なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

てんかん発作と兄弟

2022年07月23日 | Weblog

 火曜日の午前中は救急当番だった。けいれん発作の52歳男性が救急搬入された。知的障害・てんかんがある方で、その日はデイサービスに行っていた。

 椅子に座っていて、倒れる音がした。職員が振り向くと床に倒れて、けいれんしていた。けいれん自体は1~2分か2~3分で治まったそうだ。

 それだけだと経過をみたのかもしれないが、左眉毛部に2cmくらいの切創ができて、出血していた。それで救急要請した。

 救急隊からの連絡では、けいれんは治まっていて、出血も圧迫で止血しているという。ふだんは当院神経内科外来に通院している。緊急性はなさそうで、外来で診て帰せるだろう。

 

 カルテを確認すると、これまでに当方が関わっていた。2003年から神経内科外来に通院して、抗てんかん薬の処方を受けていた。(2003年は当院が新築移転した年で、それ以前の旧病院時からの通院だろう)

 大学病院の脳神経内科からバイトで来ている先生方が診ていた。当初の処方はデパケン1200mg/日・アレビアチン250mg/日で、当時としてはそのくらいの薬しかなかったのだろう。

 2011年、2014年とけいれん発作で入院していた。神経内科医が新規に出たイーケプラ(内服薬)を追加していた。けいれん時はホストイン点滴静注を使用していた。イーケプラは内服はあったが、点滴静注薬はまだ出ていなかった(はず)。

 2019年にけいれん発作で当方が担当して入院した。ジアゼパム静注、イーケプラ点滴静注を使用したが、けいれんが断続的に続いて、地域の基幹病院脳神経内科に搬送した。(先方にはてんかん専門医がいる)

 10日くらいで当院に戻ってきたが、処方はデパケンとイーケプラ内服のままだった。戻ってきた日もけいれんが断続的にあり、先方の病院に戻すか神経内科医と相談したが、神経内科で診てくれることになった。

 転科すると、同じ治療でもけいれんは治まった。それでも1か月半入院継続してから退院になった。

 

 搬入時は施設職員のみ来ていたが、後で患者さんの弟さんが来てくれた。3人兄弟で同居している。上のふたりは知的障害があり、長男は軽度で(簡単な仕事はできる?)、今回搬入された二男の方が程度は重い(発声はあるが、発語はない)。

 三男は普通に仕事をしていて、同居者の中ではまさにキーパーソンだった。搬入された患者さんのことはあまり覚ていなかったが、三男さんのことは覚えていた。

 抗てんかん薬の内服はほぼできている。けいれん発作はごく短時間起きることがあるが、今年2回目くらいらしい。以前に比べれば落ち着いているという。

 ふだんの処方(イーケプラ2000mg/日のみ)について、神経内科医に相談するほどではないようだ。患者さんは施設職員といっしょにデイサービスに戻った。

 

 抗てんかん薬の変遷もあり、ちょっと感慨深かった。また、この弟さんの立場を考えると、よくやっているなあと感心しきりだった。

 

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