なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

「NASH・NAFLDの診療ガイド 2021」

2021年05月31日 | Weblog

 7月に市医師会の講演会は糖尿病の話で、座長をすることになっている。会場とWebのハイブリッド(?)開催になり、講師はリモートで講演する。

 先週、共催の製薬メーカー(大正製薬)が来て、簡単な打ち合わせをした(講演テーマが決まったのと講師の略歴をもらったくらい)。「脂肪肝合併糖尿病の治療」ということだ。

 SGLT2阻害薬の「ルセフィ(ルセオグリフロジン)」を販売しているが、脂肪肝の治療にそれを使用した論文が出ていた。おそらく、ルセフィが脂肪肝に効くという話になるのだろう。(クラス・エフェクトだが)

 日曜日に丸善で「NASH・NAFLDの診療ガイド 2021」を購入した。前の版は2015年に出ていて、6年ぶりの改訂になる。

 NASH・NAFLDの薬物療法は確立していないし、保険適応のある薬もない。NASH・NAFLDの患者さんは、糖尿病・脂質異常症・高血圧症などの合併症を持っている。したがって、それらへの治療薬でNASH・NAFLDに効果があるものを使用する、ということなる。

 糖尿病治療薬としては、チアゾリジン薬・SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬。チアゾリジン薬は副作用の体重増加・心不全・骨折があるので使用しがたい。

 脂質異常症治療薬としては、スタチン系・フィブラート系(特に選択的PPAR-αモジュレーターのペマフィブラート)・エゼチミブ。

 降圧薬としては、ARBあるいはACE阻害薬。これらの合併症がなければ、使用できるのはビタミンEになる(上記治療薬と併用もできる)。

 講師の先生は昨年糖尿病注射薬の本を出版しているので、それも購入することにした。いつもなら著書にサインしてもらうが、リモートではできない。

 

NASH・NAFLDの診療ガイド2021

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気管支拡張の原因がわからない

2021年05月30日 | Weblog

 先週の月曜にから、66歳男性がまた急性肺炎で入院した。気管支喘息で呼吸器外来(大学病院からバイト)に通院している。

 市内の内科医院に気管支喘息で通院していたが、2914年・15年・16年と喘息発作で当院を受診していた。外来でデキサメサゾンの点滴静注を行うと、喘鳴は軽減するが消失はしない。入院はしたくないというので、プレドニン30mg/日を3日分処方して、それでも症状が続く時には受診するように、としていた。

 通院している内科医院に情報提供書を提出すると、きちんと通院治療していないので、という返事が来ていた。きちんと吸入ステロイドを使用すれば発作は抑えられるのでは、と思っていた。

 その後、2017年からは当院の呼吸器外来に通院するようになった。プレドニン内服を継続した時期もあるが、現在は中止している。喘息発作で受診することはなくなったが、肺炎で繰り返し入院するようになった。

 喀痰培養で有意な菌を証明したことはない。入院後は通常の細菌性肺炎治療で軽快して退院していた。

 今回も両側下肺野の粒状影散在があった。喀痰培養で有意な菌は出ていない。セフトリアキソン点滴静注で普通に軽快して、数日間の食欲不振も軽快した。気管支拡張があるので、抗菌薬は少し長めに投与する予定だ。

 右肺に炎症か腫瘤かわかりにくい病変があったので、呼吸器外来に来ている先生に相談した。前回の画像にはないので、(腫瘍としては顕在化が速すぎる)炎症像だろうという。

 頻回に肺炎で入院を繰り返すので、困っているようだ(恐縮です、と言っていた)。慢性副鼻腔炎もなく、気管支拡張をきたした原因が不明だった。抗酸菌は証明されたことがない。

 

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いつまでPCR陽性

2021年05月29日 | Weblog

 現在当院の感染病棟には、COVID-19の84歳女性・86歳女性・86歳男性・94歳男性が入院している。

 84歳女性は、隣の町にある病院が経営しているグループホームに入所していた。そこの施設職員がCOVID-19に感染して、施設入所者に広がりクラスター発生となった。

 4月29日に発熱があり、その病院で新型コロナ抗原検査を行って陽性と判明した。(PCR検査で確認した方がいいかと思ったが、クラスター発生もあるので、保健所は診断確定としていた)

 4月30日に当院感染病棟に入院した。38℃の発熱もあり、酸素吸入2L/分(その後3L/分)を要した。翌日の5月1日に解熱して、肺炎像もわずかだったので、そのまま経過をみられるかと思われた。

 5月2日から再度発熱して、連日続いた。5月4日に、発症して6日目ではあったが、デキサメサゾンを開始した。翌5日には解熱して、酸素吸入も1L/分に減量できて、その後中止できた。

 発症からの日数では退院基準を満たしたが、施設に戻すということもあり、20日目にPCR検査を行うと(陰性化確認のため)、陽性と出た。

 しなければよかったと思ったが、一度やってしまうとPCR陽性者になってしまう。27日にもPCR検査を行って、わずかに陽性となった。そして30日目に3度目のPCR検査を行って陰性と出た。

 生きたウイルスがいるとは思えないので、(死んだウイルスの)遺残した遺伝子を検出しているだけなのだろう。

 昨年の春ごろに、PCR検査が陰性化しないと退院できないことになっていて、すっかり良くなった患者さんを退院させられず、ベットが空かないという時期があった。

 1年遅れてそれを実証した形になってしまった。退院は日数で決めて、余計なPCR検査はしない方がいい。

 

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外傷性くも膜下出血だけではない

2021年05月28日 | Weblog

 5月27日木曜日に施設から意識低下・食事摂取不可の94歳女性が紹介されてきた。診療情報提供書の最後に体温37.6℃とあったので発熱外来扱いになる。

 5月10日に転倒して頭部を打撲している。11日から発熱があり、14日には立てなくなって当院に紹介された。発熱外来扱い(その日は外科医)になって、コロナの抗原検査(陰性)をしてから通常の検査が行われた。

 頭部CTで頭蓋骨骨折・外傷性くも膜下出血・硬膜下血種を認めて、地域の基幹病院救急科へ搬送となった。入院治療となったが、保存的に経過をみる方針だったので、17日には退院して施設に戻った(戻された)。

 先方の病院を退院したばかりで、それも頭蓋骨骨折・外傷性頭蓋内出血だ。当院に寄こされてもと思ったが、数日で退院になっているので、施設は当院紹介にしたらしい。

 当院でも、頭部CTで再確認して、発熱が肺炎か尿路感染症か確認するくらいはできる。とりあえず当院で診てから対応を考えることにした。

 14日に受診した時も37.9℃の発熱があったが、搬送後や施設に戻ってからの発熱はどうだったのか。意識はぼんやりして、呼びかけると開眼するくらいだった。

 項部硬直といえるくらいに首が硬いが、前後左右どの方向でも硬い。発熱・意識障害・項部硬直だと髄膜炎になってしまうが、あるのか?。

 頭部CTでは14日より軽減しているが、まだクモ膜下出血が残っていた。硬膜下血種は吸収されていた。骨条件でも画像を作成していたが、環軸関節の歯突起周囲に石灰化がある。

 胸部X線・CTで肺炎像はなく、尿混濁はなかった。白血球10600・CRP13.3と炎症反応が上昇していた。低ナトリウム血症(128)もあった。肝機能障害・腎機能障害はない。

 両側に膝関節を診ると、左膝関節に熱感があるようだ。X線では膝関節内に薄く石灰化があるかもしれない。発熱の原因は偽痛風?。

 ちょっと怖いが、1日だけNSAIDs投与で経過をみて、病状が変わらなければ、髄膜炎疑いで基幹病院と相談することにした。確実に内服できない可能性があり、ジクロフェナク座薬を1日2回使用して、点滴を行った。

 今日は解熱していて、患者さんは普通に開眼していた、認知症があるが、簡単な会話もできる。NSAIDsが効いたようだ。まあ、血液培養を提出して抗菌薬(セフトリアキソン)も使用したが、髄膜炎に効く量ではない。NSAIDsでこのままいけそうだ。

(その後の経過)

 ジクロフェナク座薬からセレコキシブ内服にして、炎症反応も改善してほぼ陰性化した。認知症で朝は覚醒が悪かったりしてあまり食べないが、昼夕は食事摂取できた。

 セレコキシブ内服を継続(2~3週間は使用)で退院とした。

 

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腫瘤が触れる

2021年05月27日 | Weblog

 水曜日の内科外来(再来)を受診した94歳男性から、上腹部に腫瘤が触れると言われた。

 この患者さんは2919年1月に、地域の基幹病院消化器内科で早期胃癌に対して内視鏡粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection:ESD)が施行された。

 病理の結果は、非治癒切除だった。当時90歳の高齢のために、追加手術は希望されなかった。家族も本人も、希望的に治ると思ったのだろうか。

 2020年10月に腹部エコー・CTで肝門部リンパ節疑いと腫瘍マーカー(CEA)の上昇があり、胃癌再発と診断された(正確には再発というより遺残)。そのまま経過観察となり、病状悪化時は緩和ケアの方針となった。

 11月に当院に紹介されてきたが、CTで多発肝転移があった。患者さん自身は食欲もあり、畑仕事をしていた。外来で軽度糖尿病の治療をしながら、2か月おきの外来受診とした。

 

 腹部CTで確認すると、肝腫大があり、肝転移巣の増悪(腫瘤の増大と個数の増加)を認めた。確かにこれなら腹壁から触知する。(造影CTの方がはっきりわかるが、必要はないだろう)

 いつも連れてくる娘さんだけを呼んで、予想よりも肝転移の進行が早く、予後は短いという話をした。現時点では食欲もあり、畑仕事も継続しているので、外来経過観察になる。

 入院してもこれといった治療もない。できるだけ自宅で過ごすようにして、最終末期に自宅でみられなくなったら入院することにした。

 急変して救急搬入の可能性もあり、DNRの書類を作成して、カルテに表記した。もし救急要請することがあれば、その旨を救急隊に伝えるようお話した。(そういう場合、家族も慌てているので、心肺蘇生術を行って搬入されたりする)

 娘さんは少し涙ぐんで診察室を出て行った。腹痛としてはないが、疼痛時のアセトアミノフェンの屯用を持たせた。2か月後に予約したが、疼痛がある時や食欲低下時はすぐに受診してもらう。

 

 

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90歳の鉄欠乏性貧血

2021年05月26日 | Weblog

 先週の金曜日に泌尿器科医(外部の病院からのバイトに来ている大学の同級生)から連絡が入った。

 泌尿器科外来に前立腺肥大症で通院している90歳男性が、4月末に下肢~陰嚢の浮腫で泌尿器科外来を受診した。いつもの金曜日ではなく、他の泌尿器科医(当院の常勤医だったが定年後は外来だけ)が出ていた。

 胸部X線で両側胸水貯留もあった。とりあえず利尿薬(アゾセミド30mg)を処方して、内科の外来を受診するように指示したが、まだ内科を受診していなかった。

 とにかく内科外来を受診させたい、ということだった。必要な検査を追加してその日に診ます、と答えた。以前の胸部X線は2018年に撮られていた。

 内科系は糖尿病外来(外部の医師のバイト)に通院しているが、その外来は血糖・脂質と尿糖しか検査しない外来だった。HbA1c7.8%だが、年齢を考慮するとそう悪くはない。

 検査の結果、Hb8.0・MCV72.1の小球性貧血があった。追加の検査では、血清鉄9・血清フェリチン19と鉄欠乏性貧血で、CA19-9が188と上昇している(CEAは2.7で正常域)。

 胸腹部単純CTでは右肺に結節影様の陰影がある(炎症かもしれない)。消化管に明らかな腫瘤は指摘できなかったが、単純CTでは難しい。

 もともと便秘があって、最近出にくいという。食欲はあるので、胃癌よりは大腸癌疑いだった。とりあえず上部消化管内視鏡検査と便潜血検査を予定した。

 

 今日の上部消化管内視鏡検査では異常がなかった(萎縮性胃炎のみで、潰瘍もびらんもない)。便潜血2日法は意外に陰性だった。

 今日は別居の娘さん(患者さんは一人暮らし)が付いて来ていた。高齢者の鉄欠乏性貧血で胃癌・大腸癌が疑われると伝えた。すると、大腸検査は負担が大きいのでさせたくない、という。便秘はどうかと尋ねると、薬(鉄剤なので?)が効いて良くなったと言う。

 大腸癌で消化管閉塞になると大変という話もしたが、大腸検査に乗り気ではなかった。90歳だと発見しても手術になるかどうかという問題もある。

 鉄剤を続けて、ある程度貧血が改善したところで、また大腸検査の相談をすることにした。(鉄剤開始5日目だが、今日はHb8.5で少し回復)

 

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わからないが改善している

2021年05月25日 | Weblog

 5月11日に整形外科クリニックの先生から、クリニックでリハビリの仕事をしている62歳男性が紹介されてきた。

 炎症反応の上昇があるが、原因がわからないという。コロナのワクチン接種の2回目を行う予定になっているが、どうしたらいいかという問題もあった。

 診察室に入ってくると、左脚が不自由だった。7年前に屋根から転落して脛骨粉砕骨折を来した既往があった。術後に創部感染を起こしてしまい、別の病院に転院して複数回手術していた。

 4月19日に右頬部の腫脹・疼痛が出現した。21日に新型コロナワクチンを受ける予定があり、接種しても大丈夫かどうか診てもらうために耳鼻咽喉科クリニックを受診した。アレルギーでは?、といわれたそうだ(歯・歯肉の問題ではない)。24日には症状消失した。

 予定通り21日にワクチン接種を受けた。1週間後の28日から微熱・倦怠感が出現した。呼吸器症状はない。症状が続いて、5月6日に内科クリニックを受診した。処方は解熱薬だけだった。

 5月7日に整形外科クリニックで血液検査をすると、CRP7.9と高値だった(白血球は7500)。10日に再検してCRP7.7とほぼ同じだった。

 ご本人の話では、9日まで調子が悪かったが、前日10日から軽快したそうだ。当院受診時には、ほぼ何でもない時と同じで調子は悪くないという。その時点で特に症状はなく、診察しても外傷後の左脚以外に問題はなかった。

 血液検査を行うと、CRP7.1と同じような値だった。血沈が78mm/時と亢進している。何か亜急性~慢性の問題があるのか。

 そのまま経過をみて再検するしかない。とりあえず、心雑音もないが血液培養2セットを提出して、経過観察とした。翌日のコロナワクチン2回目はクリニックの先生の判断だが、中止する理由はない。仕事を休みたくないというので、1週間後にクリニックで血液検査をして、結果をみてもらうことにした。

 先週クリニックからCRP5.5でよくならない、と連絡がきた。無治療での経過なので、むしろ改善していると思われる。ちょうど初診から2週間後の今日来てもらうことにした。

 今日はすっかりふだん通りだという。血液検査はCRP4.8と軽快している。CRPだけの経過は、7.9→7.7→7.1→5.5→4.8になり、無治療でしだいに改善していることになる。(7台の時もゆっくりと改善していたのだった。誤差範囲の問題もあるが。)

 白血球分画では、monocyte13.1%と上昇しているのが目立つが、他には異常がない。自然免疫系の亢進?。

 患者さんには、原因はわからないが自然に改善している、と伝えた。2週間後の予約と思ったが、やはりあまり仕事を休みたくないというので、1か月後に半日休みをとって来てもらうことにした。その間に症状があれば早めに受診してもらう。

 これは何だろうか。

 

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高いカロリー輸液のインスリン混合量

2021年05月24日 | Weblog

 地域の基幹病院脳神経内科に心原性脳塞栓症で入院した89歳男性は、もともと当院の糖尿病外来(大学病院糖尿病代謝科から)に通院していた。

 嚥下障害のため経口摂取が困難で、経鼻胃管による経管栄養が行われていた。胃切除術後で内視鏡的胃瘻造設術はできない。肺炎を繰り返し、喀痰が増えるため経管栄養は中止した。

 高カロリー輸液に切り替えて、療養型病床のある病院へお願いする方針とした。(今週の水曜日に転院予定)経鼻胃管を抜去してからは肺炎はない。

 糖尿病外来での治療は、SU薬(グリクラジド40mg)・メトホルミン500mg/日・GLP1受容体作動薬(注射は家族)だった。HbA1cが7.8%でまずまずの血糖コントロールだった(SU薬使用の高齢者)。

 転院してきた時はHbA1c8.2%だった。速効型のヒューマリンRを毎食直前(経管栄養剤注入前)に5単位ずつ皮下注となっていた。

 血中Cペプチドを測定すると、0.51ng/mlとインスリン依存状態(<0.6)だった。末梢用の点滴では5%グルコース混合の500mlにヒューマリンRを2単位ずつ混合していた。そこから10%グルコース混合の500mlにヒューマリンR4単位混合にした。(血糖値により皮下注で補正もする)

 通常はグルコース5gにつきヒューマリンR1単位となっているが、実際にはそれよりも少なめにするのが多い。5%グルコース含有500mlに3~4単位が目安になる。グルコース5gにつきヒューマリンR0.5~1単位(グルコース10gに1~2単位)ということになるか。

 高カロリー輸液にしてからは、エルネオパNF1号1500ml(グルコース180g)にヒューマリンR6単位混合から開始して8単位混合にした。グルコース22.5gにつきヒューマリンR1単位相当になる。

 さらにエルネオパNF2号1500ml(グルコース262.5g)にヒューマリンR10単位混合から開始して13単位混合にした。グルコース20gにつきヒューマリンR1単位相当になる。

 グルコース10~15gにつきヒューマリンR1単位という記載もある。末梢用輸液だとそれでいいかもしれないが、高カロリー輸液はその量では低血糖になるかもしれない。

 低血糖になるとヒューマリンRを混合した輸液自体を交換することになる。少なめの量で開始して、途中で追加するのがいいようだ。あとは皮下注での補正を行って、今後の混合量を調整する。

 

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COVID-19~2日間の変化

2021年05月23日 | Weblog

 5月10日から5月19日まで当院感染病棟に入院した、64歳女性の胸部CT画像の変化。

 5月1日から咳が続き、5月5日から発熱があった。5月8日(土)に近医を受診して、肺炎として地域の基幹病院呼吸器内科に入院した。新型コロナの抗原検査は陰性だったが、胸部CTで両側肺野にすりガラス陰影が多発していた。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)疑似患者として入院した。後で聞いた話では、院内では新型コロナの検査はできないので、保健所のPCR検査結果待ちになったそうだ。

 5月10日(月)にPCR検査陽性と判明して診断が確定したが、感染病棟が満床だった。夕方になって、当院の感染病棟の入院依頼があり、救急搬送された(時間外になっていた)。

 先方の病院に入院する前に解熱していたが、入院日の1日だけ発熱があり、その後はまた解熱していた。当院に入院した時の症状は、咳がひどいということだった。酸素吸入2L/分で転院したので継続とした。

 入院時に胸部CTを撮影してから入院することになっているので(急な搬送で画像添付がなかった)、型通りCTを行った。両側肺野にすりガラス陰影を認めた。

 

 送られてきた検査結果は5月8日と10日の結果で、比べると改善していた。8日は白血球6900(リンパ球10.0%)・CRP4.6で、LDH401。10日は白血球5500(リンパ球15.0%と上昇=改善)・CRP1.9で、LDH384。2日の経過で改善している。

 電話した時には紹介医は帰っていて、連絡がつかなかった。CT画像は気になるが、軽快しているようなので、デキサメサゾンは使用せずに翌日相談することにした。

 翌朝に連絡すると、症状が軽快しているので、そのまま経過観察してもいいと思うということだった。後から送られてきたCT画像を比較すると、2日の経過だが陰影も改善していた。12日には酸素吸入1L/分となり、15日には酸素吸入を中止できた。

 先方の病院では抗菌薬の点滴静注をしていたが、当院では何もしない(鎮咳剤と去痰剤内服のみで点滴なし)ので、患者さんは不審に思ったようだ。(呼吸器内科医と相談して自然経過で回復が見込めると説明した)

 改めて画像を見ると(検査結果も)、2日でこれだけ軽快するということは、2日で増悪することもあるということになる。

 

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脳委縮の進行

2021年05月22日 | Weblog

 木曜日に施設(老人保健施設)から食欲不振の85歳女性が紹介されてきた。

 1年半の一昨年の12月に急性肺炎で当院に入院していた。当時内科専攻医の地域医療研修で当院に来ていた、内科の若い先生が担当した。

 肺炎は治癒したが、経口摂取が進まなかった。高カロリー輸液を行って、療養型病床のある病院に転院となっていた。その後、細々と経口摂取できるようになって施設に入所していたのだった。

 今回も肺炎では、という紹介だった。発熱はなかったが、ふだん低体温とすれば、患者さんにとっては微熱なのかもしれない。一通り検査したが、今回は肺炎は認めなかった。

 軽度の炎症反応上昇と尿混濁があり、尿路感染症(急性腎盂腎炎)の可能性がある。しかしそれが食欲不振の原因かどうかわらかない。

 家族には感染症の治療と点滴で経過をみるとお話した。ただしそれで食事摂取が進むかどうかはわらかない。また高カロリー輸液になって療養型病床へということもあると伝えた。

 脳血管障害が進行している可能性もあるので、頭部CTも行った。新規の病変はなかった。1年半の経過で比較すると、脳委縮が進行(増悪)していた。前回の時点でも脳委縮はある。

 今回の頭部CTでは脳実質の萎縮・脳溝脳室の拡大が進行していた。1年半でこれだけの変化があるのだった。

 STさん(聴覚言語療法士)に依頼して嚥下訓練を開始した。飲み込めないことはない、そうだ。1~2週間嚥下訓練をして、難しい時は高カロリー輸液にすることも伝えた。

 

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