なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

母親の急死

2012年11月30日 | Weblog

 一昨日、母親が心肺停止で救急搬入された。瞳孔は散大していた。救急隊の心肺蘇生では反応がなかったが、救急外来担当の外科医が気管挿管して人工呼吸が効果的に行われると(救急隊はバッグマスクで行っていた)、心拍が再開した。自発呼吸はなかった。頭蓋内出血と思われたが、頭部CTで出血はなかった。左MCA領域にLDAが出始めていた。脳梗塞と思われた。用手的な人工呼吸を行いながらなので、MRIで確認するのは断念した。胸腹部CTで両側肺に心臓マッサージの影響を認めたが、致命的になる心血管疾患はなかった。心電図でも致死的な虚血性心疾患や不整脈はない。

 病室に上げて人工呼吸を継続したが、見込みはなかった。上部消化管出血による吐血(コーヒー残渣様)があり、夜間に高熱も出て、重症の脳血管障害らしい病像になった。翌日(昨日)の早朝に心拍が停止して、死亡を確認した。頭部CTの再検(AI)はしなかった。

 父親の葬儀の時にお世話になった葬儀社の人と相談して、葬儀の打ち合わせをした。病院の仕事があったので、妹夫婦にまかせた。お寺に都合で葬儀が1週間後になってしまい、今日は火葬のみ行った。1週間空いてしまうので、日曜日まで休みをもらい(土日は休みだが、土曜日は当直だったのを代わってもらった)、月曜日からは普通に仕事をして来週末の葬儀の時にまた休むことにした。妹は保育所の手伝いをしているが、葬儀が終わるまで休みをもらった。妹の夫は明日から仕事に戻るそうだ。小児科医の妻も明日から仕事に戻ることにした。

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進行したパーキンソン病

2012年11月29日 | Weblog

 パーキンソン病で神経内科外来に通院していた78歳女性はしだいに動けなくなり、嚥下障害で食事をとれなくなっていた。ここ数か月で10Kgの体重減少がある。一昨日内科外来を受診した。右肺炎があり、誤嚥性肺炎だった。点滴と抗菌薬投与で解熱してきたので、抗菌薬は効いているようだ。今日外来で診ていた神経内科医(大学病院から)が来ていて、これまでの話を聞いた。胃瘻造設による経管栄養を勧めていたが家族は拒否したという。しないのはいいが、どうもその先のことは決めていないらしい。肺炎がうまくいったん治癒したとしても、食事摂取はできない。食事をとれなくても誤嚥性肺炎を起こすかもしれない。家族を呼んで今後の方針を決めなければならない。本当は入院時に話し合ってくべきだが、忙しすぎてできなかった。

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マイコプラズマ肺炎かな

2012年11月28日 | Weblog

 昨日近くの病院で肺炎と診断された27歳男性が今日は当院内科新患外来を受診した。発熱が続いているので、こちらに来たものらしい。担当は非常勤の先生で、検査後に治療の相談を受けた。右中葉に浸潤影を認めたが、程度は軽い。白血球は正常域でCRPが7だった。マイコプラズマ迅速試験(IgM)はプラスマイナスという微妙な値だったが、おそらくマイコプラズマ肺炎だろう。外来治療で十分いけそうなので、クラビット500mg1錠を1週間分処方してもらった。3日で解熱しなければ、早目に受診したもらう。他院ではメイアクト300mg分3が処方されていたが、セフェム系のbioavailabilityを考えると効果は効果は疑問だった。そもそも非定型肺炎に効かない。ニューキノロンの使い過ぎと言われるかもしれないが、入院してセフェム系点滴静注+ミノマイシン点滴静注をすることよりは、いいのではないか。

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低ナトリウム血症

2012年11月27日 | Weblog

 アルコール性肝硬変・肝性脳症の77歳女性が、10日前からせん妄になることがあり、外来を受診した。受診時はふだんと同じように会話ができた。検査すると肝性脳症の悪化や感染症の併発ではなくて、低ナトリウム血症だった。水をむやみに飲む傾向があり、以前から低ナトリウム血症になっていた。外来で生理食塩水の点滴をして(治療してますという意味で)、夫と私設介護師に水分制限をお願いした。アルツハイマー型認知症でもあるが、水中毒というのは認知症の方でどのくらいあるのだろうか。

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土日の入院その後

2012年11月26日 | Weblog

 3連休に入院した患者さんたちの経過。発熱・嘔吐で入院した27歳男性は入院後水様下痢があり、感染性胃腸炎で間違いないようだ。別に暮らしている妹が胃腸炎症状で実家に帰ってきて、2日後に兄が発症している。ノロウイルス感染だのだろう。下痢がない患者さんに胃腸炎の診断をつけてはいけないというので、入院時の診断名は感染性胃腸炎疑いという、どれだけ診断力がないのかというものになってしまった。

 衰弱して入院した背部に多数の褥瘡ができていた81歳女性は入院した翌日に心肺停止となり、そのまま死亡確認された。救急外来で診てくれた循環器科医が病欠医師に代わって2日連続で内科日直をしていたので、そのまま死亡確認まで診てくれた。入院時から体温は上がらず、心肺疾患はないのに末梢循環が悪かった。1か月前から食べられなくなったという経過なので、死因は老衰とした。介護放棄とも言えそうだが、そこは触れないでおく。

 急性胆のう炎で入院した94歳男性は解熱してきた。外科のトップの先生に相談すると、手術も考慮するというので、全身状態の評価も含めてお任せすることにした。

 昨日の循環器科医が日直の時に、本来ならば内科・消化器科で担当する患者さんが受診した。内科・消化器科は4名のところ現在2名で診療しているという事情で、外科当番の若い外科医(内視鏡治療も得意)に頼んでいた。

 タール便の53歳男性は、内視鏡検査で上部消化管に出血源がなかった。上行結腸に多発性憩室があり、そこからの憩室出血が疑われる。大腸内視鏡で見ても、出血源の確定が困難かもしれない。また、上行結腸憩室炎の43歳女性も外科入院となった。

 発熱で受診した92歳男性は胆道感染症だが、循環器科医が主治医で入院させていた。かたじけない。検査を追加して内科・消化器科で引き取ることにした。

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今日は当直ー褥瘡、胆嚢炎、胃腸炎?

2012年11月24日 | Weblog

 今日は当直だったので午後4時に病院に出てきた。内科当番なので、日直の循環器科医が日直帯で内科入院にしていた3名をまず診察した。

 81歳女性は今月に入って食事摂取ができなくなってきていた。長男夫婦と同居しているが、ほどんど介護放棄に近いらしい。数か所の褥瘡があった。介護保険はまだ受けておらず、家族は入院させるとすぐに帰ってしまっていたが、自宅で介護する気はないと言っていてそうだ。脱水症で末梢循環不全となっているので、週明けまで点滴で経過をみるが、どうなるだろうか。

 94歳男性は高熱と嘔吐で受診していた。腹部CTで診ると医、急性胆のう炎で胆嚢が腫脹して小胆石と胆泥があった。外科は血管外科医だったので、内科日直の循環器科医が相談してところ、内科で診てもらうようにと言われた。緊急手術は高齢でできないかもしれないが、普段は歩いている人なので、できるだけの治療をしたい。ところだ。ドレナージ(PTGBD)がひつようになるかもしれないので、外科で診てほしいと思った。明日の外科当番は別の若い先生なので、相談してみよう。

 27歳男性は発熱と嘔吐で入院していた。腹痛もあった(臍周囲)が、下痢はない。家族に同様の症状の人がいる。腹部CTで虫垂炎はなく、他の異常所見もない。点滴と抗菌薬(FOM)で経過をみることにした。

 当直帯では何人入院することになるだろうか。入院の指示を出していると、救急隊から連絡が入った。77歳男性が餅をのどに詰まれせて心肺停止だという。診ている余裕がないので、外科当直の先生にお願いした。また27歳女性で産婦人科で有名な病院に卵巣出血で入院した既往があり、最近も症状が出てかかっていたそうだ。下腹部の激痛で救急要請があったという。週末の当院の産婦人科体制は大学病院からの応援医師が、出産にそなえてホテルで待機しているというもの。緊急手術はできない。まずかかりつけ病院の産婦人科に連絡するよう伝えると、その後連絡がなかった。受けてもらえたのだろう。

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教育講演会に出たものの

2012年11月23日 | Weblog

 今日は消化器病学会の教育講演会に出席した。通常は8コマの講演があれば3コマくらいは興味深い講演があるが、残念ながら今回は役に立ちそうな講演がほとんどなかった。外科の教授が会長で、外科手術の講演が3コマあったので、イヤな予感はしていたが。いいところは専門医更新の単位が高いことだ。来年度の春と秋の消化器病学会(鹿児島と神戸)には行かないので、今年単位を稼いでおく。丸善の医学書コーナーで、ファンである村川先生が編集したレジデントノート増刊を買ってきたので、それを勉強しよう。今消化器科に腸間膜脂肪織炎の男性が入院している。自分でもSLEの患者さんの同じ病気を経験している。頻度は少ない疾患で総説は出ていないと思うが、文献を調べて、次回の地域の症例検討会に出してみよう。

 三浦しおんの「まほろ駅前多田便利軒」がおもしろい。小説を読むのは1年ぶり。映画化されているのでDVDも借りてきて見た。暎太と松田龍平の組み合わせがいい。

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腰から太ももが痛いーリウマチ性多発筋痛症

2012年11月22日 | Weblog

 昨日、整形外科医から同科に1週間前から入院している82歳男性患者さんの診察依頼があった。病室に見に行くと、ベットに横になっていたが、寝返りを打っても痛いという。個室なので病室内のトイレまで自分で言ってるが相当つらいらしい。症状は、2週間前に肩から頸部の痛みがあり、1週間前から腰から大腿近位部の痛みが始まったというものだった。炎症反応の上昇(白血球数・CRP)がある。整形外科的には、骨病変としては説明がつかないという。大腿近位部をつかむと痛みがひどい(把握痛)。頭痛はない。血液検査の結果をみると、CKが出ていなかったので提出してみたが、、CKは正常域だった。多発性筋炎ではない。血沈は79mm/時と著明に上昇していた。抗CCP抗体と抗核抗体も提出しておいた。

 年齢と症状からは、リウマチ性多発筋痛症のようだ。感染症は否定的だった。疼痛がひどいので、プレドニン15mg/日経口で治療を開始した。昨日の昼と今朝内服したばかりだが、疼痛は少し良いという。大腿部の疼痛は軽減したいるが、腰部の疼痛はまだあった。1週間はプレドニン15mg/日で経過をみることにした。

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すうっと亡くなった

2012年11月21日 | Weblog

 内科医院から意識障害のある89歳女性を搬送したいと連絡が入った。そこの先生は当院外科医のお兄さんだ。早速来てもらったが、るいそう著明で呼吸も化学呼吸になっていた。低体温で除脈になっている。1か月前から食事摂取がうまくできなくなり、液体の栄養食をとっていたらしい。しだいに動けなくなり、3日前にその内科医院に入院していた。今時めずらしく入院施設がある医院だった。

 何か器質的な疾患はあるのかと、できる範囲で検査をした。頭部CTは陳旧性脳梗塞のみだった。腰曲がりがひどく仰臥位にはなれない。なんとか胸腹部CT(もちろん単純)を見ると、左肺炎があるにはあった。しかし全体的に表現するとしたら、肺炎の高齢者ではなく、老衰で人生が終わろうとしている高齢者が適切だと思う。家族に現在の状態を説明した。簡単に言うと、時間の問題ですということになる。救急室にそのままに置けないので、病棟へ上がった。入院の指示を出したり、必要な書類を作っていると、呼吸がさらに弱くなり、脈がとぎれた。いったん心静止になって、ちょっとだけ洞調律に戻ったが、その後また心静止となった。家族にベットサイドについてもらって、経過をみていた。心拍と呼吸が完全に止まったことをお話して、死亡を確認した。病院に来てから1時間だった。自分もこんな亡くなり方がいいなと思った。

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まず精神科に行きましょう

2012年11月20日 | Weblog

 今日の内科新患外来は比較的受診数が少なかった。お昼に外来の看護師さんからインフルエンザの予防接種を受けるように言われた。予防注射は中央処置室でまとめて行っているが、すでに内科外来で注射器に詰めて待ち構えていた。2名の内科系医師が休んでいて、これ以上医師の病欠が増えたら外来が回らなくなるということのようだ。

 医局に戻ったところで、受付は終了したが、46歳女性が複数の愁訴で受診してきたと連絡があった。一昨日の日曜日に救急外来を受診したが、特に検査で異常がなく、帰宅となっているという。さっそく外来に戻った。倦怠感や頭重感があり、死にたくなるという。食欲はそれなりにあって、朝食も食べている。精神科病院に2か月入院して先月退院したそうだ。今は外来通院中だが、数日前から処方薬を飲まなくなっていた(抗うつ薬・睡眠薬など)。

 左手の手首から肘にかけて、リストカットの痕があった。リストというより、前腕に1~2cmの間隔で切り傷が並んでいて、これではアームカットというべきかなどと余計なことを思ってしまった。、入院前から仕事は休みがちになっていて、入院後は休職している。仕事の内容を聞くと、きちんとした職場に勤めていた。息子さんが連れてきていたが、夫はどうしているのだろう。離婚したのではないかと思ったが、今日はそこまで聞かなかった。

 精神科医師は自分を見下しているようで気に入らないという。そうは言っても、なかなか入院できないところを、自殺の危険ありとして救急措置で入院させてくれた病院であって、気に入らないと言われても困る。日曜日の検査結果を確認したが、確かに異常はない。内科で診る病気はないようだ。うつ病ではなく、神経症がこじれたもののように思われる。そうなると精神科で診ても、すっきり軽快することはないのかもしれない。内科で診ても良くなることはないので、かかりつけの精神科病院の午後の外来を受診してもらうことにした。最初受診を渋っていたが、気に入らなくても精神科に行かないと改善は見込めず、今は適切な判断ができない状態なので、専門医に任せるのが良いとお話ししたら、なんとか受診する気になった。対応に困っている息子さんが気の毒だった。

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