療レクチャー」黒田浩一著(中外医学社)くらいしか思い当たらない。

スポンサー広告 - 肺炎診療―どう見極め、まず何をすべきか

あなたも名医! 最新 侮れない肺炎に立ち向かう! ―非専門医のための肺炎診療指南書【電子版付き】(jmed60) (jmedmook)

スポンサー広告 - 亀田流 市中肺炎診療レクチャー -感染症医と呼吸器内科医の視点から

 

 患者数からみれば肺炎は圧倒的に多い疾患なので、もっと呼吸器内科の専門医が競って出してもいいと思う。

 「成人肺炎診療ガイドライン2024年」は会員限定で(購入は可)、呼吸器学会はclosedなのだった。循環器病学会のガイドラインは誰でも見られる。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする